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2000年10月 アーカイブ

2000年10月01日

キッド

監督:ジョン・タートルトーブ
脚本:オードリー・ウェルズ
出演:ブルース・ウィリス/スペンサー・ブレスリン/エミリー・モーティマー/リリー・トムリン
2000/アメリカ

ラス・デューリッツは40歳を目前にして、仕事に明け暮れる忙しい日々を過ごしていた。イメージ・コンサルタントとして成功を収めているラスの前に、突然8歳の自分(=ラスティ)が現われる。子供の頃は嫌なことばかりのラスにとって忘れたい思い出が甦る。一方ラスティは、家族も犬もいない、そしてパイロットでもない40歳のラスの姿に落胆することばかり。
ラスはなぜ自分の前にラスティが現われたのか、答えを探し始める。

ブルース・ウィリス主演の大人に贈る映画。もうちょっと細かく言うと、「子供の頃に見ていた
夢を忘れてしまった大人に贈るディズニー映画」です。

脚本はまぁまぁおもしろい映画なんだけど、演出というか音楽がディズニーらしくてその辺のバランスが変かなぁ。ファンタジーな作品ではあるからストーリーはとりあえずって感じだ。でも音楽はやりすぎ。

ポイントはやはりラスを演じるウィリスとラスティを演じるスペンサー・ブレスリンだ。この2人、100点とはいかないが非常におもしろい2ショットだった。特にブレスリンはとても堂々とした演技と見た目の愛敬さが相まって、おもしろい存在感を発揮していた。ウィリスも負けじと少なかった髪の毛を増やして
子供のような大人をしっかりと演じていた。
まぁ引っかかった点はどーみても似ていないのに「似てる」なんてセリフがある所かなぁ。仕種だけならまぁたしかにそうなんだけど・・・さすがに突っ込みたい衝動に駆られたが、エイミー役のエミリー・モーティマーが可愛かったので許す。

8歳のラスティが現われて、ラスは最初怒鳴ってばかりで、ラスティの幻(といってもみんなに見えているから幻ではない)を消すことばかりに必死だったが、状況を受け入れていくと、次第にやさしい表情になっていく。ラスティに尋ねられた質問に一つ一つ答えるラスの目は、やさしくてとても良い表情をしていた。そして後半、ウィリスは非常に繊細な演技でとても良かった。正直、彼を見直した。

誰しもが子供の時に見た夢を実現できているわけではない。どちらかといえば実現できなかった人の方が多いだろう。しかしできなかったとはいえ失望せず、みんながんばっている。
でも今一度立ち止まって、後ろを振り向いてみよう。そして過去の事を思い直してみる。いくつもの後悔や悩みがあるだろうが、過去の自分に対して今の自分を胸を張って見せられるようになりたい。そして夢を忘れずに前を向いていきたい。
そんなぼくはもうすぐ22歳。まだまだこれからだ。

2000/10/1 藤沢オデオン館

オータム・イン・ニューヨーク

監督:ジョアン・チェン
脚本:アリソン・バーネット
撮影:クー・チャンウェイ
出演:リチャード・ギア/ウィノナ・ライダー
2000/アメリカ

NYでレストランを経営する48才のウィルは次々と恋人を変えて、独身生活を過ごしていた。
秋のある日。彼のレストランで1人の若い女性が誕生日を祝っていた。彼女の名はシャーロット。美術学校で帽子のデザインを学んでいる22才。そんな彼女にウィルはたちまち一目惚れをしてしまう。
やがて2人は付き合うように。そしてウィルはいつものように別れを切り出すが、彼女が後一年あるかないかの命であることを知って・・・

秋色に染まっていくNYの街並みがとてもキレイ。撮り方なんだろうけど、こういうのを見せられちゃうと・・・行ってみたいなNYって思ってしまう自分は単純。
そんなNYを背景にリチャード・ギアとウィノナ・ライダーがデート。それがとても自然な表情で良い雰囲気だった。海外の作品って、こういうのを自然にやってのけてしまうからすごい。

レストランを経営する48のプレイボーイとか、若くて美しいアクセサリーアーティストなんて所は現代的ではあるけれど、ストーリーは実に古典的な恋愛物語。今更感はあるがたまにはこういうのがあってもいいだろう。

