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2001年01月 アーカイブ

2001年01月01日

ザ・ウォッチャー

監督:ジョー・シャーパニック
脚本:アーサー・C・クラーク
出演:キアヌ・リーブス/ジェームズ・スペイダー/マリサ・トメイ
2000/アメリカ

FBI捜査官のキャンベルは第一線を退き、精神科に通いながら、シカゴに身を隠すように生活していた。そこへ連続殺人犯グリフィンもキャンベルを追うようにシカゴへとやって来て、再び殺人を犯していく。
さらにキャンベルに写真を送り付け犯行を予告するようになり・・・

マトリックスのキアヌ・リーブスが連続殺人犯役というスリラー映画。捜査官キャンベルを演じるのはジェームズ・スペイダー。たぶんヒロインの精神科医にマリサ・トメイ。監督はMTV出身でこれが初作品、ジョー・シャーパニック。

いきなりだけどキアヌの表情がゆるい。最初っから彼が犯人として描かれているので誰が犯人なのかという犯人探しはない。キアヌが犯人なんです。チラシにそう 書いてある。「美しくそして残虐な殺人鬼」だってさ・・・どこがですか?
殺人犯のわりに迫力が全く感じられない。つまり恐くない。手口は残虐ではなくいたってシンプルに首を絞め上げてお終いだし。手口はまぁ美しいけど、キアヌに対して美しいとは感じられなかった。

そしてキアヌと対峙するジェームズ・スペイダーに至っては魅力がなさすぎる。自分のミスを引きづり、精神科医に頼る彼を、同情はしてもそこ止まり。グリフィンが執拗なまでにキャンベルを追いかける理由も伝わってこなくて、観ていて釈然としなかった。
マリサ・トメイも結局いてもいなくても良いような感じだし・・・

結局、グリフィンは殺人犯すことでキャンベルに振り向いてもらおうという一種の愛情表現なのだ。でも対峙する人物に魅力がないから、ただ2人の男が追って追われて、追われて追っての関係に見えてしまった。

これは俳優達の力量ではなく話の上での人物描写がテキトーだから。俳優には文句つけるべきではなく脚本がXなんだよ。もしくはキャスティング。キアヌと正反対の男だったらもう少し説明がつくと思うんだけどねぇ。
ストーリーはおもしろそうな要素はあったと思うのだけど、それを活かしきれず、人物描写に関しても今一歩。なんだかもったいないつくりだ。

映像はMTV出身ということでけっこう良かった。ストップモーションを使いすぎな気はするけど、街の風景は綺麗だったし、高架下のカーチェイスはなかなか迫力もあった。まぁこの辺は撮影監督(「逃亡者」の撮影監督)に助けられたかな。
でもそれだけに脚本の弱さがもったいなく思えてしまう。カメラアングルも大事だけど、これは映画なんだから、やはり「話」と「人物描写」を重視して欲しいよ。
初作品だからこんなトコなのかなぁ・・・

2001/1/1 映画でお正月カウントダウン2001

ペイ・フォワード -可能の王国-

監督:ミミ・レダー
原作:キャサリン・ライアン・ハイド
脚本:レスリー・ディクソン
出演:ケビン・スペイシー/ヘレン・ハント/ハーレイ・ジョエル・オスメント
2000/米

新学期を迎えた、中学1年の教室。社会科教師のユージーンは生徒達に「君たちの手で世界を変える方法を考えなさい」という課題を与えた。
生徒の1人、トレバーが考えたアイデアはシンプルでユニークでとても理想的な方法だった。でも現実にできるかはわからない。そこでトレバーは、自らこの方法を試みようとする。

ディープ・インパクト』のミミ・レダーの最新作は心の暖かくなる人間ドラマ。主演にケビン・スペイシーとヘレン・ハントというオスカー俳優。トレバー少年を演じるのは『シックス・センス』のハーレイ・ジョエル・オスメント。チョイ役にジョン・ボン・ジョビも。キャスティングは豪華だ。

