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1997年05月08日

SPACE JAM

監督:ジョー・ピトカ
脚本:レオ・ベンベヌーティ/スティーブ・ルードニック/ティモシー・ハリス/ハーシェル・ワイングロッド
出演:マイケル・ジョーダン/ウェイン・ナイト/テレサ・ランドル/ビル・マレー/ラリーバード

はるか宇宙の果てのアミューズメント・パーク。最近、古くさいアトラクションがネックになって経営不振だ。なにか人気者をと狙ったのは、バッグス・バニーら”ルーニー・テューンズ”。バッグス達は、小柄な宇宙人とバスケットボールで対決することになったが、宇宙人はNBA選手の才能を吸い取って巨大なモンスターに変身。バッグスはバスケを引退して、野球選手になっていたマイケル・ジョーダンに助っ人として協力してもらい試合に挑む…

バスケファンなら必見でしょう。ジョーダンを始め、バークリー、ユーイングにバードも出演。他にもNBA選手がたくさん出演しています。しかもこの映画はアニメと実写の合成である。誰もいないところに話し掛けるジョーダン、演技はさぞ大変だったであろう。
それに、ジョーダンの野球への転向の真意も語られていたりするし。
アニメのエンターテインメントとして観ても、なかなかおもしろいと思います。

1997/05/08 藤沢オデオン館

1997年05月29日

HOOP DREAMS

監督:スティーブ・ジェイムス
撮影:ピーター・ギルバート
出演:ウィリアム・ゲイツ/アーサー・エイジー

ウィリアムとアーサーは共に14才。シカゴ郊外のスラムで暮らしている。
1人は貧しい生活から抜け出したいと願い、NBAに夢を託している。そんな2人は、バスケットの名門高校からスカウトされ、奨学生として入学する。しかし2年生になる頃、アーサーは学費が払えず、転校することに。一方ウィリアムは才能を開花させ活躍し始める。ところが、膝の故障で手術を受けることになり…果たして2人は、NBAに入ることができるのか。それとも…

2人の少年の高校入学から大学生までを追ったドキュメンタリー。いかにアメリカの黒人少年がNBAに夢を見ているか、そして日々の生活の苦しさを2人を通して、カメラは淡々と映しとっています。僕らはただ、スクリーンに映る彼らとその家族や友人の苦悩と喜びをじっと見つめるだけです。夢という名のフープ(ゴールのわっか)にシュートする少年達の姿がとても印象的で、カッコイイ映画です。
1997/05/29 渋谷シネ・アミューズ

1997年07月03日

EVANGELION DEATH AND REBIRTH

監督・脚本:庵野 秀明
声優:緒方 恵美/三石 琴乃/林原 めぐみ/宮村 優子/山口 由里子

時は2015年。2000年に起こった、南極でのセカンドインパクト(ビックバンのような爆発)により海面が上昇し世界中が沈没状態になっていた。そんな地球に”使徒”と呼ばれる異生物が侵略。人類は「EVANGELION」と呼ばれる人型ロボット兵器により使徒を全滅。滅亡の危機を脱した。
しかし、”EVANGELION”を有するネルフは、「人類補完計画」を遂行するゼーレにより、自衛隊の攻撃を受け壊滅寸前に陥る…

テレビアニメの続編を劇場公開。「DEATH編」では、TV版の総集編というか、キャラクターの紹介。「REBIRTH編」は、TVの続き、第25話にあたります。(TVは第二十六話まで。ラスト2話はシンジの内側を描いただけで終わった。)このアニメは謎が多く、すべての謎の答えを理解するのは難しい。
ひとつのテーマとして「自分探し」があるが、登場人物と自分の現状をシンクロさせて、自分の内側をアニメを通して把握する感覚かなぁ(あ~書いててもよくわからなくなってきた)。
今回は、25話で終わっていますが、夏には26話目が公開されます。

1997/07/03 新宿東映パラス

1997年07月17日

もののけ姫

監督・脚本:宮崎 駿
声優:松田 洋治/石田 ゆり子/田中 裕子/小林 薫

北の果てに住むエミシ一族を、突然、タタリ神が襲う。アシタカは村を守るため、タタリ神に矢を放つ。しかしその時、アシタカの腕に死の呪いがかけられてしまう。その夜、アシタカは村の巫女のお告げにより、西の果てのシシ神の森に旅立つ。いくつかの村と戦を越えてシシ神の森に辿り着いたアシタカは、そこで犬神の一族と、サンという少女に出会う。

ジブリの映像美がとても素晴らしい!細部にまで丁寧に仕上げられています。久石譲の音楽もとてもいい。なんだかこの映画はすごいな。多くのことを取り扱いながら、よくまとめられている。ただそれは、逆にただ扱っただけ、問題提起をしただけにすぎないという感もある。確かにこの先、自然と人間との関係は重要なテーマである。その解決策は、具体的には未だないのが現実なのだろう。
それと、アシタカとサンについて。愛する人の心を開いていく姿は、まさに恋愛ドラマのよう。これをこの映画の中でやってしまうのは宮崎駿のすごさではないだろうか。
2人の姿を通して、これから先の自然と人間の関わり合いにおける人間のすべきことが、見えてくるのかもしれない。

1997/07/17 フジサワ中央

1997年07月22日

THE END OF EVANGELION

監督・脚本:庵野 秀明
声優:緒方 恵美/三石 琴乃/林原 めぐみ/宮村 優子/山口 由里子

使徒を全滅させたネルフ。しかしそれは、「人類補完計画」の始動を意味するものでもあった。ネルフを占拠しようとするゼーレ。抵抗するネルフ。
そんな時、アスカの弐号機が起動する。次々と戦略自衛隊の艦隊を破壊していくアスカ。しかしアスカの前に、5号機から13号機のエヴァが空から舞い降りる。アスカに残された時間は3分半。
そしてミサトは、シンジを連れて初号機へ向かおうとするが…

前回の劇場版の続編。これで完結ということになっていますが、これを観れば全ての謎が解けるかというと疑問です。今回の話の中でも謎めいたシーンはあるし。聖書類の本を読んだりすれば、それらのシーンや言葉の意味を理解することができるかもしれない。
でも、色々な解釈を観た人ができるところが、この映画のおもしろさなのだと思う。もし興味があるなら、TVシリーズを合わせて観たほうがいいでしょう。
あまり深みにハマルとしんどいのでご注意を。

1997/07/22 藤沢スカラ座

1997年09月11日

バスキア

監督・脚本:ジュリアン・シュナーベル
原作:レヒ・マジュースキー
出演:ジェフリー・ライト/デヴィット・ボウイ/デニス・ホッパー/ゲイリー・オールドマン

1979年、ニューヨーク。公園の林の中のダンボール箱で寝るバスキアは、有名になりたいと願うグラフィティ・アーティスト。彼のグラフィティは、王冠と”SAMO”というサインが目印だ。
バスキアは恋人のジーナや友達のベニーと楽しく生活していたが、あるパーティーでバスキアの絵を見た美術評論家のルネに「君をスターにして見せる」と
約束される。

27才という若さで他界したバスキアの生涯を映画化。ウォーホル役にデヴィット・ボウイなどキャストもなかなか豪華。バスキアの才能に目を付け、彼の絵がわかるのか?な人達が自分の欲のために彼に近づく。その一方では有名になるにつれて疎遠になっていく恋人や友人。残ったのは自分一人…
悪評に苦しんで失われていくバスキアの自分らしさ。彼の成功とその裏の苦悩を、ジェフリー・ライトが、繊細に表現しています。

1997/09/11 恵比寿ガーデンシネマ

1997年10月01日

フィフスエレメント

監督・脚本:リュック・ベッソン
衣装:ジャンポール・ゴルチエ
出演:ブルース・ウィリス/ゲイリー・オールドマン/ミラ・ジョボビッチ/クリス・タッカー

1914年。エジプトのナイル河近くの寺院に宇宙で最高の知能を持つモンドシャワ人が降り立った。彼らは、火、水、土、風の4つの要素を表す石を持ち去り、一つの予言を残した。「300年後、悪が地球を滅ぼしにやってくる」と…
それから300年後の23世紀。コーベンは元軍人のタクシードライバー。ある日、運転中に車の屋根を突き破って、1人の少女が飛び込んできた!彼女の美しさに一目ぼれしたコーベンだが、実は彼女は地球の危機を救う至高の存在だった。
その時宇宙では、邪悪な生命体が地球に向かっていて…

グラン・ブルー、レオン、で人気のリュック・ベッソン最新作。なんでも16才の頃に作り始めた話だとか。
テンポがすごく良くて、DJ役のクリス・タッカーがいいテンポを作り出していて緊張感漂うアクションシーンにおいて良いアクセントになっていてとても楽しい。
実はとてもちゃんとしたテーマがあるのかもしれないけど、とりあえずそんなことは抜きにして純粋に23世紀の世界の姿とエリック・セラの音楽と人と人の愛の姿を堪能してください。

1997/10/01 フジサワ中央

1997年10月30日

愛する

監督・脚本:熊井 啓
原作:遠藤 周作
出演:酒井 美紀/渡部 篤郎/岸田 今日子/小林 桂樹

クリスマスの日に出会った森田ミツと吉岡努。2人は出会ったその日に一夜を共にする。それ以降ミツは吉岡と付き合いだすのだが、吉岡は人の良すぎるミツをうっとおしく思うようになる。しかし彼女のやさしさに触れる内に吉岡は心を開いていく。そんなある日、ミツの右腕に赤いアザが浮き出ていて…

遠藤周作の「わたしが・棄てた・女」からの映画化。館内のほとんどが年配の人だった。日活の作品だったからかな。それとも原作のファンか。
テーマは「愛」と「ハンセン病」。愛する人への思いを捨て切れないミツの姿が、とてもいとおしく思える。ハンセン病についての説明するシーンが多いのは、仕方がないことか。でもその辺りの事情を知らない僕には助かったけど。
なんか展開に雑な気がするところもあったけど、やっぱりラストには涙がこぼれてしまいました。愛し、愛される人生は美しいな…

1997/10/30 横浜オスカー

1997年10月31日

東京日和

監督:竹中 直人
原作:荒木 陽子+経惟
脚本:岩松 了
出演:中山 美穂/竹中 直人/松 たか子/田口 トモロウ/三浦 友和

フリーカメラマンの島津巳喜男は、妻ヨーコとマンションで2人暮らし。ある晩、巳喜男の昔の同僚がやってくるが、ヨーコは以前、「水谷」を「谷口」と間違えたことを気にして出てこない。その日からヨーコの奇妙な行動が始まる。3日間帰ってこなかったり、飛蚊症になってしまったり、近所の男の子に「おばあちゃん」と呼ばれたり、その男の子に女の子の服を着せたり。そんなヨーコを巳喜男は、ただ見つめるしかなかった。
7月7日、それは2人の結婚記念日。巳喜男は新婚旅行で行った柳川に行くことを計画する…

荒木経惟の原作を竹中直人が監督。この映画の鍵は中山美穂。つかみどころがなく、この世にいる者ではない感じのヨーコを好演。そんなヨーコを巳喜男は愛して大事にするけど、ヨーコに「あんまりみないで欲しいの、私のこと」といわれてしまう。この言葉の意味する事はもしかして巳喜男にとってものすごいショックなことではないだろうか。
それでも巳喜男の被写体はほとんどヨーコなのは変わらない。必ず「ヨーコ」と呼びかけて振り向かせ、ファインダー越しに彼女を見ている。ファインダー越しの彼女はより美しい存在に思えてくる。特に舟に乗っているシーンが僕は好き。おだやかで素敵なシーンだった。
この映画にはいろんな人がチョイ役で出ているから、チェックして観てみるのもおもしろい。ちなみに松たか子ってメガネかけてもいい女だった。

1997/10/31 川崎国際劇場

1997年11月04日

萌の朱雀

監督・脚本:河瀬 直美
出演:國村 準/尾野 真千子/和泉 幸子/柴田 浩太郎/神村 泰代

吉野杉で知られる奈良県吉野村。田原孝三は、この村に母、妻、娘のみちる、そして姉の息子の栄介と暮らしていた。過疎化の進むこの村で、予定されていた鉄道建設が途中で中止になってしまい村の者はなすすべなく途方に暮れていた。
それから15年後、みちるは栄介に、恋心を抱くようになっていた。しかし、鉄道工事に参加していた孝三は、働く気力を無くしたまま。
そんなある日、孝三は愛用の8ミリカメラを持って、家を出てしまう。

本年のカンヌ映画祭でカメラドール賞を受賞した本作品。言葉はとても少なくても、人と人は目やその場の間で相手の気持ちを察することができる、ということにとても感動してしまいました。吉野村で暮らす人々を、カメラは淡々と映しながらもどこかやさしく見つめている。
スクリーンに広がる緑の木々は風に揺れて葉を擦り合わせて、音を奏でる。映画館のスクリーンからの光が、観ている者をやさしく包みこんでくれます。

1997/11/04 銀座テアトル西友

1997年12月17日

セブン・イヤーズ・イン・チベット

監督:ジャン=ジャック・アノー
脚本:ベッキー・ジョンストン
原作:ハインリヒ・ハラー
出演:ブラッド・ピット/デビッド・シューリス/ジャムヤン・ジャムツォ・ワンジュク

1939年、秋。ナチスドイツに併合されたオースオリア。ハインリヒ・ハラーは身重の妻を置いて、登山隊と共にヒマラヤ登頂への旅に出る。しかし、第二次世界大戦開戦により、イギリス植民地内のインドに居たハラー達は捕虜として収容されてしまう。何度も脱出を繰り返すハラーだったが、ある日、妻から離婚届の入った手紙が送られて来る…
収容生活2年目。ハラーは、登山隊の助けを借りて脱出に成功、登山隊の1人、ペーターと1945年、チベットのラサに辿り着き、ダライ・ラマと出会う。

実在する登山家ハインリヒ・ハラーの原作を映画化。なにはなくともブラッド・ピットでしょう。とりあえず前半は彼に魅了されるでしょう。かっこよすぎ。
でもダライ・ラマ登場以後はすっかりおとなしくなって、ダライ・ラマにより、利己的な自分を改めていくハラー。このダライ・ラマ役の少年の純真な笑顔に、観ている者も癒されていく気がします。美しい自然と壮大なチベットのラサを背景に、ハラーとダライ・ラマの心の交流を存分に味わって欲しい。

1997/12/17 藤沢オデオン館

1998年02月03日

CURE

監督・脚本:黒沢 清
出演:役所 広司/うじきつよし/萩原 聖人

ある時、連続殺人事件が発生する。被害者は皆、首筋をX字に切り裂かれていた。犯人はそれぞれ逮捕されるが、動機がはっきりしない。事件に疑問をもった刑事の高部は、精神科医の佐久間と共に事件の捜査を始める。
しかし、高部は精神病を患っている妻の面倒に疲れ始めていた。さらに、捜査の進まないことにも、苛立っていた。そんな時、ある男が捜査上に浮かび上がる。犯人は皆、その男に会った後、
犯行に及んでいたのだ。男の名は間宮。高部は間宮の秘密を探り始める。

間宮役の萩原聖人がとても不気味。人間の正常と異常は、常に隣り合わせだ。人間は自分の感情すらコントロールできない愚かな動物だ。堕ちていく高部の精神。ラストに不適に笑う高部の姿がとても怖い。あなたは間宮の言葉の前に、正常でいられるでしょうか…

1997/12/17 横浜シネマリン

1998年02月10日

月とキャベツ

監督・脚本:篠原 哲雄
脚本:真柴 あずき
原作:鶴間 香
出演:山崎 まさよし/真田 麻垂美/ダンカン/鶴見 辰吾

人気バンドのヴォーカリストの花火はバンドの解散後、都会を離れ、田舎町でキャベツを育てて生活している。彼は、音楽への自信を失い、心を閉ざしてしまっていたのだ。ある夏の日、花火の前に不思議な少女、”ヒバナ”が現れる。しつこくつきまとうヒバナに、花火はうっとうしく感じていたが、ヒバナの明るさに触れるうちに心を開いていく。ヒバナのダンスに刺激を受けて、花火は曲を作り始める。

花火がしだいにヒバナを受け入れていく姿を、淡々と描いているのが、僕は好きです。人と人が、こんな風に距離を縮めるのはたぶん理想だと思う。この映画の出演者はみんな”目”がすごくいい。特にヒバナの目を観ていると引き込まれてしまいそう。窓の向こうに輝く月が、とてもきれいでした。花火の姿を自分に重ねると、なんだか勇気が出てきます。

1998/02/10 池袋ACT-SEIGEI THEATER

1998年03月05日

ニル・バイ・マウス

監督・脚本・制作:ゲイリー・オールドマン
制作:リュック・ベッソン/ダグラス・アーバンスキー
音楽:エリック・クラプトン
出演:レイ・ウィンストン/キャシー・バーク/チャーリー・クリード=マイルズ

イギリスはサウスロンドンのデプトウッド。失業中のレイモンドは、夜になると義弟のビリーや仲間達とパブにくりだす生活を送っている。ビリーは母親のジャネットと祖母と暮らしているが、母親が稼いだ金を麻薬につぎ込む麻薬常習者。ジャネットはそんなビリーの姿に、悲しみにくれるだけだった。さらにジャネットにはもう一つ心配なことが娘ヴァレリーの夫、レイモンドの事だ。2人の間にはかわいい娘がいるが、酒癖の悪いレイモンドはヴァレリーに暴力を振るうのだ。ヴァレリーはただ耐えるのみ。しかし、レイモンドの暴力はさらにエスカレートするのだった。

イギリスの労働者階級の失業、アルコール、麻薬、暴力、という生活が直視するのがつらくなる程、スクリーンに映し出されます。特にレイモンドの暴力を受けるヴァレリーの姿は痛々しい。顔は腫れ、流産しても、彼女が別れないのはなぜなのか。その場に留まるしかしか選択することができないのか。きっと彼女はレイモンドのやさしい姿を、そして彼の苦しみがわかるのではないだろうか、と僕は思った。かわいい少女の瞳に、両親の幸せでやさしい笑顔が映ることを祈りたい。

1998/03/05 恵比寿ガーデンシネマ

1998年03月19日

四月物語

監督・脚本:岩井 俊二
撮影:篠田 昇
照明:中村 祐樹
出演:松 たか子/田辺 誠一/加藤 和彦

北海道から大学入学のため、東京に出て来た楡野卯月(にれのうづき)。彼女がその大学を選んだ理由は、ある不純な動機だった。慣れない都会での一人暮らしに戸惑いながら、卯月の新しい生活が始まる。

あ~松たか子ってきれいだな~って思った。これを観ると。都会の生活に慣れてない初々しい感じがいいんだよ。
それに、「岩井組」の映像がとてもよかった。春のやさしい光が映画を包んでいて、とてもあったかい雰囲気なのです。「昔の自分はあの時~」って、思い出してしまうでしょう。1時間ちょっとが短く感じるかもしれないけど、かえってその後の卯月を想像したりできるから、ちょうどいいんじゃないかな。

1998/03/19 渋谷シネ・アミューズ

1998年04月06日

グッド・ウィル・ハンティング -旅立ち-

監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:ベン・アフレック/マット・デイモン
出演:ロビン・ウィリアムズ/マット・デイモン/ベン・アフレック/ステラン・スカルスゲルード

南ボストンに住むウィルは、保護観察処分中でマサチューセッツ工科大学の清掃職員として働いている。仕事のない時は、友人のチャッキー達と、バーにくりだす日々を送っていた。ある日、いつものように大学の校舎の清掃作業中、廊下の黒板に書かれた難問を簡単に解いてしまう。ウィルは、人の数十倍の速度で本を読みこなしてしまい、複雑な定理も簡単に理解してしまう才能の持ち主だったのだ。そんな彼の才能に目を付けた数学教授のランボーは、裁判で拘留を言い渡されたウィルを、週2回の研究所での勉強と、週1回のセラピーを条件に引き取る。ランボーはウィルのセラピストとして、大学時代のルームメイト、ショーンを訪ねる。

やっぱり映画っていいなぁ。こういう映画を観た後って清々しい。心の友、親友や恋人の大切さをテーマにした映画は多々あると思うけど、ストーリーがつまらないとテーマが活きてこないことも。でもこの映画のストーリは格別だ。実際に親友でもあるマット・デイモンとベン・アフレックの共作。彼らのセリフは心に響くものばかり。特に今回、脇役にまわったロビン・ウィリアムスやウィルの親友、チャッキー役のベン・アフレックのセリフはとても素晴らしい。傷つくことを恐れず、飛び込む勇気の大切さを教えてくれる素晴らしい映画です。

