ハイ・フィデリティ
監督:スティーブン・フリアーズ
原作:ニック・ホーンビィ
脚本:D.V.デビンセンティス/スティーブ・ピンク/ジョン・キューザック/スコット・ローゼンバーグ
出演:ジョン・キューザック/イーベン・ヤイレ/ジャック・ブラック/トッド・ルイーゾ/ティム・ロビンス
2000/アメリカ
シカゴにある中古レコード店"チャンピオンシップ・ヴァイナル・レコ-ド"のオーナーロブは音楽に囲まれた生活に安らぎを感じていたが、どこかふがいない自分に不安感を持っていた。
そんなある日、同棲していた恋人のローラに逃げられてしまったロブは自分の失恋僻の理由を探るため、今までに付き合った女性達に会ってたずねようとする。
原作に惚れ込んだジョン・キューザックが製作から脚本、音楽監修、そして主演と、そうとうな熱意から生み出された本作。
原作の舞台はロンドンなのだがそれをシカゴに置き換えたのも彼。かなりジョン・キューザックの気持ちが入っています。
この映画はロブがカメラに向かって状況を説明しながらストーリーが進んでいく方法をとった。
観客はスクリーンをとおしてロブの話(または言い訳)を聞いてあげるような感覚だ。この方法だと観客は一気にロブの味方となり、ロブを責めたてるローラに対して、彼をかばうような気持ちになってくる。
とはいうものの、これはぼくが男だからかもしれない。女性ならやはりローラ側に立って、同じようにロブを責めるのかもしれない。
だらしなさそうに見えるロブだけど、男のぼくから見るとちょっとうらやましい人生だと思う。
最後には振られてしまうとはいえ、かなりモテモテ度の高い人生を歩んでいるし、好きな音楽(ここではCDではなくレコード)に囲まれて、ある程度の充実はしているように思う。
でも心のどこかで本当の自分を探している。レコード店のオーナーなんかじゃなく、もっと上のなにかを。でもそれに向かっての一歩は踏み出せない。
そう彼に足りないものはわずかな勇気や素直な気持ちを表現することだ。あと一歩踏み出せば状況が逆転、もしくは前に進む時に限って彼はマイナスの考えを抱きはじめ、言動に表してしまう。ローラに逃げられたのもたぶんそんな所だろう。
男性はロブの味方として、女性はローラの気持ちがとても理解できるかもしれない。向上心の強い彼女は憧れの女性像だろう。でも彼女の自分の向上心を押し付けるような言動がロブには可哀想だ。ロブ自身だってわかっているけど、いくら恋人とはいえ他人に言われるとつらいし反抗的な態度をとりたくなるんだよ。要はお互いの理解なんだろうけど・・・なかなか・・・。
そんなロブを取り囲んでいる人々(特にレコード店のスタッフ)はかなり濃いキャラクターを持った人ばかり。「静」のディックと「動」のバリ-の2人は観ていてとても楽しいコンビだ。
バリー役のジャックは非常にインパクトを与え、またこの映画をユニークなものに仕上げてくれていてこのへんはキャスティングの勝利でしょう。
またロブとローラの共通の友人リズとしてジョーン・キュ-ザック(ジョン・キューザックの姉)を配するあたりがなんともニクイなぁ。
主人公が音楽好きなだけに音楽に溢れているこの映画。時にやさしくロブを包み、時には彼の気持ちを表すかのごとく流れ出す名曲の数々。手抜きなしの選曲に音楽好きにはたまらない一本です。
2001/4/1 恵比寿ガーデンシネマ