ギアは幾つになってもこういった役が似合う。変化を求められる中で、こういった俳優はある意味貴重だ。この脚本もギアを想定して書かれたらしい。
ただその割には、ギア演じるウィルの人物背景がイマイチ伝わらなかった。見せてはいるんだろうけど中途半端な感じだ。ちょっともったいないかな。
逆に良く見えたのはシャーロットを演じるウィノナだった。キレイさの中に、時折見せる幼い感じと知的な表情にぼくは魅了されてしまいました。

シャーロットは病気ではあるけれど、その表情はとても輝いている。ニューヨーカーなのに都会っ子っぽくもない。単に純粋と言ってしまうのは容易だが表情の奥にある悩みや苦しみが彼女の存在をユニーク(独特)で、神秘的なものにした。
ウィルが惹かれたのもおそらくはそんな所ではないだろうか。シャーロット(というかウィノナ)が美しいというのもあっただろうけど。

男は神秘的でやさしくてキレイな女性に弱いんです・・・たぶん。
自分だけかなぁ・・・

2000/10/1 藤沢キネマ88

2000年10月09日

17歳のカルテ

監督・脚本:ジェームズ・マンゴールド
原作:スザンナ・ケイスン
出演:ウィノナ・ライダー/アンジェリーナ・ジョリー/クレア・デュパル/ウーピー・ゴールドバーグ
1999/アメリカ

時代は60年代。17歳のスザンナはアスピリン1瓶とウオッカ1本で自殺を図った。未遂に終わったものの彼女の心は深く傷ついていた。彼女は自分を理解してくれない周囲と、自分を理解できない自分に苛立っていたのだ。
そんな彼女は父の友人である医師の勧めで精神病院に送られることに。そこで彼女を待っていたのは・・・

原作に惚れ込んだウィノナ・ライダーが製作総指揮、主演を務めた。ウィノナ自身も20歳の時に発作的不安に陥り入院したことがあるそうで、話の主人公、スザンナの気持ちを充分すぎるほど理解できていたのだろう。

ただ28歳のウィノナが17歳のスザンナを演じきれたかというと疑問だ。小柄で華奢なので違和感はそれほどないが、ウィノナそのものが整いすぎている気がする。17歳という成長途中で危うい感じがなかった。
オータム・イン・ニューヨーク』での「22歳」は演じられても、「17歳」となるとちょっと厳しい。

逆にリサ役のアンジェリーナ・ジョリーの方は目立っていた。話の主人公はスザンナだが、話を引っ張っていたのはリサだった。彼女はこのリサ役でアカデミー賞とゴールデングローブ賞の助演女優賞を獲得したそうで、それも納得の存在感を発揮していた。

スザンナもリサも現代でいえば正常で、病院に入れられることはないだろう。スザンナは自分の存在意義、自分探しの状態なのだ。これは思春期に誰にでも起こり得ることだ。彼女は周りと違うことをしたり、SEXをすることで存在を確かめていた。ただ、生きている実感としては希薄なもので、限りなく「死」に近い「生」であった。
一方リサは本心で生きている、ある意味自由な存在だ。しかしリサは病院での生活が長すぎて、社会に出るとたちまち弱さを露呈してしまう。自分の領域内でしか生きられない。あまりにも虚しい「生」だ。

「死」を見た瞬間、スザンナは脅えていたのに対し、リサは平然としていた。リサは「死」に近すぎて鈍感になってしまっている。「死」を脅えたスザンナは敏感。敏感な人ほど「生きている」のだ。
しかし、2人の差はほんの僅かのもの。実は人間は、この2人のようなスレスレの所で生きているような気がする。

やがて全てを受け入れたスザンナの目はまさしく大きな目で、「希望」に満ちた目。それはウィノナ・ライダーそのものの目の輝きなのかもしれない。

2000/10/9 恵比寿ガーデンシネマ

2000年10月16日

マルコヴィッチの穴

監督:スパイク・ジョーンズ
脚本:チャーリー・カウフマン
出演:ジョン・キューザック/キャメロン・ディアス/キャスリーン・キーナー/オースン・ビーン
1999/アメリカ