やはりこれだけのキャスティング。やはり俳優に注目して観たい。で注目はケビン・スペイシー。とっても丁寧に演じていたと思うし、何より仕種や言葉が実に自然な感じ。人を信じきれなくなった人間の葛藤、自分のカラを破り一歩を
踏み出せそうでなかなかできない男の繊細な感情。第三者からみるとちょっと勇気のないように見えるけど、当の本人にして見れば今までの自分を変えるのって難しいんですよ。大人になってしまうと特にね。それがトレバーの目から見るともどかしいのだろうけど

ストーリーはトレバー少年の考え出したアイデアを軸に恋愛と家族愛が絡む。そのアイデアというのは、誰か3人に今の自分、今の自分にしかできない親切、奉仕をする。そしてその恩は返すのではなく、それぞれまた別の誰か3人に親切を行っていく。これは善人主義(人は皆良い存在)に基づいた発想だ。
でもこのアイデアってさぁ、どー見てもネズミ講なんだよね。しかしネズミ講を悪用するのではなく、逆に良い事に使おうというわけだ。

となると考え出したトレバー少年は、キリストってことかなぁ。
そーなると結末は・・・そーか、そーなるんだよねぇ・・・
ぼくはこの映画でハーレイ君を初めて観た。印象としては言葉に力があるなぁと。ぼくはそんなに英語はわかりません。っていうかわからないけど、彼が大人に対して話している姿は堂々としたものを感じる。言葉の意味を理解しているからかな。
演技の方はまぁ別に・・・

この世は「可能」な事がたくさんある。少しの勇気さえあればほとんどがそれを実行できる。
この映画はその勇気をぼくらに与え、後押しをしてくれるようだ。
でもその勇気も必ず「善」につながるとは限らない。
自分が不利になることだってある。その辺が難しい・・・

2001/01/01 映画でお正月カウントダウン2001


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2001年01月05日

バトル・ロワイアル

監督:深作 欣二
原作:高見 広春
脚本:深作 健太
出演:藤原 竜也/前田 亜季/山本 太郎/安藤 政信/ビートたけし
2000/日本

子供を恐れるようになった大人達は、全国の中学3年生から無作為に選んだ1クラスに、残り1人になるまで殺し合いをさせる通称「BR法」を制定した。
今回選ばれたのは城岩中学の3年B組。生徒達は自衛隊により無人島の廃校へと連れ去られた。そこで待っていたのはかつての担任キタノだった・・・

国会で内容を問題視され、R-15指定となってしまった深作欣二監督の最新作。
中学生を描いた作品なのにR-15指定を受けてしまったのはさすがに残念。まぁ観る方法はいくらでもあるらしいから観たければなんとかなるでしょう。
でもここまで注目を浴びるようになったのはやはり国会で問題になったから。勝手に宣伝してもらって監督としては内心うれしいのでは。でなければこんなに盛り上がらなかったろうに。

1クラス42人という生徒数が映画としては多すぎで、主要人物以外は引き立て役として死んでいくだけに見えてしまった。殺され方も問題になるほどではなかったように思うし。これなら中学生でも平気だと思うけど。
前半は緊張感があって、目を背けるような瞬間もあったにはあったけど、話が進むうちにこの緊張感に慣れてしまったのかそんなに残虐とは思えなくなっていた。
むしろ笑えるような・・・っていうのはあんまり適切ではないけど、でもこれは笑って良いでしょ。

生徒の中で際立つ存在だったのがやはり山本太郎。「幾つやねん」とさすがに突っ込みたい。でもまぁストイックな人間を演じるのは結局彼くらいしかいないんだろうな。藤原竜也じゃかわいくなっちゃうだろうし。俳優もコマ不足だしねぇ。
それと殺人マシーン安藤君はイメージ払拭!白目むいてイッチャてます。
一方ヒロインではやはり前田亜季かなぁ。雰囲気が良いよなぁ。秋也でなくとも守りたくなるね(デレデレ)

