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2000年05月 アーカイブ

2000年05月01日

ナビィの恋

監督・脚本:中江 祐司
脚本:中江 素子
出演:西田 尚美/村上 淳/平良 とみ/登川 誠仁/平良 進
1999/日本

奈々子は東京の会社を突然辞めて故郷沖縄の粟国島に久し振りの里帰り。出迎えてくれた恵達おじぃとナビィおばぁの優しい笑顔が疲れた奈々子の体をほぐしてくれる。おばぁの育てたブーゲンビリアとおじぃの奏でる音楽に心地良さを感じる奈々子だったが、おばぁが急にソワソワして、どうも落着かない。おばぁの行動を尾行する奈々子。その先に居たのはおばぁの60年前の初恋の相手だった・・・。

ずっと観たいと思ってなかなか行けず、やっと観る事ができました。ナビィおばぁの60年の恋を貫き通す。60年・・・こういう女性はいるのだろうか、っていうくらい気の遠くなる年月。感服です。
ナビィの恋と奈々子の恋の行方と女性が主役の映画、だけどぼくが気になったのは恵達おじぃ。三線の名手らしいんだけど悟りきった佇まいから想像もつかないひょうきんさ。この映画の全ての笑いを彼が引き受けていてもう最高でした。
沖縄の海、空、土地、風、人、音楽。この監督は沖縄が好きなんだなーってすごく感じる。気持ちの和む映画です。

2000/5/1 横浜西口名画座

2000年05月03日

アメリカン・ビューティー

監督:サム・メンデス
脚本:アラン・ボール
出演:ケビン・スペイシー/アネット・ベニング/ソーラ・バーチ/ウェス・ベントレー/ミーナ・スバリー/クリス・クーパー
1999/アメリカ

42才のレスターはリストラ候補のリストに入るさえない会社員。家でも威厳ゼロの中年親父だ。不動産ブローカーの妻キャロリンは成功を追い求め、高校生の娘、ジェーンは平凡な毎日に不満を感じて常に情緒不安定。レスターともまともに口を聞いてくれない。レスターのイライラと欲求不満は増すばかり。しかし、ジェーンの同級生、アンジェラに一目惚れしたレスターは娘に軽蔑されながらも、マリファナを吸いながらトレーニングで体を鍛え始める。

アカデミー5部門(作品、監督、脚本、主演男優、撮影)を制覇した話題作。アメリカの典型的な中流家庭に生じたズレから、崩壊する家族の姿を絶妙な構成とカメラワークで描いています。
オスカーを獲ったケビン・スペイシーの中年親父ぶりはなかなかのもの。こういう人アメリカでなくともたぶん先進国のような国ならいるんじゃない、ってぼくでも思いました。
一見どこにでもいる普通の人々。しかし内面は、ストレスや欲求不満を抱えイライラした生活を送っている。しかし、その抑圧を解いた時、人々は”自由”を手に入れる。スクリーンの彼らが”自由”を手にした時、口元がフッと笑っていた。実際は笑ってなかったかもしれないけど、ぼくにはそう見えた。あの時なにかが心の中で起ったんじゃないかな。
ぼくが一番感心したのはカメラワーク。こんなにうまいなぁと感じたのはめったにない。撮影賞を獲ったのも頷けます。
吹っ切れた後の人が手にしたのは結局虚しいものだったのだろうか。もしそうなら人生って虚しいなぁ。

2000/5/3 藤沢オデオン館

2000年05月07日

MONDAY

監督・脚本:SABU
出演:堤 真一/松雪 泰子/安藤 政信/大河内 奈々子/西田 尚美/大杉 漣/小島 聖/塩見 三省/野田 秀樹
1999/日本

月曜日の朝。サラリーマンの高木はホテルの一室で目を覚ます。しかし、彼は昨夜酒に酔っていたため、いつの間にどうやってここに来たのか分からない。必死に思い出す高木は、ポケットからタバコと一緒に落ちた”お清めの塩”を見て、昨夜のことを思い出し始める。