クレイグは才能があるにも関わらずチャンスに恵まれない人形使い。彼はとりあえずの収入のため、7と1/2階にある小さな会社のファイル整理の仕事を得ることに成功。さらに説明会で美人OLに一目惚れをしてしまう。
しかし彼女に振り向いてもらえない彼はイラついて、ファイルをキャビネットの隙間に。そこでクレイグは小さなドアを発見。
ドアの向こうはなんと俳優ジョン・マルコヴィチの頭の中だった・・・。

数多くのミュージックビデオやナイキのCMで監督を務めたスパイク・ジョーンズ初の長編作品。

久々に、面白くて楽しい映画を観た気がする。なんでもっと早く観なかったのか、と思えるくらい面白かった。こちらの予想を越えた展開と映像。というより予想なんてムダだった。ぼくはいつの間にか、次はどんな映像が、ストーリーがあるのだろう、という気持ちになっていた。

スパイク・ジョーンズのミュージックビデオは結構観ていて、好きな作品もある。発想とか映像の視点が面白いからだ。
その姿勢は映画になっても変ることなく、監督は「らしさ」を充分に発揮していた。
でもぼくはスパイクにまだミュージックビデオを撮って欲しいと思う。個人的に好きなので。

こんなに面白いのにちゃんとしたストーリーがあって、観る人の気持ちをしっかりと掴んでいる。
クレイグはいつも表舞台に立つことを夢見る人形使い。それ故にマルコヴィッチになれることは、彼にとって最初で最後のチャンスだったのだ。でも彼はさらなる欲望を満たそうとしてしまった。
悲しい人間の性(さが)だなぁ。

なんてちょっと真面目な事を書いてしまったがそんなことは実はどーでもいい。もっと観るべきポイントはたくさんあるんです。でも紹介してしまうと面白くなくなるので書くのは止めます。でもちょっとだけ書くと、キャメロン・ディアスのあんな姿とか、チャーリー・シーンがあんなことになってたりします。まぁ観てのお楽しみ。

漠然として観てても楽しめる。これは必見の映画です。

2000/10/16 ワーナーマイカルシネマズ新百合ヶ丘

2000年10月22日

ひかりのまち

監督:マイケル・ウィンターボトム
脚本:ローレンス・コリアト
出演:シャリー・ヘンダーソン/ジナ・マッキー/モリー・パーカー
1999/イギリス

ロンドンの11月。カフェで働くナディアは伝言ダイアルで恋人を募集中。とりあえずカメラマンのティムといい感じに。姉のデビーは9才の子を持つシングルマザーだが、夜遊びに余念のない日々を送っている。さらに妹のモリーは出産間近。そして両親は弟ダレンの家出以来、ケンカばかりで愛の無い生活を送っている。そんな家族のある週末を描く。

イギリスの名監督ウィンターボトムが、都市ロンドンの姿を繊細に描いた作品。

ぼくのイギリス映画の印象は2種類ある。一つは田舎のゆったりした時の中で起こる出来事を描いた作品。もう一つは都会の暗く厳しい、ドラッグと暴力の溢れた姿。端的に言えばこんな感じ。
そしてこの『ひかりのまち』はというと、どちらにも属さない映画でした。

この作品でカメラが写すロンドンは、慌ただしく過ぎ行く時間の中で身を寄せ合う恋人達であったり、語り合う友人達の姿といったやさしい風景。暗いシーンがないわけではないが、全体を通して見ればひかりに満ちている。これはやはりウィンターボトムならではの視点、ということだろう。

そんな光あふれるロンドンを背景に描かれる家族の姿は、どことなく空しそうな、悲しそうな、そして不安そうな表情を見せる。彼らはどこか満たされていないような気がしてならない。
彼らは自分自身の存在が大きな街の中では小さく感じられてしまうのだ。それでも彼らは彼らなりに暮らしている。彼らにも希望の光はきっとあるのだ。