原作とはだいぶ違っているようで・・・僕は原作は読まない性分なのであんまり気にしないで観られました。やはり小説は小説、映画は映画で考えて欲しい。それだけで見方が少し変わるかと思います。

2001/1/5 フジサワ中央1

2001年01月14日

キャラバン

監督:エリック・ヴァリ
脚本:オリヴィエ・ダザ
出演:ティレン・ロンドゥップ/カルマ・ワンギャル/ラプカ・ツァムチョエ/グルゴン・キャップ
1999/フランス・ネパール・イギリス・スイス

チベットに近い北ネパールのドルポ地方の村に住む人々は、ヤクを引き連れ農村に塩を運ぶ”キャラバン”で生計を立てていた。
ある時キャラバンの帰路で長老の長男が事故で命を失ってしまう。それをきっかけに次の指導者を巡り長老達と若者が対立。別々のキャラバンを結成し、それぞれ旅立つのだったが・・・

セブン・イヤーズ・イン・チベット』のユニット・ディレクターを務めたエリック・ヴァリが長年暮らしているネパールを舞台に、村で暮らす人々の営みを忠実にカメラで切り撮った。

ほとんどの出演者は演技経験がない土地の人。唯一映画出演の経験があるのがラプカ・ツァムチョエ(『セブン・イヤーズ~』)だけ。まぁそこに住んでいる人の暮らしをしていればいいわけで特に演技力とかは求める必要はないんだけどね。

一見ドキュメンタリーのようだがちゃんとストーリーがあって、これがなかなか素晴らしい。
物語は長老の孫パサンが初めてキャラバンで目にする自然の優しさと厳しさ、長老ティンレの強さとそれに反発する若きリーダー、カルマの2人の男の葛藤。
ティンレの厳しい口調はちょっとわがままに聞こえるのだけど、その必死な眼差しが何か強い意志、信念、誇りがあって、その時ヒマラヤの山々が確かに彼に味方していた。

そしてこの映画の魅力は「撮影技術」。画面一杯に広がる山々、どこまでも続く山の頂はスクリーンを通して観ても圧倒されるほど。標高5000メートルの地でオールロケに偽りのなし。
しかし自然は優しいだけでなく時に厳しい姿を見せることもある。怖いくらいに青く輝く湖や雪原のキャラバン隊を襲う猛吹雪。それでも自然と共に生きる人々は、前を向いて進まなければならない。

どのシーンも手を抜くことなく、計算されたカメラアングルを余すところなく観て欲しい。画面を観ているだけで絵に説得力があるので映像の力を充分に知らしめてくれる。
とても充実した時間を過ごせることができる映画でした。

2001/1/14 渋谷シネマライズ

2001年01月28日

シベリア超特急2

監督・原作:水野 晴郎
脚本:北里 宇一郎
出演:水野 晴郎/淡島 千景/草笛 光子/光元 幸子/二宮 さよ子/寺島 しのぶ/加茂 さくら/長門 裕之
2000/日本

第2次世界大戦直前。欧州各国の情勢を視察した山下奉文陸軍大将は、帰国のためシベリア鉄道に乗車。しかし謎の線路爆破事件が起こり、満州の菊富士ホテルに宿泊することになった。そしてその夜、ホテルの一室で殺人事件が起こり、アリバイのない山下大将に疑いが・・・

前作『シベリア超特急』が受けたことに気を良くした水野晴郎の監督作2作目。今回は脚本を除いて監督・原作・脚色・主演とそれでもやはりフル回転でやってくれます。

僕は残念ながら前作をいまだに観ていません。まぁ話につながりはないのでその辺の心配はなし。ちなみに観に行った劇場ではレイトショーで前作の「ディレクターズカットアメリカ版」というのをやってました。さすがにそこまでの熱意はないけど・・・でもビデオは観たいなぁ。