1998/04/06 藤沢キネマ88

1998年05月12日

ビヨンド・サイレンス

監督・脚本:カロリーヌ・リンク
脚本:ベス・セルニン
出演:タティアーナ・トゥリープ/シルビー・テステュー/ハウィー・シーゴ/エマニュエル・ラボリ

ミュンヘン郊外に住むララは8才。父マーチンと母カイは耳が聞こえずララは幼い頃から手話を覚え、両親の通訳を務めている。そんなララの憧れは父の妹でクラリネット奏者のクラリッサ。しかしマーチンは自由奔放な態度、なにより聾のマーチンを嘲笑うように音楽を奏でるクラリッサをあまり良く思っていなかった。クリスマスの日、クラリッサは幼い頃使っていたクラリネットをララに贈る。嬉しそうに吹いて見せるララにマーチンの気持ちは複雑だった。そして10年の時が経ち、ララは音楽学校を受ける決意をする。

実際に聾の俳優が演じていて、彼らの表情はとてもリアル。それになんといっても前半のララを演じる少女。通訳をごまかしたり、ちょっと大人の一面を見せる姿はとってもかわいい。娘と父親の葛藤に悩みながら、お互い成長していく様はとても素敵。家の外で静かに降り積もる雪と家の中のやわらかい灯かりがとてもあたたかい。ハッピーなエンドに涙してしまう心暖まる映画です。

1998/05/12 銀座テアトルシネマ

1998年05月30日

卓球温泉

監督・脚本:山川 元
出演:松坂 慶子/蟹江 敬三/牧瀬 里穂/ヨースケ

結婚以来、専業主婦を続けている藤木園子。しかし最近は、夫や高校生の息子との会話はなく、日々の暮らしに行き詰まりを感じ始めていた。そんな時、園子は自分の気持ちを相談したラジオのDJに、「家出でもしちゃえば」と言われ、家出を実行する。彼女の向かう先は一体…

これは松坂慶子の魅力に尽きるでしょう。こんな生き生きとした人が自分の母親だったら、妻だったらって世の男性は思っちゃうよ。
この映画内のセリフはとっても印象深いものが多い。こういうのを観ると、邦画っていいよなって思います。日本人なので日本語だからわかることってあるわけです。
これを見て、相手の気持ちを少しでも考えるきっかけになるのかもしれない。

1998/05/30 フジサワ中央

1998年06月16日

シューティング・フィッシュ

監督・脚本:ステファン・シュワルツ

脚本:リチャード・ホルムズ
出演:ダン・フッターマン/スチュアート・タウンゼント/ケイト・ベッキンセイル

バイト先で出会ったディランとジェズ。ディランは、失読症だが口が上手く、ジェズは口下手だが、テクノおたく。2人は共通の夢、”大邸宅を買う”のため詐欺のセールスを始める。ある時、音声認識コンピューターのセールス(もちろん詐欺)で予想外のピンチに追い込まれてしまうが、タイピストとして手伝ってもらっていたジョージーの機転により、なんとか乗り切った。
その後も詐欺に精を出す2人だったが、以前ひっかけた人間に出会ってしまい、刑務所送りにされてしまう…。

ダンとスチュワートのコンビがとてもかっこいい。2枚目ではないけれど、彼らの楽しそうな笑顔を見ると、観ている方も楽しい気分にさせてくれる。ジョージーのショートカットも魅力的だけど、このコンビの笑顔にはかなわないでしょう。
話も最高に面白いし、最高のハッピーエンドを見終わって、とてもいい気分で映画館を後にすることができました。
この映画を観るとイギリス映画の面白さが充分に感じられる良作。

1998/06/16 シネスイッチ銀座

1998年07月24日

レインメーカー

監督・脚本:フランシス・フォード・コッポラ
原作:ジョン・グリシャム
出演:マット・デイモン/クレア・デーンズ/ジョン・ボイト/ダニー・グローバー

ルーディはロースクールの3年生。金もコネもなく、やっと就職できた先は悪徳弁護士の事務所。6回も司法試験に落ちてるデックを相棒に仕事が始まる。

きりっとした姿も似合うマット・デイモン、うさんくさい弁護士役のブルーザーのミッキー・ロークをはじめ、クレア・デーンズそしてダニー・クローバーなどキャスティングがはまる。ストーリーも原作を掴んだコッポラが上手にまとめている。法廷での緊迫したやり取りは、観ているものを引き付け、まるで傍聴席にいるみたいな感覚に。

弁護士として活躍するルーディが最後に手にしたものは、一体なんだったのか。その答えは映画の中に…。

1998/7/24 横浜ピカデリー

1998年08月15日

Taxi

監督:ジェラール・ピレス
脚本:リュック・ベッソン
出演:サミー・ナセリ/フレデリック・ディーファンタル/マリオン・コティヤール/エマ・シェーベルイ

フランスの港町マルセイユ。ピザの宅配スピード記録を持つダニエルは、恋人リリーのため、趣味と実益を兼ねてタクシー運転手を始める。ダニエルの愛車はプジョー406を改造したもの。スイッチをONにすればたちまち高速仕様に早変わり。F1顔負けのスピードで街中を走り抜けていた。
一方エミリアンは運転免許試験に8回も落ちている平刑事。美人上司のペトラに惚れているが、相手にされない。そんなエミリアンは偶然にもダニエルのタクシーに乗ることに。スピード違反常習者と気づいたエミリアンは、スピード違反を見逃す代わりにフランスに来ているドイツ人強盗団”メルセデス”を捕まえるための協力を迫る。

リュック・ベッソン脚本の本作品。CGを使わず、”生”のカーアクションは超ド迫力。スピード感あふれる映像は、車好きにはたまらない。でもただのアクション映画にはせず、ロマンティックな要素を盛り込んでいるあたりはベッソンらしい。
ダニエルとリリーの関係なんて、特にそうだ。この映画を観た後はハンドルを握る手に力が入って、自分もダニエルのように…なんて思ってしまうでしょう。でも危ないからやめてね。

1998/08/15 厚木シネマミロード

1998年08月26日

ディープ・インパクト

監督:ミミ・レダー
脚本:マイケル・トルキン/ブルース・ジョエル・ルービン
出演:ロバート・デュバル/ティア・レオーニ/イライジャ・ウッド/モーガン・フリーマン

リオ・ビーダーマンは、ハイスクールの天文クラブに所属する14才。ある晩、リオは見たことのない星を見つける。天文学者のウルフにより彗星と判明する。
それから1年後。ニュース・レポーターのジャニーは大統領の側近の辞任の理由をスキャンダルとして追いかけていた。「ELE」(エリー)というキーワードまで掴み、大統領に真意を問うジェニーは、「ELE」の本当の意味を知る。2日後、大統領から重大な発表が…

泣ける…パニック映画なのに。CGを駆使した迫力ある映像もあるんだけど。泣ける。主人公はあくまで人間なのです。恋人を思う少年。追いつめられて父親に本心を打ち明ける女性。地球に別れを告げ決意をする宇宙飛行士。その他の人々も現実離れせずどこにでもいる感じ。そこには友情、愛情、憎しみ、別れがある。どうみても人間ドラマです。
ILMによる大津波は迫力十分。黒人初であろう大統領のモーガン・フリーマンの演技も秀逸。特に演説のシーンは最高だ。

観た後に少し、自分の人生を振り返ってみたくなります。

1998/08/26 藤沢オデオン座

1998年09月08日

ラブソング

監督:ピーター・チャン
脚本:アイヴィ・ホー
出演:レオン・ライ/マギー・チャン/エリック・ツァン/クリスティ・ヤン

1986年。シウクワンは中国の天津から香港に辿り着く。彼は故郷に残してきた恋人シャオティンと香港で結婚することが夢だ。広東語も英語も理解できないシウクワンだが、叔母の家で世話になりながら働き始める。ある日、シウクワンは生まれて初めてマクドナルドに行き、レイキウという女性に出会う。レイキウはいろいろなアルバイトで忙しく、のんびりしたシウクワンとは対照的。彼女もまた、香港で成功したいと願う中国出身者だった。対照的な2人だが、素朴なシウクワンに引かれていくレイキウ。一方シウクワンも、シャオティンとレイキウの間で心が揺れていた…。

香港で出会う2人の若者を結び付けるのはテレサ・テンの歌声。テレサ・テンの曲とシーンがとても合っていて印象的なシーンに仕立てられている。お互い様々な時を過ごしながらどこか寂しく、心のどこかで相手のことを想っている2人の姿はとても素敵。
9年間も想い続けるなんてなかなか真似できることじゃないよ。それに素朴な青年役のレオンがとってもいい。あんな雰囲気を持った人がいたら僕は友達になりたいです。

1998/09/08 キネカ大森

1998年10月19日

イノセント・ワールド

監督:下山 天
原作:桜井 亜美
脚本:小川 智子
出演:安藤 政信/竹内 結子/伊藤 かずえ/豊原 功補

17才のアミは援助交際でお金を稼ぐ女子高生。父親違いの兄、タクヤは知的障害を持っていて、アミが兄の面倒を見ている。2人と両親の関係は希薄だ。
ある時、アミは稼いだお金で本当の父親、精子ドナーNo.307とタクヤの”うさぎ”を探すため、共に夜行バスで北に向かった…

桜井亜美の同名の原作をミュージックビデオ監督の下山天が映画化。初主演の竹内結子が冷めた女子高生をなかなかよく演じている。障害者役の安藤政信もいい。映画の後半、北の地の強い風とどこまでも続く海が心象風景のように彼らを包んでいる。監督がミュージックビデオの出身だからか、見せ方が凝った感じで飽きさせず、きっとアミに感情移入してしまうでしょう。
でも女子高生ってこんな殺伐というか冷淡に感じさせる時があるものだろうか…映画の中のものとはいえちょっと怖いな。

ちなみに入口でポストカードもらいました。日替わりらしく、今日は竹内結子でした。
後ろに並んでいた女の子達は安藤くんではないためか、がっかりしてたな(笑い)。

1998/10/19 渋谷シネ・アミューズ

1998年11月05日

がんばっていきまっしょい

監督・脚本:磯村 一路
原作:敷村 良子
出演:田中 麗奈/真野 きりな/清水 真美/葵 若菜/久積 絵夢

中学を卒業した篠村悦子。海に浮かぶボート部の練習風景を見て、ボート部に入部したいと思うようになる。高校に入学した悦子はボート部に入部しようとするが、女子のボート部はなく、仕方なく男子ボート部と一緒に練習をすることに。なんとかメンバーを揃えた女子ボート部は新人戦に挑む。

「なっちゃん」でおなじみの田中麗奈の初主演映画。他の少女達も映画初出演で、5人の一生懸命な姿が役と重なり、爽やかな青春映画です。わき役陣も中島朋子や白龍、大杉漣など充実しています。
がんばることがカッコ悪いという風潮に対して、みんなで力を合わせてがんばる姿に、努力することの大切さをわからせてくれる、そんな映画です。

1998/11/05 新宿東映パラス2

1998年12月08日

かさぶた

監督・脚本:アボルファズル・ジャリリ
出演:ホセイン・サキ/ゼイナブ・バルバンディ/ナビ・ジャリリアン

文字の読めないハメッドは、反政府的なチラシを配ったとして逮捕されてしまい、少年院に送られる。少年院には年長者の”室長”や他の少年達、厳しい看守が。ハメッドは、厳しい訓練や作業、読み書きの授業に食事という共同生活を通して、他の少年との友情を感じ、自分の存在を感じていく。

出演者は、実際に少年院に収容されている少年達。ドキュメンタリーのようなストーリー(ドキュ・ドラマというらしい)で、少年院という社会の中で暮らす子供達が、厳しい訓練の中にも生き生きとした表情を見せる。
なんとも言えない難しい表情をしているハメッド君はもしかしたら監督ジャリリの分身なのかもしれない。鉄柵越しの太陽の光が時にやさしく、時に厳しく、少年達を照らしています。

1998/12/08 銀座シネ・ラ・セット

1998年12月14日

七本のキャンドル

監督・脚本:アボルファズル・ジャリリ
出演:メヒディ・アサディ/アスガル・ゴルモハマッデ/ホセイン・マルミ/モフセン・バナヒ

テヘランに出稼ぎに来ているシュアン。そこへ原因不明の全身麻痺にかかってしまった妹のバルトを連れ、父がやって来る。妹の病気を治すため、シュアンと父は様々な人々に会い、いろいろな治療法を試すが、治る気配がない。それでもシュアンは病気が治ることを神に祈り、治療法を探し続ける。

子供が主人公というのはイラン映画の特徴。「かさぶた」のハメッド同様、微妙な表情をしているシュアン。でも、妹の病気のためにがんばる姿は、父親よりも頼もしい。それに、シュアンにひそかな思いを寄せるマスメがとてもかわいい。バルトの見つめる先には、きっとお兄ちゃんのがんばる姿が映っているだろう。

1998/12/14 銀座シネ・ラ・セット

1999年01月11日

アンナ・マデリーナ

監督:ハイ・チョンマン
脚本:アイヴィー・ホー
出演:金城 武/ケリー・チャン/アーロン・クロック
1998/香港

ピアノの調律師ガーフは、仕事先で自称「小説家」のモッヤンと出会う。住む家のないモッヤンは、いつの間にかガーフの家に住み着いてしまった。ある日、ガーフのマンションの部屋の真上にマンイーが引っ越して来る。マンイーは下手な手つきで、バッハの”メヌエット”を弾くので、モッヤンはマンイーに怒鳴り込むが、何かを訴えるかのようなピアノの響きに、ガーフはマンイーに引かれるのだが…。

ケリー・チャンの目に引かれ観に行きました。ナイーブな青年を演じる金城武がわりと合っていて、思いをなかなか伝えられないガーフに、自分の姿を重ねる人がいるのでは。まぁ自分がそうしていたのですが。
後半はガーフの本心を劇中劇として、人に思いを伝える大切さを説いています。

監督は美術監督をしていただけに、劇中の小道具や衣装、演出の色の使い方が上手く、特に後半は劇中劇のため印象的なシーンが、色彩豊かに描かれています。

1999/01/11 丸の内シャンゼリゼ

1999年02月09日

ニンゲン合格

監督・脚本:黒沢 清
出演:西島 秀俊/菅田 俊/リリィ/麻生 久美子/哀川 翔/役所 広司
1999/日本

14才の時の交通事故により、10年間の昏睡状態から目覚めた吉井豊。彼が眠っていた10年間に両親は離婚し、家族はバラバラになっていた。家には父の友人の藤森が住み着いて、庭に廃棄物を置き、釣り堀を経営していた。
豊は、もう一度家族が揃うことを願い、昔やっていたボニー牧場を再建しようとする。

昏睡状態からの目覚めというあたりは、レナードの朝を思い出させますが、この映画はそんなヒューマンドラマではなく、ただ淡々と生きる人間の姿を描いた映画です。豊は、移動するときはたいてい走っていたり、一生懸命に生きようとする姿を見せる反面、冷めてる一面を見せたりさびしげな顔をしたりして、まるでこの世にいないかのように見える。

西島秀俊演じる吉井の存在を見ていると、なんだか人って、あまりにもあっけなくて儚くって小さな存在なのかなぁって感じがしてしまいました。

1999/02/09 東劇

1999年03月03日

短編映画集 kino

監督・脚本:佐藤 雅彦
出演:ルーマニアの人々/”・”
1998/日本

ポリンキー、だんご3兄弟などの生みの親、佐藤雅彦の短編映画集。一本一本に佐藤氏の思いがスクリーンを通して伝わってきます。
でも、なんか安っぽい印象がある。これを映画として上映するの?って感じ。これで通常の料金はちょっとなぁ…

短編それぞれについて述べてしまうと観たときのインパクトが損なわれてしまうので省略。
ビデオであれば見るのは面白いかもしれない。気楽に見たほうがこの作品の印象が良いかもしれない。

1999/03/03 銀座テアトルシネマ

1999年03月10日

メリーに首ったけ

監督・脚本:ファレリー兄弟
脚本:エド・デクター/ジョン・J・ストラウス
出演:キャメロン・ディアス/マット・ディロン/ベン・スティラー/リー・エバンス
1998/アメリカ

1985年。歯の矯正器をつけた、さえない高校生テッドは、学校一の美女、メリーに恋をする。運良く、メリーと卒業パーティーに行くことになったテッドだが、パーティー当日、とんでもない失敗をしてしまう。
それから13年後の1998年。テッドはいまだにメリーのことを想い続けていた。しかし、メリーは学生時代に引っ越してしまい、連絡がとれない。友人ドムの薦めで、保険調査員のヒリーを探偵として雇い、メリーの居場所を探してもらうことにしたが…。

キャメロン・ディアスがもう最高!男なら、メリーの美しさと優しさにもうメロメロだ。そんなメリーの優しさが仇になり、とんでもない男ばかりが彼女の周りに集まってしまう。彼らの中なら、どんなに不運でも優しいテッドの姿が、かわいく見えるのは当然かも。

ちょっとマジメに書いたところでこの映画の面白さは伝わらないよ!この映画は単に下品でバカバカしい笑いが詰まっているんだから、観てスカッとすればそれでOK!

1999/03/10 藤沢オデオン館

ベイブ 都会へ行く

監督・脚本:ジョージ・ミラー
脚本:ジュディ・モリス/マーク・ランプレル
出演:マグダ・ズバンスキー/メアリー・ステイン/ジェームズ・クロムウェル/ミッキー・ルーニー
1998/アメリカ

牧羊犬コンテストで優勝した豚のベイブは、農場に帰ると、一躍”有名豚”に。ベイブの元には、様々なイベントからの出演依頼が届くが、ホゲットおじさんは興味がない。しかし、ホゲットおじさんが井戸の修理中に大怪我をしてしまい、農場は借金を抱えてしまう。ベイブは借金返済のため、イベントに出演。エズメおばさんと共に都会へと旅立つ。

今回は、都会を舞台にベイブが大暴れ。どんなに馬鹿にされても、けなげにかんばる姿はとっても愛らしい。でも、都会に住む動物達の姿は、身につまされる程痛々しい。エサ欲しさに芸をする姿なんて特に象徴的だ。
今回、注目すべき点は、チンパンジーやオランウータンだ。まるでほんとにしゃべっているみたいだった。そのほかの動物も同様の活躍を見せる。動物達に盛大な拍手を!

