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2000年12月 アーカイブ

2000年12月02日

シャフト

監督・脚本:ジョン・シングルトン
出演:サミュエル・L・ジャクソン/ヴァネッサ・ウィリアムズ/ジェフリー・ライト/クリスチャン・ベイル/トニー・コレット
2000/アメリカ

ニューヨークのバーで黒人男性が血を流して倒れているとの通報を受け現場に向かう刑事達。その中にタートルネックのシャツにレザー・ジャケット姿の男がいた。男の名は”シャフト”。悪を憎み正義を貫く彼の姿は刑事達のヒーローだが、一部には嫌な存在でもあった。
シャフトは現場での聞き込みの末、白人のウォルターを逮捕。しかし資産家の息子であるウォルターは金の力で保釈され、海外へと逃れてしまう・・・

71年に公開され、シャフトスタイル、「黒いジャガーのテーマ曲」を生み出した『黒いジャガー』。そして2000年。主演に今最も人気の黒人俳優、サミュエル・L・ジャクソンを起用してクールにそしてスタイリッシュにリメイクした。

なんといってもサミュエル・L・ジャクソンがカッコイイ。COOLでSEXYなシャフトは同性の自分からみてもウットリだ。
さらに”初代”シャフトのリチャード・ラウンドトゥリーが叔父役で出演。存在感あふれる演技と失われていない魅力に、ちょっと憧れのようなものを感じました。
それと同時に彼ら2人にこの映画の根底にあるものを感じた。

というのも、この映画は「黒人の黒人による黒人のための映画」。71年当時のことはわかりませんが、まだまだ差別的な扱いだったであろう彼らにとって、「シャフト」は皆の憧れていたものを持っていた。
それは「自由」や「勇気」。映画が彼らを相当に勇気付けたことだろう。

アクション映画ってことなんだけど、最近の映画のような派手な銃撃戦ではなくいたってシンプルにまとめられている。
敵対関係の麻薬王や白人の兄チャンも人間っぽく描かれていて、全体的にシンプルに抑えた印象。殺された黒人の母親は一言もセリフがなかったけど、存在感がすっごくあった。

ストーリーの進め方にやや強引な感もあったけど、どれもこれも結果的にはシャフトがカッコ良ければすべて良し!
オープニングからカッコ良いもん。
サミュエル・L・ジャクソンのファンもそーでない方もシャフトの魅力に引き込まれます。

2000/12/2 厚木シネマミロード3

2000年12月16日

>式日

監督・脚本:庵野 秀明
原作:藤谷 文子
出演:藤谷 文子/岩井 俊二
声優:林原 めぐみ/松尾 スズキ
2000/日本

映画監督としての自分を見失いつつある男「カントク」は故郷に戻る。ある日彼は、誕生日の前日を繰り返す、明日を拒絶する少女に出会う。
興味を持ったカントクは少女を被写体にカメラを回し始める。

藤谷文子の原作をエヴァの庵野秀明が映画化。カントク役になんと岩井俊二監督が。岩井さん、しばらくみないと思ったらこんなところで俳優業やってました。

原作を基にしている映画ですが話自体を忠実に映像化しているわけではなく、テーマとかそういった基本的な所が同じという程度。
結局は庵野さんらしいというか、まぁそんな感じで構成されています。
ぼく個人の意見としては正直これはどーかなぁという気がする。アニメーションの世界から抜けきれていないように思えて仕方ない。カントクの心の声としての言葉は庵野自身の考え、思考だと思うし。
せっかく実写として「生」の感覚があるわけだし、これまでとは違った感じがあってもよかったように思います。色々こだわって作っていたみたいだし。(シネスコサイズだしアドリブシーン多いし)
まぁこれが庵野秀明だと言われてしまえばそれまでですが・・・

話の演出というか見せ方がちょっと面白い作りで、ある日を基点に「○日 X日前」というキャプションが入る。前半はまあまあ見ることができたのだけど、中盤あたりからはこっちが疲れてしまった。長ーいんだもの。
この先に、何かが起こりそうな気はさせてくれるのだけど、あまりにも長い。この長い待ち状態、監督は笑ってぼくらを見ているような気がします・・・

「あしたはわたしのたんじょうびなの」と繰り返す少女に真実の明日が訪れた時、少女の表情が青空の様に輝いて見えた。あの笑顔にとても救われたように思います。

公開劇場となっている東京写真美術館ホールの感じがなんかよかった。これからもっと様々な映画が公開されそう。個人的にもちょっと行きたい。

2000/12/16 東京都写真美術館ホール

パリの確率

監督・脚本:セドリック・クラピッシュ
出演:ロマン・デュパリ/ジュラルディン・ペラス/ジャン=ポール・ベルモンド
1999/フランス

新世紀を迎えようという大晦日。友人宅のパーティーに恋人のリュシーと参加したアルチュールは、彼女から「子供が欲しい」と迫られて動揺してしまう。
とりあえずトイレに逃げ込んだアルチュール。そこへなぜか天井から砂が。彼が上に登り進んでいくと、そこには砂に埋もれた2070年のパリが存在していた。