さて内容はというと・・・山下将軍がシベリア鉄道を利用したのは事実。そこをハルオが思いっきりフィクションとして作り上げた世界。そこはハルオの世界でハルオが”絶対”の存在。
ブライアン・デ・パルマの長回しに挑戦したいと言えば誰がなんと言おうとやる。その結果、例えハルオ自身がトチりそうな部分があっても他がOKならそれで良し!だいたいハルオの演技力なんて誰が期待するのだろうか。いやしないね。ハルオに期待するのはどれだけこの映画を引っ掻き回してくれるのかということでしょ。彼を観ているとドキドキするもん。心配でもあり、何をやらかしてくれるのかという期待で。

でも何がハルオをそこまで駆り立てているのか・・・。それはやっぱり映画を創るという夢なんだろうな。そして映画が好きってこと。スクリーンのハルオの顔はとても嬉しそうだし、監督として創っている時も、苦労もあるけどそれでも楽しそうにしている顔が浮かんでくる。
ということで水野さんには完結するまでこのシリーズを創り続けて欲しい。まだまだネタはお持ちでしょうから。

まぁどれほどのものかはその目で確認してください。ってお勧めはできませんが、観たい人は観ろ!

2001/1/28 銀座シネパトス

リトル・ダンサー

監督:スティーヴン・ダルドリー
脚本:リー・ホール
出演:ジェイミー・ベル/ジュリー・ウォルターズ/ゲアリー・ルイス/ジェイミー・ドラヴェン
2000/イギリス

イングランド北部の炭坑町。炭坑労働者のパパと兄を持つビリーはボクシング教室に通う11才の少年。ある日ボクシング教室の隣でバレエ教室が行われ、興味を持ったビリーはなんとなく参加。ビリーの才能に目をつけたバレエのコーチは、バレエ学校のオーディションの話を持ち掛けるのだが・・・

この映画の原題は「ビリー・エリオット」。これは主人公の少年の名前をとったものだ。その名の通り、ビリー少年の悲喜こもごもの少年期がきっちり詰まった映画。
ビリー役には2000人以上もの中から選ばれたジェイミー・ベル(当時13才)。感情をダンスで表現するといった難しい(と思う)ことをとても素直に演っていて、ビリーの性格にとてもぴったりだった。あんまり可愛い表情を見せることなく、でも踊っている時はスクリーンの誰よりも輝いて見えた。

イギリス映画で子供が主人公というのがちょっと新鮮な感じがした。しかもサクセスストーリーというのは個人的にも結構好き。『遠い空の向こうに』なんかもそうだったし(あれはアメリカでノンフィクション作品だけれど)。
イギリスというと、どうもドラッグやらバイオレンスやらとダークなイメージがあるけれど、最近はそんなイメージを覆しつつある。

子供が主人公とはいえ、ありがちな可愛い表情なんて見せない。むしろ客観的な視点を持っていてませている印象が強い。まだ子供ではあるけれど、早く大人になりたい、認められて自立したいというのが感じられた。みんながみんなではないだろうけど、イギリスの子供の一面がここには描かれていた気がします。

でも「自立」はその前に「家族」の存在があって成り立つこと。ビリー少年の家庭はママを早くに亡くし、パパと兄はストライキ中と家庭崩壊に近い状態だった。しかしビリー少年の夢が一家を一つに、そして町の人々の気持ちさえも一つにしていった。
しかし「家族」を取り戻した時、その後の別れはやはりさびしい。ビリーを乗せたバスに、兄の「さびしい」という言葉はとても印象的だった。
パパもさびしそうではあったけど、でもどこか父親としての喜びがあった気がする。

シーンのつなぎ方がとても丁寧に作られていてかなり観やすかった。音楽にノッてリズムよくテンポよく話が進むので立見だったけど飽きることなく、さらにジョークも冴えていてかなり笑える。
最後まできっちり描き切って、映画館を出た後も心地良い余韻に浸れることができたし。何度も観たくなる心暖まる映画です。

2001/1/28 シネスイッチ銀座

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