監督・脚本:山田 洋次
出演:金井 勇太/麻美 れい/赤井 英和/秋野 陽子/小林 稔侍/丹波 哲郎
2000/日本
中学3年生の川島大介は学校に対して疑問を感じ、登校拒否を始めて半年。ある日彼は、両親に内緒で屋久島の縄文杉を目指し、ヒッチハイクの旅に出たのだった・・・
山田洋次監督の「学校」シリーズ4作目は現代の悩める中学生を主人公に、監督得意のロードムービーで彼らへのメッセージを込めた作品となった。
なにはなくとも大介役の金井勇太君でしょう。雰囲気が吉岡秀隆に似ていて、「あぁ山田監督好みの少年だな」と思わせる。
最初は大介同様、不安いっぱいの表情だったけど、旅を重ね、様々な人々に出会い人生を感じるに従って、彼の表情が鋭くなって成長していくのがわかる。観ていてなんだか嬉しくなってしまった。
この映画はぜひ子を持つ親、もしくはこれから親になる人、つまりは老男若女を問わずみんなに観て欲しい。そして大人は大介少年の言葉に耳を傾けるべきではないだろうか。少年の言葉をわがままとして片づけてしまうのは簡単なことだが、そこに何か大切なことがあるように思います。
大介少年の出会う人々の中で一番印象的なのがひきこもりの青年、登と大介とのやり取り。彼らは初めて会ったのにすんなりと相手の気持ちを汲み取り、自分と近いものを感じ取る。ぼくは観ていて彼らの関係がとてもうらやましかった。
やがて別れの時が来、登が家から素足で駆け出てきて、ジグソーパズルのパネルと彼の詩を大介に贈った時、ぼくは泣いてしまった。こうして書いている時でも思い出して、泣きそうになるくらいです。その時の登の表情、いつまでもいつまでも手を振る姿、その姿を見る母親の表情がとても印象的でした。
ここで登の綴った詩は、きっと山田洋次監督の現代の若者に贈るメッセージ。
『そうだ急ぐことはないんだ。自分のペースで歩けばいい。』
そんな気持ちにさせてくれる詩を、ぼくはいつまでも心に残して置きたくなりました。
旅を終えた少年にはまだまだたくさんの旅が待っている。でも旅の後の大介ならきっと乗り越えることができるような気がします。自分のペースでね。
2000/11/26 フジサワ中央1