1999/03/10 藤沢キネマ88

1999年04月03日

大阪物語

監督:市村 準
脚本:犬童 一心
出演:池脇 千鶴/南野 公助/沢田 研二/田中 裕子
1999/日

売れない夫婦漫才師を両親に持つ霜月若菜は14才。裕福ではないがそれなりに幸せな生活に、若菜は満足していた。しかし、父親の愛人が身ごもってしまい、両親は離婚することに。離婚後も漫才師として仕事を続ける2人に若菜は戸惑う。父親の浮気癖は一向に直らず、愛人も愛想をつかして、赤ちゃんを残し出ていってしまう。さすがに気落ちした父親も、どこかへ消えてしまった。若菜は家族のために、そして自分のために父親探しの旅に出る。

実際に夫婦の沢田研二と田中裕子の夫婦漫才が妙におもしろい。いかにも”大阪”というエッセンスが映画ににじみ出ています。1年間という時間を費やし、日本の懐かしい町並みの中に、旅をしながら自身も成長していく姿を見せる池脇千鶴の笑顔が、とっても素敵です。

1999/04/03 テアトル新宿

1999年04月17日

虹の岬

監督:奥村 正彦
原作:辻井 喬
脚本:中村 努
出演:三國 連太郎/原田 美枝子/夏八木 勲
1999/日本

戦争も終焉を迎えつつあった昭和19年。大学教授夫人の祥子は、歌人であり、住友の理事でもあった川田順と出会う。短歌を通して変わりつつあった祥子に、川田は好いてはならないと知りつつ、自分の思いを告白し共に生きることを決意する。

鑑賞時に僕の周りはみんな年配の人だらけ。なんかすごかった。これは大人の映画だ。僕みたいな若僧が何か言うなんておこがましい。なんか文学的な雰囲気が難しく感じてしまって雰囲気に負けてしまった。
ただ原田美枝子の美しさはこんな若造でもわかるぞ。

列車の窓に映る置いてきた子供の姿にはちょっと違和感。所々でそういった合成というか、演出があるんだけど、この映画には合わない気がするんだけどなぁ。回想シーンを挿むのが嫌なのだったのだろうか。でもこれって演出の失敗な気がするのだけど。事実を描いた作品なのに変な合成によって違和感を与えてしまうのはもったいない。老いらくの恋がテーマならそれに見合う渋い演出を期待したい。ちょっと残念な所です。

1999/04/17 横浜オデオン座

1999年04月24日

フェアリーテール

監督:チャールズ・スターリッジ
原作:アルバート・アッシュ/トム・マクローリン
原作・脚本:アーニー・コントレラス
出演:フロレンス・ハース/エリザベス・アール/ピーター・オトゥール
1997/イギリス

第一次大戦下のイギリス。8才のフランシスは、父が戦地で行方不明になり、1人でいとこのエルシーの家に疎開する。2人は家の近くの小川で妖精を見つけ、息子の死により塞ぎ込んでしまった母のために、妖精の写真を撮影した。
しかし、その写真はコナン・ドイルの手により世界中に発表され、妖精の棲む森は大人達の手により荒らされてしまう。

コナン・ドイルが取り上げ、世界中を驚かせた”コティングリー妖精事件”を元に映画化。とにかく、2人の少女がとってもかわいい。誰もが子供の頃に持っていた無垢の心、信じる心を持つことの素晴らしさを教えてくれます。
とてもきれいな映像で、森の木洩れ日が印象的な素敵な映画。

1999/04/24 銀座テアトルシネマ

1999年05月01日

ライフ・イズ・ビューティフル

監督・脚本:ロベルト・ベニーニ
出演:ロベルト・ベニーニ/ニコレッタ・ブラスキ/ジョルジオ・カンターニ
1998/イタリア

1943年のイタリア。ある街に本屋の開業を夢見るグイドは、友人と共に、叔父を頼りにやって来る。到着早々グイドは、街の小学校教師のドーラに恋をするが、彼女には役人の婚約者がいた。婚約パーティーで事実を知り、唖然とするグイドだったが、パーティーの途中でドーラを奪還。2人はめでたく結ばれる。
数年後、念願の本屋を開業させたグイドは妻と息子に囲まれ、幸せな生活を築いていた。しかし、周囲ではユダヤ人排除の動きが活発になり、遂にはグイド達も強制収容所に入れられてしまう。

この映画は面白いー。特に前半。館内で笑わなかった人はいなかったんじゃないかな。後半は子供に、強制収容所での出来事をゲームであるかのように見せ、子供を必死に守る父親の奮闘ぶりに、胸が打たれます。
しかもその子供がとてもかわいい。それに上手い。でも結局はベニーニが全部持っていってしまうんだけどね。
ただ、僕ら日本人には計り知れないことが実際に起こっていたわけで、笑ってばかりではいられません。
それでも、ユダヤ人強制収容という重いテーマを扱いながら、コメディータッチで作り、カンヌ、アカデミー等、たくさんの映画祭で賞賛を受けたロベルト・ベニーニの魅力をたっぷりと観ることができます。

1999/05/01 厚木シネマミロード

1999年05月05日

シン・レッド・ライン

監督・脚本:テレンス・マリック
出演:ショーン・ベン/ジム・カヴィーゼル/ベン・チャップリン/エイドリアン・ブロディ

1942年、ガタルカナル島。米軍C中隊は、日本軍の攻撃を警戒しつつ、うっそうと生い茂るジャングルへと進軍していく。ところが、最前線の兵の犠牲が増すにつれ、C中隊隊長は進軍に戸惑う。しかし、C中隊の進軍は進み、遂には日本軍の一拠点を攻め落とす。わずかな休息後、さらにジャングルの奥へと進軍するが…

ガダルカナル島での日本軍と米軍との争いを描いた小説を、テレンス・マリックが20年ぶりにメガホンを握り、撮った作品。戦争がテーマだけど、主役はやはり人間。戦争という「死」と隣り合わせの状況の中で、人は何を考え前進していくのか。美しい自然を織り交ぜながら話は淡々と展開していきます。
ただ、ちらちらとシーンが変わりすぎてしまってなんだかよくわからなってしまった。こちらが着いていけないのも問題なのかもしれないけど…
挿入するシーンはたぶん兵士達が考えていることを表しているんだろうと思うのだけど。戦争中でも思うことは恋人のことや家族のことなんだよなぁ。きっと。
この雄大な自然の中では、人間も所詮は動物に過ぎないという気がしたのはなんでだろう。生い茂った草原の中に身を潜まる人の姿が、そう感じさせたのかもしれない。

1999/05/05 藤沢キネマ88

1999年06月05日

ワンダフルライフ

監督・脚本:是枝 裕和
出演:ARATA/小田 エリカ/内藤 剛志/寺島 進/谷 啓
1998/日本

この世とあの世の間にある施設。死者はここで、生前の思い出を一つ選び、映画として上映、その思い出を胸に、天国へ旅立つことができる。今日もこの施設に22人の死者が施設に案内される。施設の職員らは、死者の思い出選びを手伝うため、死者と面談を行う。

死者の思い出選びに迷う姿を、ドキュメンタリーのような撮り方で迫っています。この撮りかたがとても素晴らしい。まるで自分が死者の話を聞きだしているかのようです。きっと観終わった後、もし自分だったらどんな思い出を選び出すのか。また、自分には選ぶ思い出があるのか。なんて考え始めてしまいそう。

1999/06/05 渋谷シネマライズ

1999年06月19日

鉄道員(ぽっぷや)

監督:降旗 康男
脚本:降旗 康男/岩間 芳樹
撮影:木村 大作
出演:高倉 健/大竹 しのぶ/広末 涼子/田中 好子/小林 稔侍
1999/日本

北海道のある路線の終着駅・幌舞駅の駅長、佐藤乙松。駅長とはいえ、駅員はなく、駅長自ら仕事をこなし、駅に隣接する部屋で暮らしていた。しかし、乙松はもうすぐ定年。それと同時にその路線も廃線されることが決まっていた。乙松は、ぽっぽやとしての自分の人生、亡くした妻、娘のことを振り返りながら、今日も駅のホームに立つ。

浅田次郎原作の映画化、高倉健の出演、その他出演者、スタッフが豪華、などで話題になった映画。この映画は絶対に観るべきです。あなたが日本人であるなら絶対観てください。泣きます。絶対に泣きます。
回想シーンばかりで、一見退屈してしまいそうですが、笑いあり、涙ありと実に素晴らしいです。
北海道の自然をとても上手に切り取った映像と、さりげない演出も良い。丁寧に作られた映画です。

1999/06/19 フジサワ中央

1999年06月23日

きみのためにできること

監督:篠原 哲雄
原作:村山 由佳
脚本:高橋 美幸
出演:柏原 崇/真田 麻垂美/川井 郁子/岩城 晃一/大杉 漣/田口 浩正
1999/日本

録音技師の高瀬俊太郎は、ドキュメンタリー番組の取材のため宮古島を訪れる。レポーター役の鏡耀子は撮影スタッフと息が合わず耀子は浮いてしまうが、高瀬はそんな彼女にひかれるものを感じていた。しかし、高瀬には学生時代から付き合っている吉崎日奈子が。2人はいつもEメールで連絡を取り合っていたが、忙しくなる高瀬との間に、距離を感じ始めていた。日奈子と耀子の間で揺れる高瀬は、宮古島で録音技師の先輩である木島と出会い…

『月とキャベツ』に続いて出演した、真田麻垂美の瞳に、いきなりやられた。あの瞳はやばいなぁ。
大杉漣などのわき役陣も良い。男性は、柏原崇の仕事と恋人との間に苦悩する姿に、思わず自分を重ねて観てしまいそうです。そういえば「月とキャベツ」でも山崎まさよしが葛藤で揺れる男を演っていたけど、僕の中では篠原監督はそういう脚本を活かすのがうまい人ということにすっかりなってしまった。
宮古島の穏やかで美しい風景が映画を包み込んでいて、とても気持ちのいい映画だ。

1999/06/23 横浜オスカー

スターウォーズ エピソードI

監督・脚本:ジョージ・ルーカス
出演:リーアム・ニールソン/ユアン・マクレガー/ナタリー・ポートマン/ジェイク・ロイド

はるかかなたの銀河系。惑星ナブーは貿易交渉のもつれから、通商連合艦隊により包囲されてしまう。ジェダイの騎士、クワイ=ガン・ジンとオビ=ワン・ケノービは連合へ説得を試みるが、失敗し辛くもナブーへ逃げた2人。ナブーの女王、アミダラの身を案じ、ナブーからの脱出を計るが…

行ってしまいました先行上映。待つこと約2時間半、いやぁすごかった。何がすごいってCGをふんだんに活かした特殊効果が。観るのも疲れたよ。
なんでも全シーンの95%にCGが使われているとか。そりゃ制作時間かかるよなぁ。
F1のようなレースあり、チャンバラありと見所たくさん。帰り道、持っていたビニール傘を、ライトセイバーに見立てて振り回してしまった。
でもCGは表現手段の一つにすぎないということと、映画に大事な要素はキャストとスタッフとそして脚本でしょう。それにこの映画は始まりを迎えただけだ。
これから始まるスターウォーズの伝説はこの先の「II」そして「III」へと続いていくのだから。

1999/07/03 藤沢オデオン座

1999年08月04日

ホーホケキョ となりの山田くん

監督・脚本:高畑 勲
原作:いしいひさいち
声優:朝丘 雪路/益岡 徹/荒木 雅子/五十畑 迅人/宇野 なおみ/柳家 小三治
1999/日本

とある郊外の一軒家に暮らす山田家は、父と母、祖母、息子と娘、そして犬、という平凡な一家。この平凡で平和な家族の楽しくて、のどかで、ほほえましい日常を、俳句と共に紹介する。

泣く子も黙るスタジオジブリの新作。前作「もののけ姫」とはうって変ってほのぼのとした日本の家族の日常を、やさしい水彩画タッチで描かれています。
原作が4コマ漫画だからか、短編集といった感じで構成されていて、とてもリラックスして見ることができた。山田家の、のほほんとした出来事にだれしもが経験があり、笑ってしまうでしょう。
ただ、この映画を2時間近く観るのはちょっときつい。さすがに中だるみ感は否めない。映画の尺で考えずにもっと自由に出来たら思う。
あまりにも強大になってしまったジブリの哀しい性を観たような気がします。

1999/08/04 藤沢オデオン館

プリンス オブ エジプト

監督:ブレンダ・チャップマン/S・ヒックナー/S・ウェルズ
声優:ヴァル・キルマー/レイク・ファインズ/ミシェル・ファイファー/サンドラ・ブロック
1998/アメリカ

はるか昔、エジプト王は、増え続けるヘブライの民を恐れ、赤子の一掃を命ずる。そんな時、ナイル河のほとりにある村で、男の子が生まれる。母親は子供を守るため、赤子を籠に入れナイル河に流す。赤子はエジプト宮殿に流れ着き、女王に拾われる。女王はその子を”モーセ”と名付け、育てあげる。時は流れ、モーセとその兄ラメセスは、互いのことを思いやる仲の良い兄弟に育つ。しかし、モーセは自分の妹と名乗るヘブライの女から、自分の出生の秘密を聞かされ、苦悩する。

旧約聖書のモーセの物語。僕は初めて、アメリカの長編アニメーションを真剣に観た。ディズニーのアニメはビデオで2度ほど観たことある程度。やはりミュージカルの国。歌って踊ってのシーンを使って、ストーリーを盛り上げるのが上手です。でもこの辺は、好き嫌いがはっきりでるところかな。歌が物語の鍵になっているとはいえ、ちょっとくどい印象も。しかし、短い時間でよくまとめられているし、海が割れるシーンや動き出す壁画、壮大な建造物は見ごたえは十分です。

19999/08/04 藤沢キネマ88

1999年08月25日

メッセンジャー

監督:馬場 康夫
脚本:戸田山 雅司
出演:飯島 直子/草なぎ 剛/矢部 浩之/京野 ことみ/加山 雄三
1999/日本

外国の服飾ブランドのプレスを務めるキャリア・ウーマンの清水尚美。ところが、ある日尚美の服飾ブランドが倒産してしまい、彼女の家は差し押さえされてしまう。辛くも車で逃げた尚美だったが、途中で自転車便の横田と激突。ひき逃げ犯にされてしまう。横田との示談により、自転車便を手伝うことになった尚美は、「自転車はバイクより速い」、と豪語する鈴木と出会う。

自転車便(=メッセンジャー)をテーマにしたホイチョイムービーの4作目。なんといっても展開が素晴らしいでしょ。出演者もなかなか良かったし、細かい小道具にも凝っていて、観ていて飽きることがない。自転車便にかける人達の姿を描いた、とても気持ちのいい映画。
これを観て自転車がより好きになりました。
それにしても”なぎ”が出ないよ…。

1999/08/25 フジサワ中央

1999年09月30日

運動靴と赤い金魚

監督・脚本:マッド・マジティ
出演:ミル=ファロク・ハシュミアン/バハレ・セッデキ/アミル・ナージ/フェレシュテ・サラバンディ
1997/イラン

妹の靴を失くしてしまったお兄ちゃん。一家に一足しかない運動靴を、妹と共有してなんとかお父さんの給料日までやり過ごそうとするのだけれど、どうにも思うようにいかない。妹は靴を溝に落とすし、学校では遅刻ギリギリで先生に目をつけられてしまうし、お父さんは事故ってしまうで、妹の靴は当分無理となってしまう。ところが、地域のマラソン大会の3等の商品が新品の運動靴とわかってお兄ちゃんは妹のために「3等」をめざしマラソン大会への出場するのだが…

ジャリリ以来のイラン映画を観てきました。もちろんこの映画も子供が主人公。イランは表現の規制が厳しいのだけど子供が主人公の映画は、検閲を通りやすいとかなんとか。どこかでそんな記述を見た気がするのだけどあれはどこでだったっけ…

妹のためにがんばるお兄ちゃんの「顔」がたまらないんだなぁ。今にも泣きそうな目をしているんだけどがんばる姿がかっこいい。お父さんもいい味だしてて、息子とのやりとりはなんかいいなぁ。妹の笑顔もかわいいし。
この映画のせいか、金魚が欲しくなった(笑い)。

1999/09/30 関内アカデミー劇場

1999年10月13日

ウェイクアップ!ネッド

監督・脚本:カーク・ジョーンズ
出演:イアン・バネン/デヴィッド・ケリー/フィオヌラ・フラナガン
1998/イギリス

宝くじを当てたネッドがショックのあまり死んでしまった!これを知ったジャッキーとマイケルの老コンビは、くじの調査員をだまして当選金を手に入れようとするが、なんと当選金は12億円。あまりの高額に2人がとった行動は…

住人が52人しかいないアイルランドの田舎を舞台に、マイケルとジャッキーのコンビはとってもユーモラス。笑わせるだけでなくちょっとジーンとさせてくれます。奮闘する2人の話を軸に他の村人のストーリーも絡め、90分と短いながらもとてもしっかりとした展開です。この辺は監督がCMの出身だからかな。
海と緑のアイルランドの風景と、アイリッシュ音楽の素朴なムードがちょうどいい。
老いてもこんな友達がそばにいる人生は素晴らしいと感じる一本です。

1999/10/13 銀座テアトルシネマ

1999年10月27日

ノッティングヒルの恋人

監督:ロジャー・ミッチェル
脚本:リチャード・カーチス
出演:ジュリア・ロバーツ/ヒュー・グラント/リス・エヴァンス
1999/イギリス

ロンドンはノッティングヒルで本屋を営むウィリアム。ある日街角でぶつかった相手は、世界的に有名な女優アナ・スコットだった。その日からウィリアムは”超現実的でステキ”な日々をアナと過ごす。しかしマスコミはアナを追いかけて、ついにはウィリアムの家まで押しかけてしまう。離れ離れになってしまった2人に、再び結ばれる日はくるのか。

主役の2人がとてもいい。さらにウィリアムを支える周りもすごくいい。ユーモアたっぷりで観ていてすごく楽しかった。キャスティングがすっごくはまっているし、話し自体もよく練られていて、ウィリアムに感情移入して観てしまった。終盤の2人の笑顔がとっても素敵で、思わず泣きそうになってしまうくらい。また違う時に観たら泣いてしまうかも。
男性にぜひ勧めたい作品だ。

1999/10/27 藤沢オデオン館

マトリックス

監督・脚本:ウォシャウスキー兄弟
出演:キアヌ・リーブス/キャリー=アン・モス/ローレンス・フィッシュバーン
1999/アメリカ

現実と思われた世界が、実は22世紀を支配したコンピューターが作りだした虚像の世界”マトリックス”だった。わずかに残った人間は救世主を探しだしマトリックスの謎に挑む。

前半の、ネオが真実を知る場面までだけでも心臓がドキドキするほど衝撃的だった。デジタル技術をふんだんに駆使した映像や、カンフーを取り入れたアクションシーンも迫力十分(でもトレーニングのシーンはちゃっちくて笑えるんだけど)。それに多彩な映像技術は必見です。特にコンピューターが支配した22世紀の姿にはやはり驚かされます。本当にあんな世界だったら嫌だなぁ。
この映画は聖書、日本のアニメ、サイバーパンク等などが複雑に絡んでいて、それらがなにを指しているかを探るのも、また楽しいのでは。
たとえばどんなに最新の技術でも「有線」や「据え置きの電話」といったアナログなものが頼りだったりとかね。

でもちゃんと押さえるところは押さえていて、やっぱり最後は”愛”です。

1999/10/27 藤沢オデオン館

1999年11月04日

梟の城

監督・脚本:篠田 正浩
原作:司馬 遼太郎
出演:中井 貴一/鶴田 真由/葉月 里緒菜/上川 隆也
1999/日本

時は戦国時代。信長により一掃された伊賀忍者の生き残り、重蔵は、家康より秀吉暗殺の命を受ける。復讐をはらすべく京に向かう重蔵に、伊賀を裏切った五平が立ちはだかる。一夜を共にした小萩への思いを胸に秘めた重蔵は、己のために秀吉の居る伏見城へ向かう。果たして重蔵は、生きて小萩の元に戻れるか…

司馬遼太郎の小説を映画化。映像が凝りに凝っていて、背景の建物(城とか)はリアルなミニチュアとCG合成。結構よくできています。衣装も豪華でなかなかです。ただ、なんとなく演出過剰のような感じがしてしまったのはなんでだろう。
話しはよくできているので、娯楽時代劇として観れば、それなりに楽しめるかな。

1999/11/04 ワーナーマイカル茅ヶ崎

1999年11月17日

プリティ・ブライド

監督:ゲーリー・マーシャル
脚本:サラ・パリオット/ジョサン・マクギボン
出演:ジュリア・ロバーツ/リチャード・ギア/ジョーン・キューザック/ヘクター・エリゾンド
1999/アメリカ

アイクは新聞のコラムニスト。ある日、ネタがなくて困っていたアイクは、バーで会った男の、ある女の話を確かめもせず記事にしてしまう。その女とは、”逃げる花嫁”と呼ばれる女で、今までに7、8回は結婚式から逃げ出してしまったことがあるというものだ。ところが本人から、記事に誤りがあると新聞社に投書が。ジャーナリストの鉄則を破ってしまったアイクは解雇されてしまう。汚名返上をもくろむアイクは、マギーに取材するため彼女の住む町へ向かう。

プリティー・ウーマンのスタッフ、キャストが勢揃い。でも続編というわけではなく、設定も話しも違う。それに原題は「ラナウェイ・ブライド」だそうです。しかし、同じシーンがあったりするからプリティ・ウーマンも見ておくといいかも。
アイクにより、自分を素直に出すことで心を開いていくマギー。マギーにより自分を出す術を見い出すアイク。こんな2人の姿は、現代の理想のカップルの一つではないだろうか。それに友情の大切さも教えてくれて、もう最良の映画だ。

1999/11/17 藤沢キネマ88

1999年11月29日

I LOVE ペッカー

監督・脚本:ジョン・ウォーターズ
出演:エドワード・ファーロング/クリスティーナ・リッチ
1998/アメリカ

ボルチモアに住む18才のペッカーは、ママにもらった中古カメラで、街のちょっと変わった人々や街の風景を撮りまくっている。なかでも、家族や万引き常習犯の友人マット、コインランドリーを経営する恋人のシェリーを被写体にした写真が多い。ある時、バイト先で手作りの個展を開いたときに、ニューヨークでギャラリーを経営するローレイという女性に会い、ニューヨークで個展を開くことになるが…。

