アンディ・カフマン。1984年に35歳という若さで亡くなった伝説のコメディアン。この映画は彼の短いながらも波乱に富んだ人生の物語。
アンディは子供の頃から人を笑わせるのが好きだった。両親に叱られても、弟妹を観客に見立てベッドの舞台でTVショーの物真似を見せた。いつかカーネギーホールの舞台に立つことを夢見ながら。
それから10数年後。各地のコメディクラブを転々とするアンディの姿があった。しかし観客には全くウケない。それでも彼は次々と新しいネタを生み出し、次第に観客の心を掴んでいった。
人を喜ばせることに人生をささげたアンディ・カフマンをジム・キャリーが好演。これほどアンディを陰影豊かに、そして魅力的に演じることができる男がいるだろうか。ゴールデングローブ賞主演男優賞を獲ったのうなずける。なのになぜアカデミー賞は、彼を無視(?)したのか。わかりませんねぇ。
人を笑わせるばかりでなく、逆に白けさせたり怒らせたりとコメディの枠にはまらない自由な発想で観客の興味を引き付ける事に成功した彼だが一方で、ヨガを習い、精神の安定を保とうと苦悩する姿も見せる。
本当の自分を見失いそうな彼に恋人は「本当のあなたなんてないじゃない」と言う。一見冷たい言葉だが、それはどのアンディもそのものであり、全て一つであることの意味だとぼくは思う。この言葉がアンディを表す最良の言葉ではないだろうか。
肺ガンの発覚後、彼は遂に夢のカーネギーホールの舞台に立つ。最高のパフォーマンスに超満員の観客。舞台の後、観客全員にミルクとクッキーをふるまうアンディの姿がとても印象的だった。
彼はどんなに毒舌で観客を罵っても、悪役となり観客を怒らせたり泣かせても愛されていた。超満員の観客がそれを物語っているだろう。そしてアンディもまた、人々をそして世界を愛していたのだ。白黒のスクリーンで「やさしくて温かい世界を ありがとう」と歌うアンディの姿にぼくは溢れる涙を止めることができませんでした。
「笑いあり、涙あり」この言葉がホントウにぴったりと当てはまる映画でした。
2000/5/31 藤沢キネマ88