16ミリで彼らと密な状態で撮影。ドキュメンタリーのようなタッチがリアリティを生んでいて彼らに感情移入しやすかった。
ラストで息子の声を留守番電話で聞く父親の姿にちょっと感動してしまったのは自分でも意外だった。
ほんのわずかな小さな幸せで、人は暮らしていけるのかもしれません。

2000/10/22 シネセゾン渋谷

素肌の涙

監督:ティム・ロス
原作・脚本:アレキサンダー・ステュワート
出演:レイ・ウィンストン/ララ・ベルモント/フレディ・カンリフ/ティルダ・スウィントン
1998/イギリス

15歳のトムと18歳のジェシーの姉弟は両親と共に、ロンドンからデヴォン郊外に引越したばかり。家の周りに何も無い地にトムは退屈な日々を過ごしていた。
父は仕事で忙しく、母は妊娠。何も問題なく幸せに見える一家に、少しづつ隠された秘密が表面化して・・・

『海の上のピアニスト』に主演した個性派俳優ティム・ロスの監督デビュー作は、なんと近親相姦をテーマに選び、思春期の姉弟をやさしく、そして厳しく描いた作品となった。

デヴォンという土地の印象がとても強く残る。何も無いのです。あるのはこの家族が住む家と、海辺の小屋。そしてわずかな木々。空と海は暗く沈んだ灰色で、谷間はそびえ立つ岩が灰色に輝く。これは無の美しさとでも言うのだろうか。
あまりにもインパクトのある「絵」でした。

ジェシー役の新人ララ・ベルモンドがとても勇気のある演技。これには賞賛の拍手を送りたい。
大胆かつ繊細な表情と演技。家族全員のシーンの中で微妙なアイコンタクトを送り、何かを訴える様なその瞳がデヴォンの地のごとく美しくそして寂しげだった。

そしてこちらも新人トム役のフレディ・カンリフのあの表情。
一見頼りなさげの表情のその奥に秘めた正義感。それ故の苦悩。とても難しい役だったと思うが、堂々とやってのけた彼にも拍手を送りたい。

この新人2人を引き出したのはやはり周りの共演者、特にレイ・ウィンストン。 彼はゲイリー・オールドマン監督作『ニル・バイ・マウス』 同様この作品でも悪者となった。 レイには悪いけどぼくの中ではかなり悪者度が高くなってしまった。できたら今度は、 良い人役の彼を観たい。
そしてもちろん俳優でもある監督ティム・ロスの指導や引き出し方も上手かったのだろう。

少女から女性へと変化を遂げるジェシーの行動、言葉はとても衝撃的というか、観ていて痛々しい感じでした。
あぁ女って大変。男ってバカですねぇ。

2000/10/22 シアター・イメージフォーラム

2000年10月29日

ジャニスのOL日記

監督・脚本:クレア・キルナー
出演:エイリーン・ウォルシュ/リス・エヴァンス/パッツィ・ケンジット
1999/イギリス

さえない女の子ジャニス。彼女の不運は出産時から始まっていた。父親は出産の立ち会い中に力みすぎてショック死。それが原因で、母親は引きこもりになってしまった。ジャニスは母親を外に連れ出すために外の世界の魅力を語るうちに虚言癖になってしまう。
成長したジャニスは、母の治療費を稼ぐためロンドンへ。友人のつてで一流自動車会社に契約社員として働くことになるのだが・・・

TVや舞台で主な活動をしていたクレア・キルナー監督と主演のエイリーン・ウォルシュによる初の長編映画。監督自身が契約社員として働いていたそうで、その経験からこの脚本が生まれたようだ。しかもこの映画のスタッフはほとんどが女性という、正にワーキング・ガール・ムービーなのである。
とはいうものの、内容的には女性による女性のための映画というわけではない気がした。でも主人公ジャニスのサクセスストーリのあたりを見ればやはり女性向けか。

ちなみに上映時は原題『ジャニス・ベアード45WPM』で、観に行った時に日本でのタイトル名が『ジャニスのOL日記』と決まったようなので、その表記にならいました。
まぁOLターゲットってことです。
ついでに、この「45WPM」というのはタイプライターで1分間に45の単語を打つ事ができるという意味で社員のレベルとしては最低のレベルらしい。それはずばりジャニスの能力を表しているのです。でも想像力は人並み以上・・・っていうか虚言癖。