ペッカー役のエドワード・ファーロングの屈託のない笑顔が、とっても爽やかな印象。彼に写真を撮られて、ウィンクされたら許してしまいそう。最近のりにのってるリッチもやっぱり変でおかしいけどかわいい。
世間に振り回されて、家族も友人も恋人もカメラすら失いそうになるペッカー。でも一番大切なものが何か、それがわかった時に、人はもっとわかりあえる存在になる。
ボルチモアの可笑しなやつらとペッカーの優しさとシェリーの愛らしさをぜひ観て、笑ってください。

1999/11/29 恵比寿ガーデンシネマ

200本のたばこ

監督:リサ・ブラモン・ガルシア
脚本:シェイナ・ラーセン
出演:ベン・アフレック/ケイシー・アフレック/デイヴ・チャペル/エルヴィス・コステロ
1998/アメリカ

1981年の大晦日。ニューヨークはお祭りムード一色。モニカは年越しパーティーを開くが、なかなか客が集まらず、苛立つ。そのころ招待客のケヴィンとルーシーは、のりのりの音楽をかけて走るタクシーに。ケヴィンは前日に恋人に振られ、しかも大晦日は彼の誕生日。ルーシーはそんなケヴィンに1カートン(=200本)のたばこをプレゼントする。
バーではエリックがアーティスト志望の女性2人に今日のパーティーに誘っている。ところがエリックとモニカは半年前まで付き合っていたことがわかって、エリックは振られてしまう。
従姉のモニカのパーティーにでるため、おしゃれをして郊外から出て来たヴァルと友人のステフィ。ところが迷子になってしまい仕方なくライブハウスに逃げ込む2人に、ナンパに近づくパンク少年トムとデイヴ。
大晦日の夜に初デートのシンディとジャック。ところがシンディは、ドジでバーやレストランでヘマばかり。でもシンディに、自分が初めての男だと言われたジャックは、態度を変えシンディに興味津々。
そしてパーティーの始まる時間。思い思いの時間を過ごして来た彼らがいよいよモニカの家に集まる。そして…。

大晦日の夜の数時間に起こる、男達女達のドラマ。僕の最近のお気に入りのクリスティーナ・リッチがでているので観に行きました。ほかにもベンとケイシーの兄弟も出演。若手俳優勢揃いと言う感じです。内容としては上で述べたようにただ大晦日の夜の出来事があちこちで起こる。
パーティー前のドラマに注意を置いて、肝心のパーティ部分は省略。宴の後にパーティーで起こっていたことを写真でみせています。この写真が結構よかった。
恋人同士で観たりするとおもしろいんじゃないかなぁ。

1999/11/29 恵比寿ガーデンシネマ

1999年12月29日

ジャンヌ・ダルク

監督・脚本:リュック・ベッソン
出演:ミラ・ジョヴォヴィッチ/ジョン・マルコヴィッチ/フェイ・ダナウェイ/ダスティン・ホフマン
1999/アメリカ

フランスとイギリスとの戦争状態の中、ジャンヌはフランスの田舎町で生まれる。13才になったジャンヌは花畑や草原を駆け巡る活発な少女に育ち、また暇さえあれば教会に行き、告解する信仰深い少女でもあった。しかし平和な村にもイギリス軍は進行してきて、村は火の海に。またジャンヌの姉カトリーヌは、ジャンヌを戸棚に隠した後、イギリス兵に見つかりジャンヌの見ている前で殺され、犯される。
時は流れ、17才になったジャンヌは神の声を聞き、シノンの城にいる王太子シャルルのもとへ向かう。

18才でフランスを奇跡的に勝利に導いた聖女ジャンヌに、『レオン』、 『フィフス・エレメント』の リュック・ベッソンが挑む。ベッソンの 映画はやっぱりロマンチック。でもただロマンチックなだけでなく、 しっかりと現実も描いている。この辺が彼の凄いところではないだろうか。 序盤の戦闘シーンでもう僕はジャンヌのとりこになっていた。 「Follow me!」と叫んで敵に突進する姿に非常に感動した。その瞬間、 僕の中でミラは完全にジャンヌだった。
後半は味方に裏切られ、イギリス軍の牢獄の中で自分の良心と自問自答するジャンヌ。実際彼女も牢の中で自分に問いたのだろうか。20才にも満たない少女が、自分の行いを信じ戦ってきたのが、用が終わると突然裏切られてしまうのだ。牢の中で1人でいれば自分に問いたくもなるだろう。
僕は勉強不足で聖女ジャンヌの話を知らない。ベッソンの解釈がいいかどうか分からない。一つだけ分かる事はジャンヌが18、19の少女だったということだ。

1999/12/29 藤沢オデオン館

ファイト・クラブ

監督:デイビット・フィンチャー
原作:チャック・ポーラニック
脚本:ジム・ウールス
出演:エドワード・ノートン/ブラッド・ピット
1999/アメリカ

車両保険会社の仕事をするジャックは、北欧家具に囲まれたコンドミニアムに住んでいるが、不眠症に悩んでいる。医者に相談するが取り扱ってもらえず、病気でもないのに様々なセラピーを訪れ、重病患者と共に泣くことで安らぎを感じ眠りについていた。しかし、自分と同様にセラピーを訪れる女性、マーラに気づいたジャックは、再び不眠症になる。
ある日、ジャックの飛行機の席の隣に、石鹸販売をするタイラーという男が座った。彼の話に興味を持ったジャックは名刺を交換。ジャックが帰宅すると、彼の住む部屋で爆発事故が起こり、頼るあてのないジャックは知り合ったばかりのタイラーに電話をする…

「セブン」のフィンチャーとブラッド・ピットが再び手を組んだ本作品。映像がものすごく凝っていてもうフィンチャーにメロメロ。最初のキャスト紹介で引き込まれる。映像と音楽がとってもイイ。「自己の解放」は男達にとってある意味、生きる中でのテーマだ。別に考える必要はないが、この映画はその辺の事をノートンを通して我々に投げかけている。ブラピ演じるタイラーは僕らの中に確実に居るだろう。あなたが不眠症になった時、彼は行動を起こすかもしれない。

1999/12/29 藤沢オデオン館

2000年01月01日

2001年宇宙の旅(ニュープリントバージョン)

監督・脚本:スタンリー・キューブリック
脚本:アーサー・C・クラーク
出演:ケア・ダレー/ゲーリー・ロックウッド/ウィリアム・シルヴェスター
1968/アメリカ

時は2001年。人類は宇宙にまで住む地を広げていた。科学者達は月で発見された謎の石碑について調査へ向かう。
その後人間は人類の謎を解くため、宇宙船ディスカバリー号で木星に向かうのだが・・・

後に数多くのSF映画やアニメに多大な影響を与えた名作中の名作。
僕がこの映画を初めて観たのはビデオ。たしかその時は集中して観ることができず、途中で寝てしまったような・・・。
でも今回は渋谷パンテオンの大きなスクリーンで観ることができて、集中して観ることができた。

やはり驚くべき点はこの映画が1968年に製作されたということだろう。2001年となった現在、残念ながら映画のような世界にはまだなっていないが、今この映画を見ても古さを感じないのは、やはりキューブリック監督に先見の目
があったということだろう。

それにキューブリック独特とも言える映像。これは絶対に美しいとぼくは思う。特に空の色がキレイに撮られていてそれだけでぼくは感動していまう。

そしてやはり宇宙での、コンピュータ「HAL9000」と人間とのやり取りそして駆け引き。コンピュータを便利がって頼ってしまう人類に対し、戒めという意味でもこの シーンはとてもスリリングだ。ぼくはあの赤いランプがとても大きく、迫力さえ感じた。

やはりこの映画は大きなスクリーンで観るべき。だって「映画」だもん。
人類がどこから来てどこへ向かうのか・・・なんて難しい所は置いといて、リラックスして観れば、映画を通してキューブリックと話ができるでしょう。

2001/01/01 映画でお正月カウントダウン2001

2000年01月14日

聖なる嘘つき その名はジェイコブ

監督・脚本:ピーター・カソヴィッツ
原作:ユーレク・ベッカー
出演:ロビン・ウィリアムズ/ハンナ・テイラー・ゴードン/ボブ・バラバン/アーミン・ミューラー・スタール
1999/アメリカ

1944年、第二次世界大戦中のポーランド。ゲットーの中で暮らす元パン屋のユダヤ人ジェイコブは、外から入ってきた新聞紙を追っているうちに、夜間外出禁止令に違反したとしてドイツ軍司令部に出頭する。そこでジェイコブは、ラジオからのニュースによりソ連軍が400キロ離れた町まで進攻してきたことを知る。
ジェイコブは無事釈放されるがその帰り道、強制収容所行きの貨車から脱走してきた少女を救い、屋根裏部屋にかくまう。
ゲットーでの生活は暗く苦しく、自殺するものが後を絶たない。荷運びの作業中、元ボクサーのミーシャが監視兵を叩こうとするのを、ジェイコブはラジオで聞いたニュースを聞かせ止める。ニュースを聞いたミーシャは早合点し、ジェイコブがラジオを持っていると皆に言いふらしてしまう。

「ほらふきヤーコブ」で知られる小説を映像化。もうこれはロビン・ウィリアムスの魅力に尽きるでしょう。救った少女のために声色を使ってBBC放送の真似をするシーンなんて、暗い映画の中で笑わせてくれる象徴的なシーンだ。この映画自体、暗いシーンが彼らのジョークでぽっと明るくなる。
ロビン・ウィリアムズの今までの作品を振り返れば、本作品との共通点を見出せられる。それは希望だ。「笑い=希望」なのである。この作品では、暗く苦しい生活を強いられるユダヤ人に、彼の”嘘”が希望を与える。ジェイコブにとって嘘をつくのは気の進まないことではあるけれど、嘘をつくことで自分を支え、皆を支えることになる。人間にとって生きるために必要なことは希望を持つことだ。
街の噂は司令部にまで届き、人質を捕らえてまでないはずのラジオ探しに躍起になるドイツ軍。友人に真実を述べ、意を決するジェイコブがとる行動は・・・。果たしてジェイコブの希望の含まれた”聖なる嘘”は、真実になる日が来るのだろうか。

2000/01/14 新宿シネマスクエアとうきゅう

大いなる幻影

監督・脚本:黒沢 清
出演:武田 真治/唯野 未歩子
1999/日本

時代は2005年。日本は様々な人種の住む国になっていた。ハルは音楽関係の仕事をしているが、特に作業に参加する必要がなく、常に時間を持て余していた。さらには自分の存在すら消えかかっていた。ハルにはミチという恋人がいる。ミチは海外郵便の窓口を担当しており、時々小包を家に持って帰っている。次第にハルとミチは互いに距離を感じるようになる。
ハルは友人が田舎に帰るのをきっかけに仕事を辞め不良グループと親しくなる。ちょうどその頃、正体不明の花粉が舞い始め、人々はマスクなしでは外出できないほどになっていた。久しぶりに再会するハルとミチ。2人は花粉対策の新薬のモニターになっていた。生殖能力が失われるかもしれないことを知っていながら・・・。

『CURE』で知られる黒沢清監督作の 「愛の物語」。んー。これ愛の 物語?武田真治と唯野未歩子のセリフなしのやりとりを観客はじっと 眺める。そう、ほとんどセリフはないのだ。必要最低限なんてものじゃない。 淡々と長回しで写し撮るカメラを通して、色々な想像が頭を駆け巡る。
ハル役の武田真治が時々ボーっとして本当に消えてしまうなんてちょっとおもしろい。でも、正直ちょっと退屈感を覚えた。それはただ僕が疲れていただけかもしれないけど。
時々存在が消えかかるハルは少しずつ存在が確かなものに。そして、何かを求めてさまようミチ。2人は一体どこに向かうのだろう。
映像の一つ一つを観ていくとなにかわかるのかなー。いやわからないかも。だってこれは幻の世界なんだから。

2000/01/14 渋谷ユーロスペース

2000年01月22日

地雷を踏んだらサヨウナラ

監督・脚本:五十嵐 匠
出演:浅野 忠信/ロバート・スレイター/ソン・ダラチャカン/ボ・ソン・フン
1999/アメリカ

1972年。カンボジアでは解放軍と政府軍の戦争が激化していた。銃弾の飛び交う戦場の中、カメラを構えて走り回る日本人がいた。彼の名は一ノ瀬泰造。アンコールワットを撮影し、ピュリッツアー賞を獲るのが夢だ。アンコールワット撮影のため、前線に向かう泰造だが機密漏洩の罪で政府軍により国外退去となってしまう。一旦はベトナムに移った泰造だったが、再びカンボジアへの入国を図る。

一ノ瀬泰造にとっても似ているらしい浅野忠信主演の本作品。銃撃戦の中を走り回る姿になぜかとてもドキドキした。なぜだろう。始まってほんのわずかで、スクリーンに映る浅野忠信の姿を応援していた。とても自然に感情移入していたってことかな。
泰造の行く所には必ず子供達の笑顔があって、子供達と接する浅野忠信の顔は素の笑顔だと思う。この映画全体を通しても浅野忠信の素の(と思われる)表情がたくさん。今までの浅野映画に比べてちょっと新鮮に感じました。
ただ残念なのは所々あっさりしすぎな感がある。現地の家族と日本にいる家族の対比が中途半端かなと思いました。ちょっともったいない。
アンコールワットに続く道を、自転車に乗り進む姿がとても印象的。夢に向かって真っ直ぐな泰造の姿にとても勇気付けられます。

2000/01/22 銀座シネ・ラ・セット

2000年01月26日

海の上のピアニスト

監督・脚本:ジョゼッペ・トルナトーレ
原作:アレッサンドロ・バリッコ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ティム・ロス/プルート・テイラー・ヴィンス/メラニー・ティエリー
1999/アメリカ

1900年。ヨーロッパとアメリカを移民を運んで往復するヴァージニア号。ある日黒人機関士のダニーは、ダンスホールのピアノの上でレモン箱に入れられた赤ん坊を見つける。赤ん坊は”ナインティーンハンドレッド(1900)”と名付けられ機関士に育てられる。
8才になった少年は、機関士を事故で失ってしまい1人ぼっちとなっていた。ある時、美しい音楽に引かれ一等船室のダンスホールに。その晩、1900は一度も引いたことがないはずのピアノで、美しい音楽を奏で、人々を魅了する。

すげーうまい。なにがうまいって、1900の親友に数々の思い出を語る方法が、観客を自然に映画の世界に引き込む。「いい物語があって、それを語る人がいるかぎり、人生、捨てたもんじゃない」ってセリフがまさにぴったり。
それになんといってもティム・ロスだよ。ピアニスト役の彼の微妙な表情がなんともいえない。ジャズの発明者との激しい対決での真剣な表情、窓の外に見える美しい少女への想いをつづった哀しげな旋律、など見所聞き所がいっぱい。
緊迫したシーンの中にも、ちょっとしたユーモアがとても良いテンポを作り出していて、久しぶりに洋画でゆったりと映画を観た気がします。
船の上で生まれ、船とピアノと共に人生を歩む1900の姿はとても哀しい。ラストの語りも胸に響く。とても心に残る映画です。

2000/01/26 藤沢キネマ88

2000年02月01日

雨あがる

監督:小泉 堯史
原作:山本 周五郎
脚本:黒澤 明
出演:寺尾 聰/宮崎 美子/三船 史郎/吉岡 秀隆/井川 比佐志/松村 達雄
1999/日本

武士の三沢伊兵衛は数々の藩に従事するが、腰の低い性格が災いして、周りの人々とうまくいかず、妻のたみと流浪の旅を送っていた。
ある時、長雨で川が増水し足止めされた伊兵衛達は、安宿で旅人達と過ごし、雨が止むのを待っていた。ようやく雨の上がったある日、伊兵衛は散歩をしていると目の前で果たし合いが。伊兵衛が止めると、それを見ていた土地の藩主が伊兵衛を藩の指南番に誘う。

今は亡き黒澤明の脚本を黒澤組の仲間が映画化。
脚本段階で寺尾聰を思って書かれていただけあってかすごくぴったり。妻たみ役の宮崎美子ともども雰囲気がすごくいいんだな。武芸に優れた武士なのに優しすぎるが故に恨みを買ってしまう伊兵衛。そんなやさしい伊兵衛を支えるたみ。宮崎さんや寺尾さんの表情がもうなんともいえない。
「これまでの雨は、みんな止みましたから」ってセリフがすごく胸に残った。伊兵衛と自分の状況が似てるからだろうけど、こういったセリフが各所にあって、あ~日本人っていいなって強く感じました。
やっぱり映画は話ありきのもの。この映画を観てすごくそれを感じた。CG等、特殊効果を使った映画もいいけど、観客が感情移入して観られる映画はもっといい。特に邦画は、映画にかけられるお金がアメリカのようにいかないけど、本当に良い作品は、良い話があってできるもの。
こういう映画をもっと沢山の人(特に若い人)に観てほしい。黒澤映画だからって構えず、気楽に観られる映画だと思います。ぜひ劇場に足を運んで欲しい。見終わって、晴々とした気持ちになると思います。

2000/02/01 フジサワ中央2

2000年02月09日

ラブ・オブ・ザ・ゲーム

監督:サム・ライミ
原作:マイケル・シャーラ
脚本:ダナ・スティーブンス
出演:ケビン・コスナー/ケリー・プレストン/ジョン・C・ライリー
1999/アメリカ

デトロイト・タイガースのベテラン投手、ビリー・チャペル。ルーキーから活躍した彼も40歳。今シーズン最後の登板は優勝争いをしているニューヨーク・ヤンキース。しかし、優勝戦線から落ちたタイガースにとってはもはやただの消化試合だ。登板日の朝、チャペルは球団オーナーから事実上の解雇を、さらには最愛の女性ジェーンに別れを告げられる。
最後になるかもしれないマウンドに立つ彼は、5年前のジェーンとの出会いを思い出していた。

僕が人生で最初に泣いた映画が「フィールド・オブ・ドリームス」。ときたらこの映画を期待せずにはいられないでしょう。ケビン・コスナーには野球の話が似合うような気さえするし、しかも引退を迎えようとする男の最後の試合なんてこれ以上ない設定。過剰ともいえる期待を胸に観に行った。
もうケビン・コスナーかっこよすぎ。試合の流れと過去の記憶を上手く合わせて観ている人をチャペルの気持ちに引き込む。そして回が進むごとにドキドキしながら彼を応援している。なんだか映画って不思議だよ。
記憶としてチャペルが思い出すのは恋人との日々。ケンカをしたり甘えたり、支えたり支えられたり。次第に自分にとって大事な事とはなにかを気づいていくチャペル。正に恋愛ドラマだ。おまけではなくきっちり映画に合っているからますます彼を応援する。まるで自分の事のように。
男性は特にあんなチャペルを応援してしまうことでしょう。

2000/02/09 藤沢オデオン館

2000年02月16日

ビューティフル・ピープル

監督・脚本:ジャスミン・ディズダー
出演:ファルーク・プルティ/ダード・イェハン/ニコラス・ファレル/スティーブ・スィーニィ
1999/イギリス

1993年、ロンドン。
バスの車内で偶然に出会った外国人は、いきなりケンカ。ジャンキーのフーリガン、グリフィンは仲間2人と共に母国イングランド代表のW杯予選の応援のためヨーロッパを飛び回っていた。しかしグリフィンだけ飛行機を乗り違え、紛争中のボスニアに着いてしまう。
ボスニア難民のペロは交通事故に遭い病院へ。そこでペロは議員の娘で研修医のポーシャと恋に落ちる。
産婦人科医のモルディは妻に逃げられ1人で双子の世話をしている。言うこと聞かない子供に振り回されっぱなしだ。そこへボスニア難民のジェミラと夫のイズミットが子供を降ろしたいと相談にやって来る。
BBCの海外特派員ジェリーは、妻の反対を押し切ってボスニアに。取材中に足を撃たれたジェリーはなんとかロンドンに戻ったが、ボスニア症候群にかかっていた。

祖国ボスニアの紛争からロンドンに移り住んだ人々が、ロンドンを舞台に巻き起こす5つの騒動をユーモラスに描く。
5つのストーリーが同時に絡み合って進行。最初ちょっとわからなかったけど次第に慣れスクリーンの彼らを好きになってくる。一歩間違えば意味のわからい映画になってしまう演出方法を勢いで上手くまとめてる。
ボスニア紛争という暗く、重くなりがちなテーマを軽快にユーモラスに描きたかったというボスニア出身の監督さん。その言葉どうり、気持ちを楽にリラックスして観られます。最後の医師のセリフがとっても胸に残る気持ちの良い映画です。