SABU監督の作品を初めて観ました。なんだかとてもドキドキしたのはなんだろう。怖いわけではないのに観ていてとてもドキドキしました。
良いっす堤真一。小心者だが酒が入ってキレまくった男、バッチリ決まってます。真面目そうな雰囲気があるだけにギャップがあってそれがよけいおかしかった。
多彩なキャストで絶妙なキャスティング。必見です。野田秀樹が笑いっぱなしでクックックッ・・・。
「今この世に必要なのは銃なんかじゃない。ほんの少しの優しさと、愛だー。」いいなぁこのセリフ。シーンがシーンだっただけに。これでちょっと涙がでそうになって、ぼくは大団円かと思ったら・・・。
そうきたか・・・。ぼくはやられました。
まぁこれで終わったらおいおいこれで終わりかよって思うんだろうけど。
堤真一のキレた男だけでも一見の価値ありです。

2000/5/7 渋谷シネアミューズ・ウエスト

2000年05月25日

アンドリューNDR114

監督:クリス・コロンバス
原作:アイザック・アシモフ
脚本:ニコラス・カザン
出演:ロビン・ウィリアムズ/エンビス・デイビッツ/サム・ニール/オリバー・プラット
1999/アメリカ

そう遠くない未来のある日。マーティン一家に、あるロボットが届く。ロボットの名はNDR114、通称"アンドリュー"。家事全般をこなすお手伝いロボットだ。扱いに戸惑う一家の中で、次女のリトル・ミスだけはアンドリューを人間同様に接し、次第に心を通わせるようになる。
また、一家の父サーもアンドリューを息子のように思い、たくさんの本と、教養を与えるのだが・・・。

ロボットのアンドリューを通して、友情、恋愛、家族、人生など人間の在り方を問うSF映画。ぼくが特に引かれたのは、映画で頻繁に描かれる父子の関係を、この映画ではサーとアンドリューで描いてる点。サーには娘が2人いるものの息子がいない。サーはアンドリューを人間の息子のように思い、本を与えたり、時にはジョークを教え創造性を高めたり、収入を得るようになると銀行に口座を作ったりと、典型的なアメリカっぽい父子関係だ。しかし人間のサーには寿命があり死が訪れる。立派に独り立ち(?)したアンドリューとの最後の会話。アンドリューはこの時すでに人間としてそこに存在していた。姿はロボットのままで涙を流すことはできなかったが、僕には涙を流し悲しみの表情を浮かべるアンドリューの姿が見えた気がした。
それにしても200年間(!)を生きたアンドリューを演じたロビン・ウィリアムズにはもう感服。16キロものロボットスーツに身を包んでの演技はかなりの難儀だろう。しかし彼自身がアンドリューを演じることで、心を持ったアンドリューに生命が与えられ、よりリアルなものになった。映画の後半しかその生身を表すことはできなかったがその芸達者ぶりは全体を通していかんなく発揮。スタンダップコメディアンならではのジョークも最高だ。
人間より人間らしい心を持ったアンドリューが選んだ道とは。そこに僕たちが進むべき道が見えて来るのではないだろうか。

2000/5/25 藤沢キネマ88

ピンチランナー

監督:那須 博之
脚本:斎藤 葉子/益川 知実
出演:中澤 裕子/安倍 なつみ/飯田 圭織/保田 圭/矢口 真里/市井 紗耶香/後藤 真希
2000/日本

品行方正な女子校、朝比奈学園の陸上部にたった1人在籍する峰岸あゆみ。優等生の彼女だが、いつも1人で海沿いの道を走っていた。
そんなある日。陸上部の部室が入っている体育倉庫が落雷により火事に。中には練習を終えたあゆみが残されていた。降りしきる雨の中、同じ街の男子校の生徒でサーファーの俊也が燃え盛る倉庫の中に飛び込み無事にあゆみを救い出す。
バスケ部の部室を間借りすることになったあゆみはそこで林原真穂と出会う。真穂は陸上部に入り一緒に走り始める。