いきなりオープニングがおもしろかった。キャスト、スタッフの紹介の仕方がとてもおもしろい。タイプライター(?)みたいな感じで、絶妙なスペルミス。後ろの外人大ウケ。

この映画、今時珍しく81分という時間でまとめられている。上手くまとめたと言ってしまうのは簡単だがちょっと難がある気もする。テンポも悪くないし、回想シーンの挿入もこれといって違和感ない許せる範囲だ。なぜ81分を上手くまとめたと言えないかというと、この映画のジョークが
もうひと押し足らない気がするのだ。今のままでもおもしろいのだけど、もっとおもしろくなりそうな気がする。それによって時間が延びてもいいのではないだろうか。短くなっておもしろさが弱まってしまうのは残念。

とは言うものの楽しめる作品です。魅力あふれるジャニス役のエイリーン・ウォルシュあっての面白さかも。決して美人ではない彼女の憎めない表情がぴったりこの役にハマっていた。
それにこの映画に出てくる女性はみんな個性的なキャラで、女性スタッフのこだわりみたいなものを感じさせられた。

一方男性陣はというと・・・みんなマヌケ、オバカさん。って感じ。会社の上司やジャニスに近づくショーン(リス・エヴァンス)もあんまり賢くない。前半はショーンは良い感じだったけど結局は詰めが甘かった。やっぱ女性から観ると、男ってバカなんだろうなぁ。
男がどんなに偉そうにしてても、最後はやっぱり女性なのです。何時の時代もどこの国でも女性はたくましく生きているのだ。

2000/10/29 東京国際映画祭 Bunkamuraオーチャードホール

2000・限りある日々

監督・脚本:アルト・パラガミアン
出演:ジョン・タトゥーロ/キャサリン・ボロウィッツ/オレグ・キセリョーフ
1999/カナダ・アルメニア

古生物学者のベンジャミンは、妻アマンダとの離婚を済ませると病院へ。以前から気になっていた頭痛を診てもらう事に。診断の結果は脳の不治の病。余命5週間というものだった・・・
ベンジャミンは明るく振る舞うものの周りの友人は心配顔。次第に幻覚症状の進む中、ベンジャミンがとった行動とは。

人は生きている以上その先には「死」がある。その「死」に直面した時、人はどう受け入れ、そして残りの人生をどう生きるか。その一つの答えをアルメニア人の両親を持つカナダ人監督、アルト・パラガンがコメディタッチで描いた。

ベンジャミンは適度に地位も名誉もあり、成功している人間だ。別れた妻とも良き友人としての関係を保ち、仲間にも恵まれている。一般人の代表のような、そんな彼が心残りとしていることが両親のこと。交通事故で自分だけが生き残ってしまったことに、彼は後ろめたさのようなものを感じていた。そして余命1ヶ月という時。彼は両親の遺骨を祖国に返そうと奔走する。それが彼にとってでき得る最大の親孝行なのである。

ところがこれがあっさり失敗。ちょっとあっさりしすぎ。笑える話ではあるけれど、これはちょっとひどくない?う~ん。

話は嫌いではない。「死」という暗いイメージのテーマをコメディタッチで描くという手段も良いと思う。その点は主演のジョン・タトゥーロが良い表情していたし。でもやはりブラックなイメージが残る。それがコメディの要素が薄めてしまったように感じられた。

映像的にはけっこうおもしろい見せ方をしていてよかった。CGをバリバリに使うとかそんな感じではないけど、効果的に使っていたように思う。
中でも、ベンジャミンが観る幻覚で、雨に濡れるビル郡に映る過去の思い出をCGで合成していたんだけど、CG合成にはあんまり見えなかった。むしろその中をさまようベンジャミンの姿がとても悲しく感じられる。好感の持てる作りでした。

「死」を受け入れることで、限りある「生」を悔いのないように生きる。こればっかりはその人しだい。さてあなたは「死」をそして「生」をどう受け入れますか。

2000/10/29 東京国際映画祭 渋谷ジョイシネマ

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