2000/02/16 銀座テアトルシネマ

シャンドライの恋

監督・脚本:ベルナルド・ベルトリッチ
出演:サンディ・ニュートン/デヴィッド・シューリス
1999/イギリス

政治活動の疑いで夫が逮捕されたシャンドライは医者の道を目指すため、ローマに渡り古い屋敷の使用人として住み込む。家の持ち主は相続により裕福な暮らしを送る音楽家、キンスキー。だが彼には親しい友人はおらず、たまに子供達にピアノを教えるくらいで、ほとんど家から出ずにピアノばかり弾いていた。やがて彼はやさしく明るいシャンドライを愛するようになる。しかし彼女は夫の身を案じ、再会を望んでいた・・・。

全体を通してセリフは極力なくし音楽が満ち溢れてる。演じる者の表情が観客の心に訴える。それにしても切ない。切ないねぇ、この映画は。
シャンドライを深く愛するキンスキーだが、彼女に服役中の夫を知ってからもこれといった態度を見せず、密かに彼女の夫の解放のため私財を売ってまでお金をつくり、しまいには音楽家の彼にとって一番大事なピアノまで売るなんて、なかなかできることではありません。これはきっとある意味、最高の愛の形なんじゃないかなぁ。
キンスキーを演じるデヴィッド・シューリスの表情は一気に僕の心を捕らえ、そこから僕はキンスキーを応援していた。でもシャンドライの心には愛する夫がいる。キンスキーがなにをしているかを知り、それが自分のためだと知るシャンドライの心に少しずつ変化が起こるのだが・・・
あぁでもやっぱり切ないよ。

2000/03/04 関内アカデミー

2000年03月15日

ケイゾク/映画

監督:堤 幸彦
脚本:西荻 弓絵
出演:中谷 美紀/渡部 篤郎/鈴木 紗理奈/小雪/大河内 奈々子/竜 雷太
2000/日本

係長として2係にもどった柴田にさっそく15年前の事件の調査の仕事が。15年前に起きた船の沈没事故の生存者にパーティの招待状が届いたのだ。柴田と真山は付き添いで指定された島、「厄神島」に向かう。
パーティの招待主は事故で亡くなった夫婦の娘、七海だった。事故の真相を生存者達から聞き出すためパーティを開いたのだ。しかし誰も真相を明らかにしなかった。その時、柴田達の目の前で殺人事件が起こる。

TBS系列で放送されていたドラマの続編。ドラマを観ていたので観に行ってみました。
テンポの良さ、柴田と真山の掛け合い、遊び心たっぷりの映像など見所は多いものの僕としてはTVドラマのほうが良かったと感じた。前半はおっと思わせるケイゾクらしい感じだったのに中盤、後半とスローダウン。シチュエーションが海の孤島っていうのはケイゾクに合わないと思う、その設定は「金田一少年」みたいだし”浅倉”とのやり取りは『EVANGELION』を思わせる。個人的にはもういいよって。なんでかなー。スタッフが好きなのかな。
いくつかの謎も見えて来るけどやはり謎が多い。謎は謎にしておいたほうがおもしろいということなのだろうか。中でも気になったのは野々村係長の愛人、雅ちゃんの顔。一瞬見えるんだけど見えない。あー気になる。
映画が終わっても、スタッフロールが終わってもまだ席は立たないで。ちょっとしたおまけが観られます。

2000/03/15 フジサワ中央

2000年03月25日

トイ・ストーリー2

監督:ジョン・ラセター
脚本:アンドリュー・スタントン/リタ・シャントン/ダグ・チャンバリン/クリス・ウェッブ
声優:(字幕)トム・ハンクス/ティム・アレン
:(吹き替え)唐沢 寿明/所 ジョージ
1999/アメリカ

カウボーイ人形のウッディはガレージセールに出された仲間のおもちゃを救うため手なずけた犬に乗り、救出に向かう。
なんとか救出に成功したウッディだったがウッディだけ庭に取り残されてしまう。そこを通りかかったおもちゃ屋のアルがウッディを持ち去ってしまった。ウッディを助けるためパズは仲間を連れてアルのおもちゃ屋を目指す。

1996年に公開された「トイ・ストーリー」の続編。前回のキャラクターはもちろん、新たなキャラクターも加え、より一層ドラマ性を持たせた。
続編を作るプレッシャーはとても大変だったろうけどよくぞここまで、と思える出来。3DCGで作られたキャラクターが実に生き生きと画面上を動き回っている様は非常に感心&感動。また犬や人間のモデリングが丁寧で前回との比較の参考になるんじゃないかと思います。
もちろんストーリーも秀逸。ちょっと見、子供には重たいテーマかなと思いますが、この映画を観ておもちゃを大切にしてもらえればと思います。
おもちゃにとって、遊んでくれる相手が成長していくのは嬉しい反面、忘れ去られていく寂しさも感じていることをわからせてくれた。案外子供より大人のほうがこの映画を観て、昔遊んだおもちゃのことを思い出して反省し、後悔するんじゃないかな。ぼくも手元にあるおもちゃ大事にしようっと。
本編上映前にはディズニーの次回作『DINOSAR』の予告や、PIXAR初期の作品、電気スタンドのアニメを観ることもできます。

2000/03/25 藤沢オデオン館

2000年04月01日

グリーンマイル

監督・脚本:フランク・ダラボン
原作:スティーブン・キング
出演:トム・ハンクス/マイケル・クラーク・ダンカン/デヴィッド・モース/ボニー・ハント
1999/アメリカ

大恐慌時代の1935年。ポールは刑務所の死刑囚舎房で看守主任を務めていた。そこへ死刑囚のジョン・コーフィが送られてきた。コーフィは2人の少女殺しの罪で死刑となったのだが、ポールにはコーフィがそんなことをするとは思えなかった。
コーフィは不思議な力で病気を治したり、死んだネズミを生き返らせたりと数々の奇跡を起こす。コーフィの無実を知ったポールだったが処刑の日が訪れて・・・。

スティーブン・キング原作を「ショーシャンクの夜に」でも監督を務めたフランク・ダラボンが映画化。映画を観てこんなに胸が熱く、苦しい思いをしたのは初めて。これはきっとポールの心境、この映画に引き込まれたからだろう。
3時間と長い映画だけどそれほど長いとは感じられなかった。話がまとめられていて緊張と緩和の循環がうまく流れていたからかな。
キャスティングも良かった。もちろんトム・ハンクスもいいけど、ぼくはブルータル役のデヴィッド・モースがけっこうよかった。

不思議な力で奇跡を起こすジョン・コーフィの行いはキリストに近い点があるなどこの映画はキリスト教が深く絡んでいます。
神の使いのコーフィは世の中の悲しみを一手に引き取って、無実でありながら死刑を受け入れる。そして無実と知りながら合法的殺人の処刑を実行しなければならないポールの苦悩は観ていて胸が痛い。コーフィを通して生きる事の素晴らしさと悲しみを感じとってください。
そして、人それぞれのグリーンマイルを歩み始めることでしょう。

2000/04/01 厚木テアトルシネパーク

2000年04月02日

遠い空の向こうに

監督:ジョー・ジョンストン
原作:ホーマー・H・ヒッカム・Jr
脚本:ルイス・コリック

出演:ジェイク・ギレンホール/クリス・クーパー/クリス・オーウェン/ローラ・ダーン
1999/アメリカ

冷戦時代の1957年10月。ソ連は人類初の人工衛星の打ち上げに成功。夜空を流れる人工衛星を見た高校生のホーマーはロケットの打ち上げを夢見るようになる。炭坑夫の父の反対を受けつつも、仲間と「ロケット・ボーイズ」を結成したホーマーは手作りのロケットで実験を続ける。しかし・・・

NASAのエンジニアの実話を基にした本作。久しぶりに泣いた。プロデューサーが「フィールド・オブ・ドリームス」と同じ人とか。それで納得。
短い時間でテンポ良くストーリーが進む。シンプルな作りが観客の心を主役と同様のところに持っていき、感情移入しやすい。
主人公達以外で注目すべき人が教師のミス・ライリー。彼女の言葉は彼らだけでなく観ている私達をとても勇気づけてくれる。
この映画の本線はもちろんロケットの打ち上げだが、その支えとして親子の関係が描かれている所も注目。頑固者だがやさしい父とフットボールの名選手の兄を持つ弟ホーマー。ちょっと「スタンド・バイ・ミー」みたいな設定だけど、この2人がお互いを理解していく様が丁寧に描かれていて、最後の方はグッグッと込み上げてきてしまった。もうなんか後半は涙腺緩みっぱなしだったなぁ。
とても爽やかな感動作。夢を持つ若い人も、夢を心のどこかに閉まってある人もこの映画で勇気づけられてみてはどうでしょう。

2000/04/02 日比谷シャンテ・シネ

2000年04月16日

はつ恋

監督:篠原 哲雄
脚本:長澤 雅彦
出演:田中 麗奈/原田 美枝子/平田 満/仁科 克基/真田 広之
1999/日本

会田聴夏、17歳の春休み。突然、母親が入院することになってしまった。ぎこちない父親との2人暮らしに聴夏はとまどう。そんな時、聴夏は母親の古いオルゴールから昔、母が書いたラブレターを見つける。母のはつ恋の相手と感じた聴夏は相手の男性、藤木真一路を探すため母の故郷、長野に向かう。

篠原監督作品は僕は3本目。今回の注目はやはり田中麗奈。 『がんばっていきまっしょい』 から明らかに成長してる。まぁ当たり前か。今作の田中麗奈はとても活き活きと した印象。素に近いのだろうか。真田との掛け合いはとてもいい雰囲気でした。
そして田中麗奈といえば目だね。あんなので見つめられたらねぇ。それと手かな。今回の映画では手の動きがちょっと印象に残った。そして桜と音楽。この4つが僕のこの映画の印象です。

よくできてるなと感じたのは会話。家で親との会話と外の友達との会話ってちょっと違うだよね。そこがはっきりしてた。また、母との会話の感じ、父との会話の感じもやっぱ違うんだよね。あたり前のことかもしれないけど、そういうのがあるからか会話がとても自然に聞こえた。
この会話って大事なんだよね。人と人との間を繋ぐ大事な要素。理解しあえるためにはこの会話が大事なんだと強く思います。

タイトルを観ると青春恋愛ドラマのような気がするんだけど、実際は家族の大切さを描いてるのが僕は強く感じました。特に中盤から終盤。まったくおもいがけない良い展開でつい泣いてしまった。1人で泣くとちょっとみっともないんだよなぁ・・・。

2000/04/16 新宿東映パラス2

2000年04月23日

ストレイト・ストーリー

監督:デイヴィッド・リンチ
脚本:ジョン・ローチ/メアリー・スウィニー
出演:リチャード・ファーンズワース/シシー・スペイセク/ハリー・ディーン・スタントン
1999/アメリカ

アイオワ州、ローレンスに住む73歳のアルヴォン・ストレイトは娘ローズと2人暮らし。アルヴォンは目や足腰が弱り2本の杖を使用して生活している。
そんなある日。兄のライルが倒れたとの電話が。2人は10年来仲違いをしており、口も聞くことがなかった。しかしアルヴォンは今会いに行かなければと思い、唯一の乗り物であるトラクターに乗って、560km離れた兄の住む街に向かう。

実際にあった出来事を基にした話。夜空に輝く星、どこまでも続くトウモロコシ畑がとても美しい。
そんな中を時速8kmのトラクターにまたがるじいさん、リチャード・ファーンズワース。この人なしではこの映画はなかったかもしれないとぼくですら思う。あの眼の輝きはどこからくるのか。真っ直ぐの道を真っ直ぐな瞳で見つめる彼の横顔はかっこよかった。
それに彼のジョークを交えた言葉は彼からにじみでてくる”経験”によりとても深い言葉に聞こえる。これはじいさんだからなせるわざだね。
その中でも家出の少女に家族の大切さを説いたシーンがよかった。じいさんの家族に対するやさしさがとても感じられる。家族は大切なんだよぉ。
”旅”の途中で出会う様々な人々や出来事は人生の縮図。いいこともあればつらいこともある。どんな困難が起きようともじいさんは頑なに自分の意志を貫いた。これは歳をとったからなせるわざではなく、人間時には自分の意志を貫いてやりぬくことが大事なことがあるってこと。夢や希望を持つ事は良いことだ。いくつになってもね。

2000/4/23 横浜オスカー2

スペーストラベラーズ

監督:本広 克行
原作:児島 雄一
脚本:岡田 恵和
出演:金城 武/深津 絵里/安藤 政信/池内 博之/渡辺 謙/浜田 雅功
2000/日本

ある日の午後。閉店間際のコスモ銀行に銃を持った3人組が突入。金を奪うため支店長と警備員を人質に金庫に向かうリーダーの保だったが手違いで金を奪えず2人を金庫室に閉じ込めてしまい失敗。あっという間に警察に取り囲まれてしまう。
銀行のロビーにいた者を人質にした保達だったが、その中に国際テロリストが居て事態はエスカレートしてしまう。

映画「踊る大捜査線」の本広監督の最新作。脚本はTV「ビーチボーイズ」等を手掛けた岡田恵和。基ネタはお笑いグループジョビジョバの作品です。
豪華なキャストの中でぼくが惹かれるのは渡辺謙。彼が出ているから観に行ったようなもの。あやしい雰囲気。きたえられた肉体。あぁ~かっこいいなぁ。
緊張感あふれるシーンと笑いをうまく組み合わされていてリズムがよくとても観やすい印象。それに細部にまで凝った作りがこだわりを感じさせる。あっさりと1回観ただけでも十分楽しめるし。2回観ても新たな発見があったりして幅広い層に支持されそう。
特に1人を中心に描かれているのではなく登場人物1人1人にストーリー、見所がある。こういうのってなかなかいい。感情移入しやすいし、より”仲間”を感じさせてくれる。
この”仲間”ともうひとつ、このおもしろおかしい映画にテーマがある。それは”親子”だ。テロリストが人間らしく娘に会いに日本に帰ってきてたり、離婚寸前の夫婦にも子供がいる。けっこうさりげない感じだけれど親子の大切さを描いている点がこの映画の良い所だと思う。
ただ最後がなんかさ。脚本岡田、出演深津絵里で「彼女たちの時代」を思い出した。でもまぁこの終わり方は悪くないんだけどさ。
彼らが探していた楽園。果たしてそれは見つかったのだろうか。そしてぼくらは楽園を見つけることができるのだろうか・・・。

2000/4/23 伊勢佐木町東映1

2000年05月01日

ナビィの恋

監督・脚本:中江 祐司
脚本:中江 素子
出演:西田 尚美/村上 淳/平良 とみ/登川 誠仁/平良 進
1999/日本

奈々子は東京の会社を突然辞めて故郷沖縄の粟国島に久し振りの里帰り。出迎えてくれた恵達おじぃとナビィおばぁの優しい笑顔が疲れた奈々子の体をほぐしてくれる。おばぁの育てたブーゲンビリアとおじぃの奏でる音楽に心地良さを感じる奈々子だったが、おばぁが急にソワソワして、どうも落着かない。おばぁの行動を尾行する奈々子。その先に居たのはおばぁの60年前の初恋の相手だった・・・。

ずっと観たいと思ってなかなか行けず、やっと観る事ができました。ナビィおばぁの60年の恋を貫き通す。60年・・・こういう女性はいるのだろうか、っていうくらい気の遠くなる年月。感服です。
ナビィの恋と奈々子の恋の行方と女性が主役の映画、だけどぼくが気になったのは恵達おじぃ。三線の名手らしいんだけど悟りきった佇まいから想像もつかないひょうきんさ。この映画の全ての笑いを彼が引き受けていてもう最高でした。
沖縄の海、空、土地、風、人、音楽。この監督は沖縄が好きなんだなーってすごく感じる。気持ちの和む映画です。

2000/5/1 横浜西口名画座

2000年05月03日

アメリカン・ビューティー

監督:サム・メンデス
脚本:アラン・ボール
出演:ケビン・スペイシー/アネット・ベニング/ソーラ・バーチ/ウェス・ベントレー/ミーナ・スバリー/クリス・クーパー
1999/アメリカ

42才のレスターはリストラ候補のリストに入るさえない会社員。家でも威厳ゼロの中年親父だ。不動産ブローカーの妻キャロリンは成功を追い求め、高校生の娘、ジェーンは平凡な毎日に不満を感じて常に情緒不安定。レスターともまともに口を聞いてくれない。レスターのイライラと欲求不満は増すばかり。しかし、ジェーンの同級生、アンジェラに一目惚れしたレスターは娘に軽蔑されながらも、マリファナを吸いながらトレーニングで体を鍛え始める。

アカデミー5部門(作品、監督、脚本、主演男優、撮影)を制覇した話題作。アメリカの典型的な中流家庭に生じたズレから、崩壊する家族の姿を絶妙な構成とカメラワークで描いています。
オスカーを獲ったケビン・スペイシーの中年親父ぶりはなかなかのもの。こういう人アメリカでなくともたぶん先進国のような国ならいるんじゃない、ってぼくでも思いました。
一見どこにでもいる普通の人々。しかし内面は、ストレスや欲求不満を抱えイライラした生活を送っている。しかし、その抑圧を解いた時、人々は”自由”を手に入れる。スクリーンの彼らが”自由”を手にした時、口元がフッと笑っていた。実際は笑ってなかったかもしれないけど、ぼくにはそう見えた。あの時なにかが心の中で起ったんじゃないかな。
ぼくが一番感心したのはカメラワーク。こんなにうまいなぁと感じたのはめったにない。撮影賞を獲ったのも頷けます。
吹っ切れた後の人が手にしたのは結局虚しいものだったのだろうか。もしそうなら人生って虚しいなぁ。

2000/5/3 藤沢オデオン館

2000年05月07日

MONDAY

監督・脚本:SABU
出演:堤 真一/松雪 泰子/安藤 政信/大河内 奈々子/西田 尚美/大杉 漣/小島 聖/塩見 三省/野田 秀樹
1999/日本

月曜日の朝。サラリーマンの高木はホテルの一室で目を覚ます。しかし、彼は昨夜酒に酔っていたため、いつの間にどうやってここに来たのか分からない。必死に思い出す高木は、ポケットからタバコと一緒に落ちた”お清めの塩”を見て、昨夜のことを思い出し始める。

SABU監督の作品を初めて観ました。なんだかとてもドキドキしたのはなんだろう。怖いわけではないのに観ていてとてもドキドキしました。
良いっす堤真一。小心者だが酒が入ってキレまくった男、バッチリ決まってます。真面目そうな雰囲気があるだけにギャップがあってそれがよけいおかしかった。
多彩なキャストで絶妙なキャスティング。必見です。野田秀樹が笑いっぱなしでクックックッ・・・。
「今この世に必要なのは銃なんかじゃない。ほんの少しの優しさと、愛だー。」いいなぁこのセリフ。シーンがシーンだっただけに。これでちょっと涙がでそうになって、ぼくは大団円かと思ったら・・・。
そうきたか・・・。ぼくはやられました。
まぁこれで終わったらおいおいこれで終わりかよって思うんだろうけど。
堤真一のキレた男だけでも一見の価値ありです。

2000/5/7 渋谷シネアミューズ・ウエスト

2000年05月25日

アンドリューNDR114

監督:クリス・コロンバス
原作:アイザック・アシモフ
脚本:ニコラス・カザン
出演:ロビン・ウィリアムズ/エンビス・デイビッツ/サム・ニール/オリバー・プラット
1999/アメリカ

そう遠くない未来のある日。マーティン一家に、あるロボットが届く。ロボットの名はNDR114、通称"アンドリュー"。家事全般をこなすお手伝いロボットだ。扱いに戸惑う一家の中で、次女のリトル・ミスだけはアンドリューを人間同様に接し、次第に心を通わせるようになる。
また、一家の父サーもアンドリューを息子のように思い、たくさんの本と、教養を与えるのだが・・・。

ロボットのアンドリューを通して、友情、恋愛、家族、人生など人間の在り方を問うSF映画。ぼくが特に引かれたのは、映画で頻繁に描かれる父子の関係を、この映画ではサーとアンドリューで描いてる点。サーには娘が2人いるものの息子がいない。サーはアンドリューを人間の息子のように思い、本を与えたり、時にはジョークを教え創造性を高めたり、収入を得るようになると銀行に口座を作ったりと、典型的なアメリカっぽい父子関係だ。しかし人間のサーには寿命があり死が訪れる。立派に独り立ち(?)したアンドリューとの最後の会話。アンドリューはこの時すでに人間としてそこに存在していた。姿はロボットのままで涙を流すことはできなかったが、僕には涙を流し悲しみの表情を浮かべるアンドリューの姿が見えた気がした。
それにしても200年間(!)を生きたアンドリューを演じたロビン・ウィリアムズにはもう感服。16キロものロボットスーツに身を包んでの演技はかなりの難儀だろう。しかし彼自身がアンドリューを演じることで、心を持ったアンドリューに生命が与えられ、よりリアルなものになった。映画の後半しかその生身を表すことはできなかったがその芸達者ぶりは全体を通していかんなく発揮。スタンダップコメディアンならではのジョークも最高だ。
人間より人間らしい心を持ったアンドリューが選んだ道とは。そこに僕たちが進むべき道が見えて来るのではないだろうか。