なにはなくともモーニング娘。ぼく、今彼女達好きです。だから展開が早くても構成がちょっとおかしくてもいいんです。彼女達の姿が見られれば・・・。
でもちゃんと演技してます。思っていたより上手いです。特に目を引くのは安倍なつみと市井紗耶香。別に松坂慶子と共演するシーンがあるからというわけではない。彼女のセリフにグッとくるものがあるのです。こういうのは感情が入ってないと相手に伝わらないでしょう。(って単にぼくが市井紗耶香のファンだから?)
前半を7人の人物描写に絞ったのはいいのだけれど、どうしても説明不足は否めない。撮影期間の短さもあるだろうがこれはちょっとかわいそう。予備知識ゼロで観たらわからないのでは。
後半の駅伝は本当の駅伝に参加して走った娘。達。演出はなく本気で必死に走る姿はとても素敵です。
しかし・・・追っかけはなんとかならないのか。思いっきり映ってんじゃん。すごく気になるよあれは。それに撮影スタッフまで映るのはどーなんだ!邪魔でしょ。いくらドキュメントだからってそれくらいは気にして欲しかった。最後に、安倍がスタジアムに戻ってきた際の盛大な拍手に違和感を感じたのはぼくだけだろうか・・・。
でも彼女達は頑張った。順位なんて関係ありません。大切なことは走りきることです。ですよねエスタさん。
友情に恋に家族。青春時代に悩む要素を詰め込んだ本作で娘。達の”今”を感じてください。これは彼女達からパワーをもらえる映画です。

最後に・・・
市井さんモーニング娘。卒業は残念です。しかし、よりパワーアップして再び会える日をぼくは楽しみに待ってます。

2000/5/25 藤沢スカラ座

2000年05月31日

エリン・ブロコビッチ

監督:スティーブン・ソダーバーグ
脚本:スザンナ・グラント
出演:ジュリア・ロバーツ/アルバート・フィニー/アーロン・エッカート
2000/アメリカ

元ミス・ウィチタ、高卒、離婚2回、独身、無職、預金残高16ドルのエリン・ブロコビッチは3人の子を持つ母親だ。交通事故の訴訟がきっかけで知り合った弁護士エドの事務所に、強引に就職した彼女は、書類の整理中にある企業のファイルに疑問を感じ、独自に調査を開始。そこで驚くべき事実を知ったエリンは一大訴訟を起こすべく、エドと協力してさらに調査を進めるのだが・・・。

実際にアメリカで起ったストーリーを基にした真実の話。社会的弱者の代表の様なエリンが大企業の環境汚染を暴き、被害者住民と共に起こした訴訟で、勝ち取った和解金は3億3300万ドル!これはアメリカ史上最高額だとか。これはひとえにエリンの活躍があってこそでしょう。
エリンの正義感溢れる行動力、発言、そして最後まであきらめない情熱は、観ているぼくらにひしひしと伝わってきます。
それはやはりエリン役のジュリア・ロバーツだからだろう。彼女の生き生きとした表情がとても活発なエリンとぴたりと重なる。胸元の大きく開いた服とミニスカート、ハイヒールを履いてエリート弁護士を叱責して絵になる女優が他にいるだろうか。
しかし奇抜なファッションの裏はお金がなく新しい服が買えないからだ。子供を外食に連れて行っても自分はコーヒーだけで、家に帰ってアイスらしきものを頬張る姿にぼくは惹かれていた。スクリーンの向こうの彼女にエールを送っていた。
そんなエリンの魅力はやはり正義感です。子供を守るための「正義」。弱者である被害者住民を守るための「正義」。彼女はそれらを守るため必死になって働き、最終的に自分を救うことになります。しかし彼女は最初からそれを計算していたわけではなく、自分の信じる道を貫く事に一生懸命でした。それゆえに事務的に事を進めようとするエリート弁護士に苛立ち、暴言を繰り返し反感を買ってしまうのですが。
それでも、観ている私達はどんなに彼女が汚い言葉を発しようとも、彼女側に立って観ているので彼女の怒りを共有しています。彼女がエリート相手に捲し立てれば共に爽快な気分を味わっています。
ところで3人の子供の世話は・・・。と思いますが、この世話を隣人のハーレー乗りのジョージがしています。この彼にぼくはとても好感を感じます。男の鏡です。しかも結婚できそうにないとこがまたイイ。エリンとジョージは恋人にはなれても結婚は難しい。それはエリンが2度結婚に失敗しているから。ジョージにはかわいそうな気がしますが、彼女はもう男に頼る生活を完全に諦めています。ジョージよ時々ハーレーでのツーリングで気を紛らわしてくれ・・・。
エリンの姿はぼくらに希望と勇気を与えてくれる。清々しい感動作です。

2000/5/31 藤沢オデオン館

ミッション・トゥ・マーズ

監督:ブラインアン・デ・パルマ
脚本:ジム・トーマス/ジョン・トーマス/グラハム・ヨスト
出演:ゲイリー・シニーズ/ティム・ロビンス/ドン・チードル/コニー・ニールセン
2000/アメリカ

