楽園をください
監督:アン・リー
原作:ダニエル・ウッドレル
脚本:ジェームズ・シェイムス
出演:トビー・マグワイア/スキート・ウーリッチ/ジェフリー・ライト/ジム・カヴィーゼル/ジョナサン・リース・マイヤーズ/ジュエル
1999/アメリカ
1861年。アメリカは南北に分断され南北戦争が繰り広げられていた。主戦場から離れた地、ミズーリ州でもその戦火は広がっていた。
ドイツ移民のジェイクは本来北軍派だが、生まれ育った地のため、南軍のゲリラに加わり、激しい戦場の地を駆け抜けていた。その中で出会う様々な男達、やがて彼らは「ローレンスの大虐殺」を巻き起こし、北軍に狙われて・・・
舞台はアメリカ史上最悪と言われる南北戦争の時代。この時代を生きた若者達の抱えた葛藤を、トビ-を中心に置き、台湾人監督アンリ-が迫る。
キャストがなかなか興味深いので、一通り挙げておくと・・・トビーマグワイア『サイダー・ハウス・ルール』、スキートウーリッチ『スクリーム』、ジョナサン・リース・マイヤーズ『ベルベット・ゴールドマイン』、ジム・カヴィーセル『シン・レッド・ライン』、ジェフリー・ライト『バスキア』と豪華の顔ぶれ。今注目の若手が集まっている。
その中でも僕のお気に入りはトビ-・マグワイア。もう言うことないです。あの年齢(撮影時22歳!)であの雰囲気はすごいよ。長髪時の雰囲気と髪を切った後の雰囲気は全く違う。どこか陰りを帯びた表情がとても印象的。いろんな表情でいろんな角度から観るトビーは観ていてとってもドキドキする。
相手の顔が判別できそうな位近い距離での銃撃戦はかなり凄まじい。映画では「ローレンスの大虐殺」と呼ばれる事件も取り入れ、正常を異常へと狂わせる戦争を独自の視点を交えつつ史実にのっとって描いています。
アン・リ-監督は個々の描き方が上手い。今回トビ-中心ではあるけれどちゃんと周りの人物にも、なにかしらを背負っていてそれぞれに「生きて」いるのだ。
特にホルト役のジェフリー・ライトの存在感が僕には印象に残った。遠くを見つめ何を想っているのか・・・
一見、台湾出身のアン・リーが南北戦争を題材に映画を作ることは変な感じがするけど、彼はアメリカを中心に活動をしてきたわけだからそれほど違和感はない。
ただ南北戦争が奴隷の解放を発端とした自由のための戦争というだけのような見方をされるのはあまりよくないかなと。戦争は政治的な部分が大きく作用していると思う。自由のための戦争なんて所詮美徳な見方だ。
戦争の中で青春を過ごす彼らのまっすぐな目は常に前を見ている。周りに惑わされることなく、非現実的な中においても自分は正常であろうと懸命なのだ。
強くて、そして優しい映画です。
2001/3/1 日比谷シャンテ・シネ