2000/5/25 藤沢キネマ88

ピンチランナー

監督:那須 博之
脚本:斎藤 葉子/益川 知実
出演:中澤 裕子/安倍 なつみ/飯田 圭織/保田 圭/矢口 真里/市井 紗耶香/後藤 真希
2000/日本

品行方正な女子校、朝比奈学園の陸上部にたった1人在籍する峰岸あゆみ。優等生の彼女だが、いつも1人で海沿いの道を走っていた。
そんなある日。陸上部の部室が入っている体育倉庫が落雷により火事に。中には練習を終えたあゆみが残されていた。降りしきる雨の中、同じ街の男子校の生徒でサーファーの俊也が燃え盛る倉庫の中に飛び込み無事にあゆみを救い出す。
バスケ部の部室を間借りすることになったあゆみはそこで林原真穂と出会う。真穂は陸上部に入り一緒に走り始める。

なにはなくともモーニング娘。ぼく、今彼女達好きです。だから展開が早くても構成がちょっとおかしくてもいいんです。彼女達の姿が見られれば・・・。
でもちゃんと演技してます。思っていたより上手いです。特に目を引くのは安倍なつみと市井紗耶香。別に松坂慶子と共演するシーンがあるからというわけではない。彼女のセリフにグッとくるものがあるのです。こういうのは感情が入ってないと相手に伝わらないでしょう。(って単にぼくが市井紗耶香のファンだから?)
前半を7人の人物描写に絞ったのはいいのだけれど、どうしても説明不足は否めない。撮影期間の短さもあるだろうがこれはちょっとかわいそう。予備知識ゼロで観たらわからないのでは。
後半の駅伝は本当の駅伝に参加して走った娘。達。演出はなく本気で必死に走る姿はとても素敵です。
しかし・・・追っかけはなんとかならないのか。思いっきり映ってんじゃん。すごく気になるよあれは。それに撮影スタッフまで映るのはどーなんだ!邪魔でしょ。いくらドキュメントだからってそれくらいは気にして欲しかった。最後に、安倍がスタジアムに戻ってきた際の盛大な拍手に違和感を感じたのはぼくだけだろうか・・・。
でも彼女達は頑張った。順位なんて関係ありません。大切なことは走りきることです。ですよねエスタさん。
友情に恋に家族。青春時代に悩む要素を詰め込んだ本作で娘。達の”今”を感じてください。これは彼女達からパワーをもらえる映画です。

最後に・・・
市井さんモーニング娘。卒業は残念です。しかし、よりパワーアップして再び会える日をぼくは楽しみに待ってます。

2000/5/25 藤沢スカラ座

2000年05月31日

エリン・ブロコビッチ

監督:スティーブン・ソダーバーグ
脚本:スザンナ・グラント
出演:ジュリア・ロバーツ/アルバート・フィニー/アーロン・エッカート
2000/アメリカ

元ミス・ウィチタ、高卒、離婚2回、独身、無職、預金残高16ドルのエリン・ブロコビッチは3人の子を持つ母親だ。交通事故の訴訟がきっかけで知り合った弁護士エドの事務所に、強引に就職した彼女は、書類の整理中にある企業のファイルに疑問を感じ、独自に調査を開始。そこで驚くべき事実を知ったエリンは一大訴訟を起こすべく、エドと協力してさらに調査を進めるのだが・・・。

実際にアメリカで起ったストーリーを基にした真実の話。社会的弱者の代表の様なエリンが大企業の環境汚染を暴き、被害者住民と共に起こした訴訟で、勝ち取った和解金は3億3300万ドル!これはアメリカ史上最高額だとか。これはひとえにエリンの活躍があってこそでしょう。
エリンの正義感溢れる行動力、発言、そして最後まであきらめない情熱は、観ているぼくらにひしひしと伝わってきます。
それはやはりエリン役のジュリア・ロバーツだからだろう。彼女の生き生きとした表情がとても活発なエリンとぴたりと重なる。胸元の大きく開いた服とミニスカート、ハイヒールを履いてエリート弁護士を叱責して絵になる女優が他にいるだろうか。
しかし奇抜なファッションの裏はお金がなく新しい服が買えないからだ。子供を外食に連れて行っても自分はコーヒーだけで、家に帰ってアイスらしきものを頬張る姿にぼくは惹かれていた。スクリーンの向こうの彼女にエールを送っていた。
そんなエリンの魅力はやはり正義感です。子供を守るための「正義」。弱者である被害者住民を守るための「正義」。彼女はそれらを守るため必死になって働き、最終的に自分を救うことになります。しかし彼女は最初からそれを計算していたわけではなく、自分の信じる道を貫く事に一生懸命でした。それゆえに事務的に事を進めようとするエリート弁護士に苛立ち、暴言を繰り返し反感を買ってしまうのですが。
それでも、観ている私達はどんなに彼女が汚い言葉を発しようとも、彼女側に立って観ているので彼女の怒りを共有しています。彼女がエリート相手に捲し立てれば共に爽快な気分を味わっています。
ところで3人の子供の世話は・・・。と思いますが、この世話を隣人のハーレー乗りのジョージがしています。この彼にぼくはとても好感を感じます。男の鏡です。しかも結婚できそうにないとこがまたイイ。エリンとジョージは恋人にはなれても結婚は難しい。それはエリンが2度結婚に失敗しているから。ジョージにはかわいそうな気がしますが、彼女はもう男に頼る生活を完全に諦めています。ジョージよ時々ハーレーでのツーリングで気を紛らわしてくれ・・・。
エリンの姿はぼくらに希望と勇気を与えてくれる。清々しい感動作です。

2000/5/31 藤沢オデオン館

ミッション・トゥ・マーズ

監督:ブラインアン・デ・パルマ
脚本:ジム・トーマス/ジョン・トーマス/グラハム・ヨスト
出演:ゲイリー・シニーズ/ティム・ロビンス/ドン・チードル/コニー・ニールセン
2000/アメリカ

2020年。人類は遂に火星への有人飛行を実現させた。しかし、マーズ1号の4人の飛行士は火星探査中に宇宙ステーションとの交信を絶ってしまう。最後の交信には傷だらけのルークの姿が残されていたものの、原因解明には至らず、交信後の生存も確認できない。事故原因の解明とルーク救出のためジムを中心としたマーズ2号による、救出ミッションが始動。しかし、彼らを待っていたのは6ヶ月間の危険な宇宙旅行と驚愕の事実だった。

『ミッション・インポッシブル』のブライアン・デ・パルマが続編『M・I2』を断ってまでこだわった自身初のSF映画。彼、実は相当SF好きだそうです。
やはりSF映画といったらSFXは見物でしょう。本作はILMとドリームクエストが制作を担当しています。これにデ・パルマの華麗なカメラワークが組み合わされているんだから贅沢なもんだよ。
なかでも宇宙遊泳のシーンはハラハラドキドキ。とても緊迫したシーンの中ちょっとした事件が展開。「えっマジで。」と思わず声を出してしまった。(周りの視線が・・・)
キャスティングは映画ファンなら名脇役でおなじみのゲイリー・シニーズが主演。ついに彼もヒーローに。妻を亡くした男の哀しみが彼の表情から感じられ、特に昔のビデオを観る目がもうなんかとても哀しくなってしまいます。
ぼくはどっちかというとティム・ロビンスが出ているので観に行ったのですが、途中で・・・だったのがちょっと残念。
デ・パルマが熱望していたSF映画なのですが、正直なんかもの足りない気が。わたし自身SFをたくさん観ているわけではないのですが、なんかね。しかし、これは視点を変えて「シンプルな作り」のSF映画と考えればすんなり受け入れることができる。観やすいから肩肘張らずリラックスして観る事ができるよ。
本作は過去のSF映画へリスペクトしているようなので、これを機会にSF映画にどっぷりつかってみるのもおもしろいのではないでしょうか。

2000/5/31 藤沢オデオン館

マン・オン・ザ・ムーン

アンディ・カフマン。1984年に35歳という若さで亡くなった伝説のコメディアン。この映画は彼の短いながらも波乱に富んだ人生の物語。
アンディは子供の頃から人を笑わせるのが好きだった。両親に叱られても、弟妹を観客に見立てベッドの舞台でTVショーの物真似を見せた。いつかカーネギーホールの舞台に立つことを夢見ながら。
それから10数年後。各地のコメディクラブを転々とするアンディの姿があった。しかし観客には全くウケない。それでも彼は次々と新しいネタを生み出し、次第に観客の心を掴んでいった。

人を喜ばせることに人生をささげたアンディ・カフマンをジム・キャリーが好演。これほどアンディを陰影豊かに、そして魅力的に演じることができる男がいるだろうか。ゴールデングローブ賞主演男優賞を獲ったのうなずける。なのになぜアカデミー賞は、彼を無視(?)したのか。わかりませんねぇ。
人を笑わせるばかりでなく、逆に白けさせたり怒らせたりとコメディの枠にはまらない自由な発想で観客の興味を引き付ける事に成功した彼だが一方で、ヨガを習い、精神の安定を保とうと苦悩する姿も見せる。
本当の自分を見失いそうな彼に恋人は「本当のあなたなんてないじゃない」と言う。一見冷たい言葉だが、それはどのアンディもそのものであり、全て一つであることの意味だとぼくは思う。この言葉がアンディを表す最良の言葉ではないだろうか。
肺ガンの発覚後、彼は遂に夢のカーネギーホールの舞台に立つ。最高のパフォーマンスに超満員の観客。舞台の後、観客全員にミルクとクッキーをふるまうアンディの姿がとても印象的だった。
彼はどんなに毒舌で観客を罵っても、悪役となり観客を怒らせたり泣かせても愛されていた。超満員の観客がそれを物語っているだろう。そしてアンディもまた、人々をそして世界を愛していたのだ。白黒のスクリーンで「やさしくて温かい世界を ありがとう」と歌うアンディの姿にぼくは溢れる涙を止めることができませんでした。
「笑いあり、涙あり」この言葉がホントウにぴったりと当てはまる映画でした。

2000/5/31 藤沢キネマ88

2000年06月24日

ミッション・インポッシブル2

監督:ジョン・ウー
脚本:ロバート・タウン
出演:トム・クルーズ/ダグレイ・スコット/サンディ・ニュートン/ヴィング・レイムス
2000/アメリカ

休暇中にロッククライミングを楽しむイーサン・ハント。頂上にたどり着いたまさにその時、ヘリコプターからサングラスが落とされる。ハントがそれをかけると男の声が流れ出す。「おはようハント君・・・。」
今回のミッションは元IMFのショーンがロシア人医学博士から奪った殺人ウィルス「キメラ」とその治療薬「ベレロフォーン」を取り戻すこと。ハントはショーンの元恋人ナイアを相棒にこの「不可能な作戦」に挑む。

前作の公開が1996年。それから4年後、20世紀最後の年にこの続編「M:I-2」が公開。今回はジョン・ウーを監督に迎え前作とはまた違った「M:I」となった。
やはり「M:I」といえばトム・クルーズでしょう。今作もそうとう気合入ってます。なんとほとんどのアクションシーンを自ら演じているというではありませんか。これはマジで驚きました。あのロッククライミングも、90%はトム自身だってさ。まぁたしかにその方がカメラ割が自由にきくし、リアルでドキドキ感の溢れたシーンになるんだけど・・・。スタッフ大変だったろうなぁ。ケガされたら困るもんなぁ。
そう今回はアクションシーンが沢山ある。カーチェイスにバイクチェイス。もちろん派手な銃撃戦もある。ジョン・ウー監督だからなのかどうかはわかりませんがこれはそうとうすごい。これでもかっていうくらい続くので、館内のちっちゃい子から「もうイヤダー」と泣く声が。まぁ冷静に観たら普通のアクション映画と同じだと思うんだけど、前作、ハントは銃を持つことがなかった。それだけに「前作とは違うんだぞ」という雰囲気はとても感じられた。
それと忘れてならないのがヒロイン「ナイア」を演じる、サンディ・ニュートン。『シャンドライの恋』ではかわいい印象の女性だったが、こちらでは髪を降ろしてキレイでセクシーな女泥棒だ。ハントと出会うシーンでの彼女はそうとう魅力的で、男ならココで彼女の虜でしょう。
しかーし。終盤、彼女の存在が弱くなってしまうのはなぜ?
前半、ハントとナイアが恋に落ちたり、ショーンとの三角関係など良い展開だった。ところが終盤、特にナイアのタイムリミットが迫っているはずなのにそのことが観ているぼくに伝わらない。崖から自殺しようと立ち尽くす彼女の姿だけではわかりづらいよ。同時進行のハントのバイクチェイスが目立つからさー。タイムリミットが迫っている雰囲気が少しは欲しかった。
どうやら全体的にトムだけの映画になってしまったようだ。確かに悪役のダグレイ・スコットも存在感はあったし、前作も出演したヴィング・レイムスもいた。でもアクションシーンになれば主役が目立つのは当たり前なんだよね。ド派手なアクションも捨て難いところだがぼくはハントのCOOLな判断力と行動力が好きだ。だから前半1時間ちょっとの間はとてもおもしろかった。しかし終盤は・・・。う~ん。
どうやら今回、ぼくはハントに裏切られたようだ。

2000/6/24 藤沢オデオン座

2000年06月28日

太陽はぼくの瞳

監督・脚本:マジッド・マジディ
出演:ホセイン・マージゥーブ/モフセン・ラマザーニ
1999/イラン

モハマドはテヘランの盲学校に通う8歳の少年。母親を5年前に亡くして今は学校の寮に入っていた。学校が夏休みに入り子供達は家族の元に帰ることに。しかしモハマドの父親はなかなか来ず、1人ベンチに残されたままだった。その間、モハマドは木の上から落ちた鳥の雛を見つける。わずかな音を頼りに手探りで雛を巣に戻すモハマド。自然と一つになる時、彼の心は癒されるのであった。
そして遂に父親がやって来るのだが・・・。

ぼく自身2度目となるマジディ監督作品。 前作『運動靴と赤い金魚』同様海外で高い評価 を受けているようです。
イラン映画といえばなんといっても子供達の生き生きとした表情でしょう。目が見えなくとも元気いっぱいに走るモハマドやその姉妹の姿、その背景に映る色とりどりの花々や緑豊な自然がスクリーンの向こうで輝いています。
モハマド少年の笑顔も良いけどその姉や妹の笑顔が本当にカワイイんだよぉ。やさしさに満ちているっていうかとても自然で好きだなぁ。
耳で周囲の音を感じるモハマドの聞こえる音をちょっと強調していて、観ているぼくらもモハマドが聞いている音を共有できるような作りにとても好感を持てます。
手と耳でものを感じるモハマド。神様に触れて(感じて)心の内をすべて語りたいと話す姿がとても印象的だった。彼にとってちょっとひどい事件があった後だっただけにその言葉に胸を打たれました。
そしてこの映画のキーパーソン(?)、モハマドの父。いやぁ全くしょうがない奴なんだよ。だけど彼の気持ちもわからなくはないんだけどさぁ。そりゃあんまりだよあんた。あんまり詳しく書くとネタばれになってしまうので辞めときます。モハマドも大変だろうけど大人も大変なんだよってことなのでしょう。
神秘的なラストがこの感動的な物語をさらに印象付ける、気持ちの良い映画です。

2000/6/28 関内アカデミー劇場

2000年07月01日

ストレイト・ストーリー

監督:ロバート・イスコーヴ
脚本:R・リー・フレミング・Jr
出演:フレディ・プリンツJr/レイチェル・リー・クックマシュウ・リラード/ポール・ウォーカー
1999/アメリカ

ザックは高校の生徒会長でサッカー部のヒーロー。ガールフレンドは学園のクィーン、テイラーだ。春休みも終わりあと数週間で高校生活も終わるという頃、ザックはいきなりテイラーに別れを告げられてしまう。ヤケになった彼は悪友ディーンのとんでもない賭けに乗ってしまう。それは学園一冴えない女の子レイニーをプロムパーティーまでにクィーンに選ばれるような美しいレディに仕立て上げるというのだ。
早速ザックは彼女に声をかけるのだが全く相手にされない。それでもなんとかデートに誘うことに成功したザックだったが・・・。

アメリカ的青春ドラマ。典型的なシンデレラストーリー。ティーン版プリティ・ウーマン・・・。こんな文句がまさにぴったりな青春映画。ぼくは今まであんまり見なかったんだけどこういうのも良いですねぇ。
実のところレイチェル・リー・クック見たさにぼくはこの映画を観たのです。だってカワイイでしょ。ぼくは3年前に雑誌で初めて彼女を見ました。それがとても印象に残っていて今でも覚えています。
イケてない少女からイケてる女性に変身するレイニー役は彼女にとてもぴったり。メガネを使ってダサさを演出というお決まりの手法も彼女のかわいさに目をつぶろう。
10代はみんな自分を変えたいと思っている。外見だけでなく内面から大人になりたいと。これは日本でも同じだろう。しかしそこで悩んでしまうんだよね。これでいいのか、他の道があるのではないかと。でも人生思い切りだ。勢いで乗り越えることが大事なことだってある。自分の道は自分で切り開かなければならないのだ。
劇中でもやはりレイニーやザックはそこで壁にぶつかっている。自分の将来に自信が持てず悩んでいる。しかしわずかなキッカケと自分に素直になれば壁を乗り越えられるのだ。
なんだか見ていてとても身に覚えのあることだ。この映画を観てちょっと勇気がでた。観終わってそんなことを思う21歳の初夏でした。
でも初日でしかも「映画の日」で1000円で見られるのに館内に5~6人(しかも男)というのは寂しいなぁ・・・。

2000/7/1 厚木シネマミロード

ザ・ハリケーン

監督:ノーマン・ジュイソン
原作:ルービン・"ハリケーン"・カーター/サム・チェイトン/テリー・スウェイトン
脚本:アーミアン・バーンスタイン/ダン・ゴードン
出演:デンゼル・ワシントン/ヴィセラス・レオン・シャノン
1999/アメリカ

1963年、ボクシング・ウェルター級のチャンピオンに輝いたルービン・"ハリケーン"・カーター。しかし3年後、ニュージャージー州のバーで起った殺人事件の犯人とされ、終身刑となってしまう。ルービンは無実を主張し獄中から自伝を出版するが再審でも有罪の判決を受ける。ルービンは希望を失い社会とのつながりを断ち切る。
しばらくしてルービンに、カナダに住む少年レズラから一通の手紙が送られて・・・。

無実ながら人種偏見から投獄された黒人ボクサー"ルービン・ハリケーン。カーター"の釈放までの18年間を追った実話ドラマ。
どうもここ最近実話を基にした映画が多いですねぇ。なんでだろ?はやりなのかそれともネタ切れなのか?でも実話を基した映画にはハズレがないように思うし個人的には好きなのでいいんだけどさ。
ルービン役のデンゼル・ワシントンはこの役のために1年間ボクサーのトレーニングを積み、ハリケーンのごとく繰り出されるパンチを見事に再現。鍛え上げられた肉体と役者魂にただただ脱帽です。もちろん彼の演技力はいうまでもなく、微妙な心の変化、動きを見事に演じています。
希望も自由もないと語るルービンの言葉はとても印象深い。塀の中での過酷な生活は安易に想像できるものではないだろう。ましてや人種偏見がある時代である。ぼくらにはほとんど理解できない問題だ。できることは人種差別とそれによる冤罪がなくなることを願うだけだ
「拳」に自由を求めていたルービンだったが投獄され自伝を書くようになってから「言葉」に自由を求めるように変わっている。拳に自由を求めた時の彼は自分の肉体を武器として社会の偏見に1人で立ち向かっていた。しかし言葉に自由を求めるようになった時、彼は他人の力を借りるようになったのだ。そう、人は1人では生きていけないのだ。
この変化をもたらしたのはやはりレズラ達だ。特にレズラとルービンの親子ほど年の離れた2人の交流がルービンに希望と自由への道を開かせた。交流の始まりがルービンの書いた本を読んだレズラが感動して送った手紙というのも興味深い。
釈放後、自由と希望そして友情を得た彼の表情はとても穏やかだった。
輝く空に彼はなにを見ていたのだろうか。