セドリック・クラピッシュ監督の映画をようやく観ることができた。この作品は一応SFファンタジーっぽいのだけど、描いているテーマは家族愛だとか、男女の恋の行く末は・・・といった映画の普遍的なテーマ。単純なようで奥深い、でもたぶん単純。

主人公のアルチュール(以下:アル)はちょっとだらしないけど憎めない男、ロマン・デュリス。なかなかぴったりの役でいまどきの世の男性の代表っぽい。
で、未来のアルの息子役になんとJ=P・ベルモンド。ここがこの映画のすごい所。あの充分すぎる、貫禄あふれる表情からデュリスに向かって「パパァ!」なんて言うんだもん。さすがにパパ役デュリスもひるむよ。でもだんだんとあの表情が可愛く思えてくるから不思議。
終いには「生」に対して、必死にアルに訴える姿にちょっと泣きそうになってしまった。

映像に関してはとってもカッコイイという印象。最初に出てくる映画内TVのSFドラマもなんか可笑しい。それに70年後のパリが砂に埋もれているという設定は、フランス映画っぽくない。

でもやっぱりフランス映画だなと思うのがラストのアルとリュシーのシーン。ぼくはこのシーンがとても素敵だと思う。
加えて彼女の黒の下着と腰のあたりのラインはとても美しい・・・

アルは未来と現代を行き来しながら、やがて自分のとるべき行動を決めていく。それが正しいか間違えなのかは実の所わからない。結局は愛があれば全てOKでしょ。愛に勝るものはなし。
Peut-etre(たぶんね)。

2000/12/16 恵比寿ガーデンシネマ2

2000年12月24日

ダンサー・イン・ザ・ダーク

監督・脚本:ラース・フォン・トリアー
出演:ビョーク/カトリーヌ・ドヌーブ/デビット・モース/ピーター・ストーメア
2000/デンマーク

舞台は60年代のアメリカ。チェコから移ってきたセルマは、工場で働きながら女手ひとつで息子ジーンを育てている。
セルマは視力を失っていく目の病気で、同じ病気を持つジーンのためにつつましい暮らしをしながら息子の手術の費用を貯めていた。
しかし手術費用が貯まったある日。何者かによって貯金が盗まれていた・・・

シンガー、ビョークが主演(音楽も担当)し、2000年のカンヌでパルムドール賞を獲得した作品。ビョーク自身も主演女優賞を獲っている。

このセルマ役にビョークが良く合っている。それに彼女の表情がいつもやさしい。どんなに厳しい状況下でも彼女はやさしい表情をしているのだ。
これはきっと彼女の心に音楽が満ちているからだろう。どんな「音」でも彼女にとってそれは「音楽」として耳に入ってくる。そこから彼女は夢の世界=ミュージカル映画を作り上げている。そこは憎しみも悲しみもない平和な世界だ。
しかし現実は相反するようにセルマを追いつめていく。純粋で無垢であるが故に彼女は深みにはまってしまい、抜けることができない。
ところが僕はこの無垢さに違和感があった。変に意固地なのだ。そうかと思えば急に素直になったり。なんだか彼女に振り回されていたような、附におちない感がある。

この映画、ミュージカルとドキュメンタリーを併せ持っているため、その描き方もちょっと変っている。ドキュメンタリーのシーンは現実のリアルな雰囲気を捕らえるために手持ちカメラでセルマに迫り、ミュージカルシーンになると、設置した100台のデジタルカメラでミュージカルシーンを作り上げています。
ドキュメンタリーの雰囲気はまぁ良いのですが、ミュージカルシーンに関しては物足りなさを感じました。人々の生き生きとした感じがぼくには伝わってこなかったのです。ゼロではありませんが。
セルマの夢想の世界だからかもしれませんが、小さくまとまってしまったように思います。

ストーリーに関しては、深く触れないで欲しい特にラストに関しては、と監督からのメッセージがパンフにあったので止めておきます。
でもちょっとだけ。:
結果としてはあまりにも悲しく終幕を迎える。セルマにとっての唯一の救いは息子ジーンに手術を施すことができたことだけだ。絞首台にのぼり最後の歌を口ずさむ彼女の姿は脅えることのないやさしい表情だった。その瞬間、ほんのわずかな時だけど初めて夢想と現実がつながった。セルマの望む世界に。

暗闇の中でビョークの奏でる音楽が映画を包みこむ。
悲しくもやさしく・・・

2000/12/24 厚木シネマミロード2

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