監督・脚本:ジェームズ・マンゴールド
原作:スザンナ・ケイスン
出演:ウィノナ・ライダー/アンジェリーナ・ジョリー/クレア・デュパル/ウーピー・ゴールドバーグ
1999/アメリカ
時代は60年代。17歳のスザンナはアスピリン1瓶とウオッカ1本で自殺を図った。未遂に終わったものの彼女の心は深く傷ついていた。彼女は自分を理解してくれない周囲と、自分を理解できない自分に苛立っていたのだ。
そんな彼女は父の友人である医師の勧めで精神病院に送られることに。そこで彼女を待っていたのは・・・
原作に惚れ込んだウィノナ・ライダーが製作総指揮、主演を務めた。ウィノナ自身も20歳の時に発作的不安に陥り入院したことがあるそうで、話の主人公、スザンナの気持ちを充分すぎるほど理解できていたのだろう。
ただ28歳のウィノナが17歳のスザンナを演じきれたかというと疑問だ。小柄で華奢なので違和感はそれほどないが、ウィノナそのものが整いすぎている気がする。17歳という成長途中で危うい感じがなかった。
『オータム・イン・ニューヨーク』での「22歳」は演じられても、「17歳」となるとちょっと厳しい。
逆にリサ役のアンジェリーナ・ジョリーの方は目立っていた。話の主人公はスザンナだが、話を引っ張っていたのはリサだった。彼女はこのリサ役でアカデミー賞とゴールデングローブ賞の助演女優賞を獲得したそうで、それも納得の存在感を発揮していた。
スザンナもリサも現代でいえば正常で、病院に入れられることはないだろう。スザンナは自分の存在意義、自分探しの状態なのだ。これは思春期に誰にでも起こり得ることだ。彼女は周りと違うことをしたり、SEXをすることで存在を確かめていた。ただ、生きている実感としては希薄なもので、限りなく「死」に近い「生」であった。
一方リサは本心で生きている、ある意味自由な存在だ。しかしリサは病院での生活が長すぎて、社会に出るとたちまち弱さを露呈してしまう。自分の領域内でしか生きられない。あまりにも虚しい「生」だ。
「死」を見た瞬間、スザンナは脅えていたのに対し、リサは平然としていた。リサは「死」に近すぎて鈍感になってしまっている。「死」を脅えたスザンナは敏感。敏感な人ほど「生きている」のだ。
しかし、2人の差はほんの僅かのもの。実は人間は、この2人のようなスレスレの所で生きているような気がする。
やがて全てを受け入れたスザンナの目はまさしく大きな目で、「希望」に満ちた目。それはウィノナ・ライダーそのものの目の輝きなのかもしれない。
2000/10/9 恵比寿ガーデンシネマ