2000/7/1 厚木テアトルシネパーク

2000年07月05日

サイダー・ハウス・ルール

監督:ラッセ・ハルストレム
原作・脚本:ジョン・アーヴィング
出演:トビー・マグワイア/シャーリーズ・セロン/マイケル・ケイン
1999/アメリカ

メイン州ニューイングランド。ホーマーはセントクラウズの孤児院で生まれ育った。孤児院の院長ラーチは彼の父親代わりとなりホーマーに自分の仕事(分娩と当時禁止されていた堕胎)の助手をさせ医療の勉強をさせていた。
しかしホーマーは堕胎することに疑問を感じ手術の助手を手伝う事はなかった。
そんな時、ホーマーは自分と同じ世代のキャンディとウォリーに出会い、憧れていた外の世界に旅立つ決意をする。

映画の中心は父(ラーチ)と息子(ホーマー)の物語ではあるがそれに併せてホーマーの青春物語の側面もある。特にホーマーが孤児院を飛び出し、外の世界での様々な経験により成長していく姿にとても共感できた。
このホーマー役のトビー・マグワイアが実に良い表情をしているのだ。素朴・純真なホーマーの、ときおり見せる寂しげな表情がなんともいえないよ。話相手に対してじっと相手の顔を見て話を聞く姿勢、大人でも子供でも同じ接し方をしているのも好感が持てる。
この映画の俳優達はとても自然に映画の中に入り込んでいる。ラーチ役のマイケル・ケイン(アカデミー助演男優賞)やキャンディ役のシャーリーズ・セロンも違和感がない。これはラッセル・ハルストレム監督が俳優の自由な発想を尊重し、柔軟な対応から生み出されたのだろう。もちろん監督の期待に十二分に答えた俳優達の演技力あってです。
ホーマーを通して描かれる「ルールの矛盾、葛藤」。この映画の主な人物は皆ルールを破り又一方で守りながら生きている。人はルールを破ってでも救わなければならない人、出来事があるものだ。
大切なことは自分のルールを見つけること。
そして自分がすべき事はなにかを見つけること。
ぼくはこの映画でそんなことを問われたように思います。

2000/7/5 藤沢オデオン館

2000年07月12日

レインディア・ゲーム

監督:ジョン・フランケンハイマー
脚本:アーレン・クルーガー
出演:ベン・アフレック/シャーリーズ・セロン/ゲイリー・シニーズ
2000/アメリカ

刑期を務め出所することになったルーディ。刑務所の門を出るまで彼の頭にあったのは故郷でクリスマスを家族と過ごすことだった。しかし門の前で1人の女性を見た瞬間、彼の考えはどこかに消えてしまった。
その女性はルーディと同房だったニックの文通相手アシュリー。しかしニックは出所2日前に事故で死んでしまった。彼女は来るはずのないニックを待っているのだ。ルーディは悪いと思いつつもニックと偽って彼女と付き合い始めるのだが・・・

ラストの二転三転の展開にただただ驚き、やられたと思った。良くできたサスペンスドラマは観ていて不快に感じることがないよね。それよりも場面ごとに「なるほどー」、「そーか」と感心していた。伏線も微妙で複雑というわけではなく、ちゃんと観客の頭に印象付けられるようにしっかりと見せている。こういうのは最近見ないからちょっと新鮮だった。小難しくなくてぼくはこの方が好きだな。
さてキャストだけどベン・アフレック、シャーリーズ・セロン、ゲイリー・シニーズとなかなかの演技者揃いだ。しかしあくまで主役はルーディ役のベンである。ちょっと田舎臭い人のいい兄ちゃんって感じで良い感じだ。前半なんとか逃げ出そうと必死な姿は応援したくなっちゃいます。
さらに今回シャーリーズ・セロンが出演の作品が2本続きました。彼女の役者としての力を見るのにちょうど良い2本でしょう。こちらでもストーリーのカギを握る役どころ。彼女の表情を要チェックです。でもベンを見失わないでね。
ちなみにぼくは『サイダーハウス・ルール』のキャンディの方が好きです。
ガブリエル役のゲイリー・シニーズは・・・らしさがでています。やはり悪役なのか。でもルーディに同情しているような感じがするということはまだ良心が残っているということかな。
展開もリズムもバッチリ。それに上手い脚本ときたらもう言うことなし。次第に明らかになっていく真実。果たしてラストに笑うのは一体誰・・・。
シンプルかつ巧妙なサスペンスはいかがでしょう。

2000/7/12 藤沢オデオン館

2000年07月19日

地上(ここ)より何処かで

監督:ウェイン・ワン
脚本:アルビン・サージェント
出演:スーザン・サランドン/ナタリー・ポートマン
1999/アメリカ

アメリカ、田舎のハイウェイを疾走する1台の78年型ベンツ。運転をするアデルは楽天的でハデ好きな1児のシングルマザー。その隣、助手席に座っているのは14歳の娘アン。アンは無鉄砲な母の行動に振り回せれていることに苛立ち、早く母から自立したいと願っている。
そんな2人が目指す地はロサンゼルス。アデルはウィスコンシン州の小さな町ベイ・シティでの平凡な暮らしに我慢できず、娘アンを女優にしたいと考えたのだ。
そして2人は遂にロサンゼルスへ。2人の都会生活が始まるのだが・・・。

派手好きの見栄っ張りでおせっかい好きの母親アデルと、そんな母を支えるしっかりものの娘アン。アンは母親の許から離れたいと思っているけど母を1人にしておけない、又自分も1人でやっていくことに不安を感じている。そんな母娘の成長を見守るやさしい映画。
ついつい娘の自立心を抑制して自分の考えを押し付けてしまうアデル。子供を持つ親はこんなアデルの姿に見覚えがあるのでは。そして、そんな母に反発するするアンの姿も記憶があるでしょう。そう、この映画に出て来る2人は昔の自分の姿と今の自分の姿なのです。特に女性の方。ある時はアデルに、またある時はアンの気持ちに同感しながらこの映画を観ることになるでしょう。
ってなんか女性のことばかり書いていますが一応ぼくは男です。
そんなぼくはアンの心境にちょっと近いところにあったりします。彼女の気持ちはなんとなくわかるんだなぁ。でも母親はアデルのようじゃないけどね。
そんな(どんな?)賢そうなアンにナタリーポートマンは適役かな。賢そうだもんね、あの表情は。まぁそれ故にスターウォーズ1で女王役だったもんな。

アデルとアンの関係は一見悪そうに見えるが実は非常に良い。アンは母を完全に嫌っているわけではない。2人には愛情によるつながりがしっかりとあってちゃんとコミュニケーションが取れている。これは昨今の家族関係の見本になるんじゃないかな。
って20そこそこの男が言うのは変かな・・・。

2000/7/19 日比谷シャンテ・シネ

ジョン・ジョン・イン・ザ・スカイ

監督・脚本:ジェファソン・デイビス
出演:ランディー・トラヴィス/マット・レッシャー/ラスティ・シュイマー/R・ローズモント/クリスチャン・クラフト
2000/アメリカ

ここはテキサス南部の小さな飛行場。修理工のジョンは仕事がはかどらず、また妻との口論に苛立っていた。そこへ故郷の父の死を伝える電話が。彼は息子を連れて故郷へ向かう。そしてジョンの脳裏には幼き日の出来事が甦る。

シネマ通信のレポーターでおなじみのジェファーソンが監督を務めた初の長編作品。キャスト陣にもシネマ通信の面々がいて、さながらシネマ通信の特番?って感じかと思ってました。ところがなかなかきちっとした映画ではありませんか。ちょっと彼を見直しました。
しかもアメリカ映画の普遍的なテーマ父子のストーリー。なんか下の作品とテーマ近いなぁ。でもこちらは「父子」です。

ジョンの息子時代(ジョンジョンと呼ばれていた)に強烈なインパクトを残すジョンの父親。なぜ?って言いたいくらいジョンジョンにそして妻に厳しい。どうやら保守的なアメリカ南部の典型的な父親像らしい。しかし彼もまた同じように育てられた身である。果たして同じように自分の子供にしつけるのだろうか。そう本当は彼はやさしいのだ。たしかに終盤の彼はジョンジョンとの事件後、やさしい奴になっている。そう変身させたのはきっとゼオラの存在があったからだろう。

そうこの映画のキーパーソンはラスティー演じる「ゼオラ」だ。知的障害のため言動がトロいが彼女は正直でとても純粋だ。ジョンジョンに嫌われても飛行機作りを続け、遂に飛行に成功した時ぼくは泣きそうになってしまった。この映画で彼女の存在が一つの救いだった。

実際ぼくはこの映画に少し違和感を感じていた。どうもしっくりとこない。展開にしろセリフにしろ音楽にしろどうも妙な気がしていた。それは映画の本編が始める前のイメージソングからだ。
しかしそれらをゼオラが立て直してくれた。ぼくはラスティーを見直しました。

ラストのポストカードの見せ方が非常に上手くて、そんな所に感動してしまった。スタッフ紹介なんだけどなんだか胸が温かくなった。
なぜだろう。ゼオラが絵葉書を欲しがっていたからかなぁ。

2000/7/19 銀座テアトルシネマ

2000年07月20日

ジュブナイル

監督・脚本:山崎 貴
出演:香取 慎吾/酒井 美紀/鈴木 杏
2000/日本

2000年のある夏の日。ユースケ、トシヤ、ヒデタカは林間学校に来ていた。その夜強烈な光を見た3人とミサキは光の下で1体のロボットを見つける。ロボットの名は「テトラ」。テトラはなぜかユースケのことを知っているらしい。結局ユースケの家でテトラの世話をすることになるのだが・・・。

なぜかジュブナイル観てしまいました。いや観る気が全くないわけじゃないんだけど。なんでだろ・・・

少年少女が主人公ということで、一見子供向けで大人は楽しめないようなイメージですが、なかなかどうしてしっかりと作られているドラマでした。
これなら子供連れの大人も楽しめるんじゃないでしょうか。

VFXを多用した邦画ですが、”もうちょっと”という感はやはり仕方がないかな。でもここ最近日本のVFXも良くなってきていることは実感できました。異星人やその宇宙船。テトラのロボット等ゲームの世界をそのまま現実に持ってきたようでそれがゲーム世代にはうれしい。また異星人が人間に変身するシーンもそれっぽくて良くできている。欲をいえばもう少しガンゲリオンと宇宙船の戦闘シーンに迫力が欲しい。

早熟な少女に背伸びして追い付こうとする少年っていう雰囲気はまあまあなんだけど、妙に会話がぎこちない。なんでだろう。鈴木杏なんて慣れているはずだけど。監督の子供達の扱い方が悪いのかな。ちょっと違和感あり。でも香取慎吾が天才科学者役として子供達と交流し始めてから、だいぶ良くなった。この時の子供達はちょっとリラックスしていたように見えたんだよね。香取慎吾のキャラクターがそうさせたのかもしれないけど、これが功を奏して自然な感じになった。

エピローグが長いのはテトラの出現の理由を説明させるのに必要だからか。ユースケの20年後として吉岡秀隆が出ているんだけど、ぼく、結構好きなんだよね。特にあの目がさ。なんかね。

「ジュブナイル」とは「少年期」という意味。子供は現在の自分を、大人は子供の頃の自分を映画の中の少年少女に重ねて思い出させてくれます。
家族で楽しめる映画なので、夏休み映画館に足を運んでみてはどうでしょう。

2000/7/20 フジサワ中央

2000年07月29日

パーフェクト・ストーム

監督:ウォルフガング・ペーター
脚本:ビル・ウィットリフ
出演:ジョージ・クルーニー/マーク・ウォールバーグ/ジョン・C・ライリー/ダイアン・レイン
2000/アメリカ

1991年10月の良く晴れたある日。マサチューセッツ州のグロスター港から「アンドレア・ゲイル号」が出港しようとしていた。
船長のビリーをはじめ船員は幾つもの危険な漁を経験してきた海の男達。
愛する女性を残している者、大金を手に入れたい者、そして海を愛し孤独を忘れようとする者。様々な思いを胸に船は静かに出港する。
しかしその先に想像を絶する嵐が待ち受けていようとは誰も知る由もなかった・・・。

ジョージ・クルーニー主演作。とてもハリウッド的というかすごくアメリカらしい映画。100年に1度という「パーフェクト・ストーム」に立ち向かう海の男達の闘いを描いているわけだけれど、その男達っていうのがやたら個性的。1人1人に色々な事情があってそして葛藤して悩んでいる。それは特別なことではなくて普段僕らもこれに近いようなことで悩んで葛藤してたりするだろう。だから彼らの気持ちがなんとなくわかるなぁ。そして一見バラバラに見える彼らだけれど、海の上に生きがいを求めているということが彼らの気持ちを結び付けている。海の上は日常から離れていて漁をしている間はそんな悩みを忘れられるからだろうなぁ。

アンドレア・ゲイル号のことだけでなく「パーフェクト・ストーム」に遭遇したボートやその救助ヘリのことについても描いているんだけれど、どうもその辺の作りに僕は違和感があった。別に必要ないというわけではない。アンドレア・ゲイル号がどのようにあの嵐の中をさまよったのかは誰もわからない。だから同じ状況に会ったボートや救助ヘリに起ったことを説明すればゲイル号にも同じようなことが起ったんだということがわかるし、救助ヘリの隊員達の危機もかなりドキドキもの。しかしそこまでやってしまうとあっちもこっちもって感じで僕は疲れてしまい、なんだかわからなくなってしまった。過剰な演出がぼくの気持ちを削いでしまった。
これはたぶん見せ方の問題だと思うんだ。「これでもか!」っていうのはちょっとぼくにはつらかった。

CGに関してはよくできている。さすがILM!しかもCGを売りにしているような宣伝をあまりとっていないところがすごく良い。大嵐の見せ方も色々な工夫がしてあってさらに良い。
しかし、せっかく「いいぞいいぞ」と思っているのに、いかにも「作り物です」っていうシーンがなんかわざとらしい演出で入るのがいやらしいな。やはり現実のものとは違うんだからこういう無理はしないで欲しかった。

やはり自然の力は恐ろしいもの。こういう時人はなす術もなく自然の驚異をただただ見せ付けられるだけ。大波に漂う姿がとても小さく、自然の中の人間の存在を改めて教わったように思いました。

2000/7/29 藤沢オデオン館

2000年07月30日

ボーイズ・ドント・クライ

監督・脚本:キンバリー・ピアース
出演:ヒラリー・スワンク/クロエ・セヴィニー/ピーター・サースガード/ブレンダン・セクストン三世
1999/アメリカ

1993年、ネブラスカ州リンカーン。ブランドンは戸籍上は「女」だが、性同一性障害を持ち、「男」になりたいと思っている。20才になったブランドンは髪を少年のようにカットして街に出掛け、女の子をデートに誘うようになった。そんな時、ブランドンはバーで出会った男達に連れられてフォールズシティという町にに辿り着く。保守的なこの町でブランドンを待ち受けているのは果たして・・・。

この映画で性同一性障害を持つ女性を堂々と演じ、見事アカデミー主演女優賞を獲得したヒラリー・スワンク。この作品を撮り終えた後もしばらくは男のクセがぬけなかったとか。それだけ役に入り込んでいたということでしょう。

実際にアメリカで起った事件をモデルにしているんだけれど、こーいうのは難しいよなぁ。感動的なストーリーなら作りやすいと思うんだ。でもこれはまぁ結末をちょっと明かすと悲劇的な話なのです。この事件やブランドンに会ったことがある人もたくさんいるだろうから変に脚色をしてしまうと事実に反してしまうことになる。しかしそのままでは映画になりにくい。というのでこれは脚色してしまったのですが・・・どうもいまいち。
観ていてつながりに違和感を感じ、後半もそれを引きずってしまった。
まぁ問題提起という点から見ればこれは十分な映画だろう。

実際のブランドンがどのような人物なのかは判断できないのですがヒラリー・スワンクの健闘は大いに拍手を送りたい。しかしどーしてもひっかかる。どー考えても女なのだ。始めて見た時に誰も気づかないっていうのはおかしいだろうって。あんな声しているし。しかし終盤の彼女の表情は非常に穏やかだ。吹っ切れたような表情で、だいぶ男らしくなっていた。

自分らしく生きることって相当に勇気がいること。世の中の流れに流されて自分を見失う事が多い中、彼女の生き方は、まぁ極端ではあるけれどとても充実感に満ちていたように思う。あの勇気は僕も見習いたい。

2000/7/30 渋谷シネマライズ

ハピネス

監督・脚本:トッド・ソロンズ
出演:ジェーン・アダムス/フィリップ・シーモア・ホフマン/ディラン・ベイカー
1998/アメリカ

アメリカはニュージャージー州の郊外。ごく普通の中流家庭に育った3姉妹。3女のジョイは作曲家志望だがパッとせず30を過ぎても生家に住む独身女性。次女ヘレンは売れっ子作家だが自分の才能に自信を失い始めていた。長女のトリッシュはごく普通の家庭の妻。1人幸せそうに見えたのもつかの間。夫のビルがある事件を起こしてしまう・・・

アメリカ郊外に暮らすちょっと変で、でも普通(?)の人々の生活を静かに淡々と描いたドラマ。なんだか観ていて変な感覚だった。キャストみんなが様々な悩みや欲望を抱えていて、そしてそれぞれがどこかで微妙につながっているのだ。どの人物のエピソードもおもしろくて、でもやっぱり変でそれがわかるようなわからないような。

僕の1番の印象は精神科医のビル。もう目がやばい。特に子供と話をする時の目。危険に満ちているよぉ。いやー危ない危ない。
それにやっぱ太っちょのアレン。後半は特におもしろかったな彼。やっぱり彼もちょっとおかしいんだけどなんか好感を持てたりする。キャラクター故かな。

なんか変だ変だと書いてしまったが、彼らには共通する目的がある。それは「ハピネス」幸福だ。しかし彼らは生活に困っているわけではない。しかし精神的な満足感がいまいち、と本人は思っている。はたからみたら贅沢な悩みなんだけどね。でも彼らはみんな自分の「ハピネス」を得るためにもがいている。その姿がなんかわかるような気がした。

しかし最後に3姉妹とその両親はなんだかんだいいつつみんなでカンパイとか言っちゃうんだよ。結局は平凡な事かもしれないけど、案外幸福なんてそーいうもんかもしれないなぁ。

2000/7/30 渋谷シネ・アミューズ ウエスト

2000年08月05日

>リプリー

監督・脚本:アンソニー・ミンゲラ
原作:パトリシア・ハイスミス
出演:マット・デイモン/グウィネス・パルトロウ/ジュード・ロウ/ケイト・ブランシェット
1999/アメリカ

1958年、ニューヨーク。上流階級が集まるパーティーでピアノの伴奏をしていたトム・リプリーは、造船業界の大物ハーバートに出会う。着ていたジャケットのエンブレムを見て、ハーバートに息子のディッキーを知っているかと問われたトムはつい知り合いだと装ってしまった。
そんなトムはハーバートにイタリアで奔放に暮らすディッキーを連れ戻して欲しいと頼まれる。報酬は1000ドルだ。
イタリアでトムを待っていたのは眩しい太陽と危険な罪の誘惑だった・・・

マット・デイモン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウにケイト・ブランシェットという今最も人気のあるであろう若手俳優が勢揃い。加えて監督は「イングリッシュ・ペイシェント」でアカデミー賞9部門制覇のアンソニー・ミンゲラ。これは本当に豪華な顔ぶれだ。

同じ原作を基にしたアラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」のリメイクと言われているがこちらの方が原作に忠実。トム・リプリーの妖しい魅力をマット・デイモンが怪しく好演しています。

そう、この映画のポイントはやはりトム・リプリー役にかかっているのだ。妖しくてどこかつかみどころがなく、それでいて存在感があって観客の気持ちを惹き付けなければならない。共演者も豪華で、ディッキー役のジュード・ロウはなんか奇麗でカッコイイ。しかししかし、トム役マットはむしろもったいないくらいにその力を発揮した。トムはホモセクシャルな部分があるので観客は引いてしまうもんだがマットの魅力でそれをなんとかつなぎとめたんじゃないかな。
特にあの眼。メガネの奥に何かを秘めたあの眼に僕はとても強い印象を受けた。