2020年。人類は遂に火星への有人飛行を実現させた。しかし、マーズ1号の4人の飛行士は火星探査中に宇宙ステーションとの交信を絶ってしまう。最後の交信には傷だらけのルークの姿が残されていたものの、原因解明には至らず、交信後の生存も確認できない。事故原因の解明とルーク救出のためジムを中心としたマーズ2号による、救出ミッションが始動。しかし、彼らを待っていたのは6ヶ月間の危険な宇宙旅行と驚愕の事実だった。

『ミッション・インポッシブル』のブライアン・デ・パルマが続編『M・I2』を断ってまでこだわった自身初のSF映画。彼、実は相当SF好きだそうです。
やはりSF映画といったらSFXは見物でしょう。本作はILMとドリームクエストが制作を担当しています。これにデ・パルマの華麗なカメラワークが組み合わされているんだから贅沢なもんだよ。
なかでも宇宙遊泳のシーンはハラハラドキドキ。とても緊迫したシーンの中ちょっとした事件が展開。「えっマジで。」と思わず声を出してしまった。(周りの視線が・・・)
キャスティングは映画ファンなら名脇役でおなじみのゲイリー・シニーズが主演。ついに彼もヒーローに。妻を亡くした男の哀しみが彼の表情から感じられ、特に昔のビデオを観る目がもうなんかとても哀しくなってしまいます。
ぼくはどっちかというとティム・ロビンスが出ているので観に行ったのですが、途中で・・・だったのがちょっと残念。
デ・パルマが熱望していたSF映画なのですが、正直なんかもの足りない気が。わたし自身SFをたくさん観ているわけではないのですが、なんかね。しかし、これは視点を変えて「シンプルな作り」のSF映画と考えればすんなり受け入れることができる。観やすいから肩肘張らずリラックスして観る事ができるよ。
本作は過去のSF映画へリスペクトしているようなので、これを機会にSF映画にどっぷりつかってみるのもおもしろいのではないでしょうか。

2000/5/31 藤沢オデオン館

マン・オン・ザ・ムーン

アンディ・カフマン。1984年に35歳という若さで亡くなった伝説のコメディアン。この映画は彼の短いながらも波乱に富んだ人生の物語。
アンディは子供の頃から人を笑わせるのが好きだった。両親に叱られても、弟妹を観客に見立てベッドの舞台でTVショーの物真似を見せた。いつかカーネギーホールの舞台に立つことを夢見ながら。
それから10数年後。各地のコメディクラブを転々とするアンディの姿があった。しかし観客には全くウケない。それでも彼は次々と新しいネタを生み出し、次第に観客の心を掴んでいった。

人を喜ばせることに人生をささげたアンディ・カフマンをジム・キャリーが好演。これほどアンディを陰影豊かに、そして魅力的に演じることができる男がいるだろうか。ゴールデングローブ賞主演男優賞を獲ったのうなずける。なのになぜアカデミー賞は、彼を無視(?)したのか。わかりませんねぇ。
人を笑わせるばかりでなく、逆に白けさせたり怒らせたりとコメディの枠にはまらない自由な発想で観客の興味を引き付ける事に成功した彼だが一方で、ヨガを習い、精神の安定を保とうと苦悩する姿も見せる。
本当の自分を見失いそうな彼に恋人は「本当のあなたなんてないじゃない」と言う。一見冷たい言葉だが、それはどのアンディもそのものであり、全て一つであることの意味だとぼくは思う。この言葉がアンディを表す最良の言葉ではないだろうか。
肺ガンの発覚後、彼は遂に夢のカーネギーホールの舞台に立つ。最高のパフォーマンスに超満員の観客。舞台の後、観客全員にミルクとクッキーをふるまうアンディの姿がとても印象的だった。
彼はどんなに毒舌で観客を罵っても、悪役となり観客を怒らせたり泣かせても愛されていた。超満員の観客がそれを物語っているだろう。そしてアンディもまた、人々をそして世界を愛していたのだ。白黒のスクリーンで「やさしくて温かい世界を ありがとう」と歌うアンディの姿にぼくは溢れる涙を止めることができませんでした。
「笑いあり、涙あり」この言葉がホントウにぴったりと当てはまる映画でした。

2000/5/31 藤沢キネマ88

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