監督・脚本:アルト・パラガミアン
出演:ジョン・タトゥーロ/キャサリン・ボロウィッツ/オレグ・キセリョーフ
1999/カナダ・アルメニア
古生物学者のベンジャミンは、妻アマンダとの離婚を済ませると病院へ。以前から気になっていた頭痛を診てもらう事に。診断の結果は脳の不治の病。余命5週間というものだった・・・
ベンジャミンは明るく振る舞うものの周りの友人は心配顔。次第に幻覚症状の進む中、ベンジャミンがとった行動とは。
人は生きている以上その先には「死」がある。その「死」に直面した時、人はどう受け入れ、そして残りの人生をどう生きるか。その一つの答えをアルメニア人の両親を持つカナダ人監督、アルト・パラガンがコメディタッチで描いた。
ベンジャミンは適度に地位も名誉もあり、成功している人間だ。別れた妻とも良き友人としての関係を保ち、仲間にも恵まれている。一般人の代表のような、そんな彼が心残りとしていることが両親のこと。交通事故で自分だけが生き残ってしまったことに、彼は後ろめたさのようなものを感じていた。そして余命1ヶ月という時。彼は両親の遺骨を祖国に返そうと奔走する。それが彼にとってでき得る最大の親孝行なのである。
ところがこれがあっさり失敗。ちょっとあっさりしすぎ。笑える話ではあるけれど、これはちょっとひどくない?う~ん。
話は嫌いではない。「死」という暗いイメージのテーマをコメディタッチで描くという手段も良いと思う。その点は主演のジョン・タトゥーロが良い表情していたし。でもやはりブラックなイメージが残る。それがコメディの要素が薄めてしまったように感じられた。
映像的にはけっこうおもしろい見せ方をしていてよかった。CGをバリバリに使うとかそんな感じではないけど、効果的に使っていたように思う。
中でも、ベンジャミンが観る幻覚で、雨に濡れるビル郡に映る過去の思い出をCGで合成していたんだけど、CG合成にはあんまり見えなかった。むしろその中をさまようベンジャミンの姿がとても悲しく感じられる。好感の持てる作りでした。
「死」を受け入れることで、限りある「生」を悔いのないように生きる。こればっかりはその人しだい。さてあなたは「死」をそして「生」をどう受け入れますか。
2000/10/29 東京国際映画祭 渋谷ジョイシネマ