原作に忠実(読んだことがないからわからないけど)ということなのですが、あのラストにはぼくはちょっと納得できないものがあった。せっかく自分に戻っても良い状況になったのにトムはそれをしなかったのだ。トム自身はわかっていたと思うのだが・・・
それほどまでに過去の自分が嫌で自分であることに嫌悪感を持っているということなのか。
それとも犯罪の深みにはまってしまった人の悲しい性なのだろうか。

オープニングの見せ方がちょっと凝った作りでけっこう好き。それにぼくとしては珍しく音楽が気になった。使われ方がシーン毎に非常に合っていたと思います。
全体的に丁寧な作りという雰囲気でとても好感の持てる作品でした。

2000/8/5 藤沢オデオン館

2000年08月13日

Taxi2

監督:ジェラール・クラヴジック
脚本:リュック・ベッソン
出演:サミー・ナセリ/フレデリック・ディーファンタル/マリオン・コティヤール/エマ・シェーベルイ

2000/フランス

マルセイユを疾走するプジョー406を改造したタクシー。ハンドルを握るのはスピード狂の運転手ダニエル。今日はリリーの両親に挨拶をする約束なのに、産気づいた妊婦を乗せ病院に向かうことに。無事送り届けたもののリリーから怒りの電話が。なんとか約束の時間に間に合ったダニエルだったが、リリーの父親はなんとフランス軍の将軍。ダニエルは日本から来る防衛庁長官を迎える将軍のため自慢の愛車で送り届けることに。
その頃日本からヤクザの手下が日仏国交断絶を狙い長官の誘拐を企てていた・・・。

前作『Taxi』から2年。ダニエルとエミリアンが再びコンビを組みました。今回の舞台はパリ。製作・脚本はベッソン。前作を知っているし、結構好きなんで期待して観に行きました。

今回の犯人グループは日本人。ってことで三菱ランサー。なんで?
どうやら欧州ではかなり人気があるみたいです。高いようですが。まぁ最終的にはベッソンが「悪そうだから」と選んだみたいですが・・・。

肝心の中身ですが、笑わせてくれます。今回も。この点に関しては文句付けられません。わかりやすーいコメディ。わかりやすーい勘違い。これを観て一度も笑わない人はいない(はず)。
でもねぇ~、笑ってばかりはいられないような気もします。バカにされすぎだぞ日本人。これは怒っていいんじゃないでしょうか。そこのおっさん!笑ってる場合じゃないぞ。

やはり本物のカーアクションは迫力が違う。あの流れるような本物の動き、素晴らしい!せっかくの音楽が聞き取れないくらいぼくはドキドキしてしまった。CGの作り物なんて目じゃないね。でもちょっとやりすぎの感もある。
今回の改造プジョーはまたかっこよくなりました。スイッチ周りも一新。しかも羽が付いてる!ってことは・・・それは観てのお楽しみ。

前作はリリーの思いは果たされたけど、今回はず~っと待たされっぱなし。ちょっとかわいそうに思うのはぼくだけかな。まぁペトラは大活躍だったけどさ。あと間抜けな署長は相変わらずだった。

細部まできっちり描かれていた前作と比べ、今回は、はしょった感じ。それが良いのか悪いのかは観る人次第かもしれません。
ぼくは悪い方に感じました。時間のせいかな。やはり90分にしては展開が盛り込みすぎ。監督が変ったからかな。それとも次回作を意識してしまったのか。もう決定してるみたいだし。後に続くように作ることを意識したのだろうか。それとも笑いを求めすぎたのかもしれません。
なんにせよなんだか全体的に中途半端になってしまったことが残念。まぁ次回作に期待するか!?

2000/8/13 厚木シネマミロード

2000年08月20日

仮面学園

監督:小松 隆志
原作:宗田 理
脚本:橋本 裕志
出演:藤原 竜也/黒須 麻耶/石垣 佑磨/栗山 千明/渡辺 いっけい/大杉 漣
2000/日本

一見普段と変わらないように見えたある日。登校拒否をしていた生徒が仮面をかぶって登校してきた。いじめられっ子だった彼だが仮面を付けてからは性格が一変。その後学校中のいじめられっ子が仮面をかぶって登校するようになった。
この学校の生徒川村と芦原は元同級生からのメールで仮面パーティーの存在を知り、仮面の謎を調べるためパーティーに潜入。
そこで仮面工房の堂島という男に出会う。

藤原竜也この映画で映画初出演にして初主演。キャスト陣も可もなく不可もなく。芦原役の新人君もがんばっていたし(チューヤンに似てる)、脇を固める方々もなかなかおもしろい人が揃っている。大杉漣とかね。

仮面を通してでないと自分を表現できないという彼らは、インターネット等の匿名性の世界と似ています。
両者とも素顔を相手に知られることがなく、全く別の人格を持った人間になることができるのです。
人にはみな変身願望があります。違う自分になりたいと。しかし、現実の世界でそれは簡単なことではありません。しかしネットの世界ではそれが可能です。それは良い結果を生むこともあるけど悪い結果を生むこともあります。この映画はどちらかというと悪い面を抜き出して、匿名の世界を描いています。
これはこれで良いかもしれないが、ちょっと待って欲しい。匿名性の良い所だってたくさんあるはずだ。少しでもそこが欲しい。ネット利用者としてはね。
これが直接ネットの世界だと思う人がどれくらいいるかわからないが、変な誤解を持たれたら嫌だなぁ。

仮面をかぶらなければ自分を表現できないというのはやはり淋しい。
仮面のいらない人生と環境が理想だね。

2000/8/20 フジサワ中央

死者の学園祭

監督:篠原 哲雄
原作:赤川 次郎
脚本:安倍 照男/山田 珠美
出演:深田 恭子/加藤 雅也/内田 朝陽/林 知花/坂本 三佳/黒澤 優
2000/日本

ある日、手塚学園演劇部の山崎由子が屋上から投身自殺をした。遺書の代りに遺されていたものは「青い瞳の天使」という台本だった。
演劇部の部長、結樹真知子は学園祭の出し物にこの「青い瞳の天使」の公演を企画。なかなか許可が下りなかったが結樹は学園長に直談判。なんとか許可をもらうことができた。そして舞台の幕が上がった・・・

映画初主演の深田恭子。監督は『月とキャベツ』 『はつ恋』でおなじみ篠原哲雄。
おっとりした印象の深田恭子に犯人探しの生徒役はちょっと難しかったか。でもマイペースなので芯が強そうなイメージもあるか。どっちにしても、もう少し深田恭子の感情の起伏があればなぁと思った。もっと思いっ切り泣いて、思いっきり怒って、思いっきり笑って欲しい。そうすればもっとこっちに彼女の気持ちが届くように思う。これは演技の上手い下手は関係ない。まぁあれがキャラですと言われればそれまでだけど。

しかしまぁ、短い時間ながらよくまとまっていたかな。全体的にも「仮面学園」よりは構成がしっかりしていた気がします。はしょった所もあっただろうけど。でもクライマックスはかなりドキドキしていたし、これだったらもう少し長くて(2時間とか)も楽しめる映画だと思います。

最後の深田恭子の自転車姿はかなり気持ちが和んだ。ずいぶんすっきりとした笑顔で爽やかに疾走していたなぁ。でもキスシーンは・・・どうなんだ?必要だったのか?それほど重要なシーンではないように思ったけど。
ぼくは深キョンのファンではないけど、ファンの人はどう思ったのかな。

2000/8/20 フジサワ中央

2000年08月27日

ホワイトアウト

監督:落合 節朗
原作・脚本:真保 裕一
脚本:長谷川 康夫/飯田 健三郎
出演:織田 裕二/松嶋 菜々子/石黒 賢/吹越 満/佐藤 浩市
2000/日本

日本最大のダム、新潟奥遠和ダム。ダム付近のスキー場で遭難者を見つけたダム運転員の富樫と吉岡は救助に向かった。しかし救助の途中で猛吹雪「ホワイトアウト」に遭ってしまい、富樫は無事だったものの吉岡は命を落としてしまう。
2ヶ月後。吉岡の婚約者千晶は吉岡の愛した奥遠和の地に向かう。
また同じ頃、テロ集団「赤い月」がダム襲撃の準備を着々と進めていた・・・。

織田裕二主演作。監督はTVで織田と組んだ事が多い落合節朗。代表作は「振り返れば奴がいる」とか。映画の監督は初めてだそうです。だから織田と石黒・・・

その映画初監督というところがこの映画のネックかもしれない。TVドラマ出身だけに映画もTVドラマの様に撮っていたのだろうか・・・。ちょっとこの映画に関してはそれはもったいない。中途半端になってしまった感がある。せっかく久々の日本の娯楽映画なのにおもしろくない。いや全然おもしろくないわけではないですが・・・でもね~本当にもったいない。

例えば織田裕二への過剰とも言えるカッコよくみせよう演出。アップ多用。これはどーいうこと?彼のプロモーションビデオなの?
映画でしょ。これ。
引きの画を使って、状況を教えてくれよ。あれじゃ本当に「ホワイトアウト」に会ったのか疑問だし、恐さも感じられなかった
織田本人が演じている事をアピールしたかったのかもしれないが、ぼくは逆に「ホワイトアウト」を疑わしく思ってしまい、結局この映画を疑ってしまった。
それと彼のキャラクター。無口=カッコイイはおかしいって!なんでなの。緊張したシーンが続く中、彼の無口さが余計緊張感を誘う。少しは緩和を取り入れてほしい。独り言でも彼に喋らせるだけで少しは和らぐと思うのだが。

まだあります。織田と松嶋の顔がちょっとキレイすぎ。たしかに松嶋菜々子はキレイだけど、冬山に数十分いたら顔も少しは汚くなるはずだ。でも菜々子が銃をブッ放す所はちょっと面白かったりしたので、許しましょう(笑)

でもまぁ日本の娯楽映画としてはまぁまぁというか及第点はあげます。佐藤浩市や吹越満、警察署長の中村嘉葎雄などけっこうがんばっていた方もいるし。でもこれではTVの2時間ドラマとほとんど変わらない作品だ。というかTVドラマです。
ぜったいにもっとおもしろくできたはず。できるはず。

今後はこういう作品はなかなか見られないような気がするので、ここらで日本の娯楽作をチェックしてみるのも良いかなぁ。

2000/8/27 フジサワ中央

2000年09月09日

サウスパーク 無修正映画版

監督・製作・原作・脚本・声優:トレイ・パーカー
製作・原作・脚本・声優:マット・ストーン
声優:メアリー・ケイ・バーグマン/アイザック・ヘイズ
1999/アメリカ

舞台は常冬の地、サウスパーク。小学生の4人組スタン、カイル、ケニー、カートマンは大好きなカナダのコメディアン、テレンス&フィリップ主演の映画(R指定)をズルして観る事に成功。すっかり禁ワードにハマってしまったのだった。
この映画は小学生の間で人気となり、全米中の小学生の言葉使いが悪くなってしまった。そんな状況に怒り心頭の母親達。なんとカナダとの全面戦争にまで発展してしまうのだった。

ファック連発!下ネタのP音無し!もはや説明不要。笑わずにはいられない映画。というか笑うより仕方がないかな。

ぼくはビデオを未見なのだがそれでもオモシロイ。でもやはり少しでも観ておくべきだったかな。きっともっとおもしろかったかもしれない。もったいない。

そしてもっともったいないのが日本語と英語の隔たりの大きさ。彼らがどんなに下ネタ、つまりスラングを連発していても僕らは字幕を読んでいくしか理解する方法がない。
英語をそのまま日本語に訳すのにも限界があるだろう。言語体系が違うからそれは当然だ。
P音は無いのだが字幕というクッションが笑いを和らげてしまったようにも感じた。もっと英語を勉強すべきだったなぁと思う今日この頃。でもスラングなんだよなぁ・・・

それとアメリカという国がどんな国かを知らないってことに気付いた。アメリカで大人気だったのはお国柄を細かく描いていたからだったのでは。日本人はどこまでアメリカを知っているのだろうか。ぼくはアメリカって国をよく知らないんだなって改めて知らされた。

全編通してミュージカル仕立てという手法はとてもおもしろい。アメリカらしいっていうのもあるし、詞の内容がすごいんだけどテンポ良く進んでしまうし、不快なリズムではなくむしろ心地良い気がするくらい。なんか気持ち良かった。

でも朝の10時から観る映画じゃないよなぁと思う。それとカップルで観ていた人達はどう思いながら観ていたのだろうか。気になるなぁ。

2000/9/9 渋谷シネ・アミューズ・イースト

2000年09月10日

監督・脚本:阪本 順治
出演:藤山 直美/豊川 悦司/國村 隼/大楠 道代/中村 勘九郎/岸辺 一徳/佐藤 浩市
1999/日本

クリーニング店の長女吉村正子は、母の元で洋服のかけはぎをしながら、静かにひっそりと暮らしていた。しかし正子を守っていてくれた母が急死してしまう。
通夜に出ず部屋に閉じこもる正子。妹に家族を捨てた父親の事を聞く無神経さに、腹が立った妹は姉を罵りケンカ。正子は妹を絞め殺してしまうのだった。
香典袋を持ち正子は家を出るが、まもなく大地震に遭ってしまう。しかし混乱に乗じて正子の逃亡は成功する。

阪本順治監督作はビデオで「ビリケン」を観て以来。映画館では初めて。藤山直美という女優を観るのもこれが初めて。とても存在感のある人だ。声もでかいし。

吉村正子という女性は、足踏みミシンとTVと少女マンガという自分の世界の中だけで生きていた。しかし妹を殺してしまったことにより、外の世界へ飛び出すことになる。
ひきこもりの人間が外に出るのはそうとう勇気がいる事だ。しかし正子の場合は積極的な意志ではなく逆に逃げるという手段により外に飛び出した。とても後ろ向きな気がするが逆の発想で、これはこれで説得力があった。

外の世界へ飛び出した正子は様々な人々と触れ、次第に人生を楽しむようになっていく。それまで劣等感の固まりのような正子だが表情が明るくなっていく。それはきっと周囲の人々のおかげだ。そんな周りの人々も、実は悲しみや苦しみを持ち、もがきながら生きている。恵まれた環境に身を置いている人はいない。
ではなぜ彼らは正子にやさしく接したのか。きっと彼らは、正子に昔のまたは今の自分を重ねているのではないだろうかと思う。最後に自ら死を選ぶ者もいるが正子には生き延びて欲しいと思っているように見えた。クラブのママ、律子が電話で「死ぬくらいなら逃げて。どこかで生きていて。」というセリフは印象深かった。

幾度もピンチを切り抜けてきた正子に藤山直美の魅力が加わり、表情の変化していく正子にぼくは知らず知らず応援していた。ラスト「それはちょっと・・・」という方法で逃げるのだが、正子ならなんとかなるような気がする。
なんとなく勇気をもらえるような作品でした。

2000/9/10 テアトル新宿

ワンダー・ボーイズ

監督:カーティス・ハンソン
原作:マイケル・シェイボン
脚本:スティーブ・クローブス
出演:マイケル・ダグラス/トビー・マグワイア/ロバート・ダウニーJr/フランシス・マクドーマンド
2000/アメリカ

大学の英文科教授グラディ・トリップは、7年前文学賞を受賞し、一躍「ワンダーボーイ」として脚光を浴びた作家だ。しかしこの7年間彼は1作も発表できず、作家生命の危機に瀕していた。
そんな中毎年開催される作家達のお祭り”ワードフェスタ”に前作の編集者がNYからやって来る事に。さらに教え子のジェームズにも振り回されるグラディは、最悪の3日間を過ごす事になるのだった・・・。

マイケル・ダグラス、ロバート・ダウニーJr、そしてトビー・マグワイアという豪華な顔ぶれ。さらに女優陣もフランシス・マクドーマンド、ケイティ・ホルムズと魅力的。

どん底にあえぐ作家と窓際の編集者。そして才能を感じさせる作家志望の若者。この「ワンダーボーイズ」がふとした事件を機に、それぞれのターニングポイントとなる3日間を過ごす事になる。

老いた作家役のマイケル・ダグラスがとても良い感じだ。老眼鏡をかけ、2000ページを越える短編小説(!)を完成させるべくタイプライターの前に座る姿がさまになっている。マリファナを吸ってフラフラになっている姿も落ちぶれた作家の姿をより鮮明にする。
しかし、3人の中で一際目立っていたのはマグワイアだ。ベテラン俳優達に囲まれながらも、独特の存在感を見せ、役柄同様に才能を感じさせる。相変わらずのあの大きな目と表情が印象的だ。

そしてこの映画でぼくがもっとも感動したのが照明。つまり光と影の使い方だ。
特にジェームズに対してはその性格を表すかのような影の使い方にぼくはとても感動した。彼が大人達と関わるうちに光を得ていくのもおもしろい。

「どん底を知る人間の弱さと強さ」というのを僕は感じた。グラディのようなどん底は未だ経験ないが共感できる映画だ。3人は最悪の3日間を経て、それぞれの進むべき方向を見つけた。果たして自分は・・・。などと思わず考えてしまった。

ややまとまりのなさを感じる所もあったけど、最後の最後はとても良い終わり方で、気分良く映画館を後にすることができた。
終わりよければすべて良しだ。

2000/9/10 新宿武蔵野館

2000年09月15日

人狼

監督:沖浦 啓之
原作・脚本:押井 守
声優:藤木 義勝/武藤 寿美
1999/日本

敗戦から十数年後の昭和30年代。凶悪犯罪の絶えない街と化した首都東京。政府は反政府勢力の制圧のため、首都圏だけの治安部隊、通称”首都警”を設置した。しかし強大すぎる武力を持った首都警は、次第に孤立していく。
首都警の一員、伏一貴は地下組織の追跡中、目の前で衝撃的な出来事を見ることに。それがきっかけで伏は苦悩に陥る。そこへ1人の女性が彼の前に現われる。

昭和30年代。ありえたかもしれない敗戦後の東京の姿を背景に時に激しく時に淡々と描く。この時代設定がストーリーにマッチしていてなんだかリアル。また、描写も細かくて特に人物のしぐさが丁寧に描かれているので、さらにリアリティが増しているように思う。彼らの体温までが伝わってくるようだ

「獣」として生きるしか術のない男と時代に流されるように生きる女。2人は存在を確かめ合うように互いに支えながら生きていた。女が男に近づいたのは別に理由があったのだが、女は本当に惹かれていたのではないだろうか。
しかし、男が出した結論は非情なものだ。彼は自分の居場所を知っていたからだ。自分を必要としている場所に進まなければならないことも。それが悲しみを生むとしても・・・。
しかし最後に彼も迷った。それは人間としての迷いだったのではないだろうか。

2000/9/15 横浜西口名画座

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

監督:ヴィム・ベンダース
出演:ライ・クーダー/コンバイ・セグンド/ルーベン・ゴンサレス/イブライム・フェレール
1999/ドイツ・アメリカ・フランス・キューバ

アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は97年にグラミー賞を受賞。同作をプロデュースしたライ・クーダーが、同作に参加したキューバのアーティストとの親交を追ったドキュメンタリー。
アーティスト達は人生を語り、音楽を奏でる。彼らは夢のカーネギーホールでのコンサートも開く。

勉強不足で申し訳ないのだがキューバ音楽については良く知りません。アルバムも買っていません。じゃあなんで観たのかと言うと、雨が降ってきたから映画館で時間を潰そうと。まぁそんな感じで。

しかし、キューバの音楽が流れてきた時の心地良さといったら。あまりに気持ち良くて不覚にもちょっと寝てしまいました。映画を観て寝たことはなかったのですが・・・

ここに出ているアーティスト達は、ずーっと第一線でがんばっている人なんていないというのが良い。ライ・クーダーに見出される前の彼らは、音楽と離れたところに身を置いていたのだ。
そしてほとんどが70前後かそれ以上。ピアニストのルーベン・ゴンサレスなんて普段はヨタヨタ歩きなのに、ピアノの前に座るとビシッとして鮮やかに美しい音楽を奏でる。
なんてカッコイイじいさんだ。

キューバで生まれキューバで育った彼らの隣には常に音楽があった。どんなに苦しくても、音楽が彼らを支えていたのだろう。カメラの前で自分を語る眼より、楽器を手にしている時の眼がとても輝いていた。そして手にした楽器から発せられる音には自信と誇りが感じられる。

あんな風に年を重ねていけたらなぁ、と思ったら雨が止んでいた。

2000/9/15 関内アカデミー

2000年09月17日

金髪の草原

監督・脚本:犬童 一心
原作:大島 弓子
出演:伊勢谷 友介/池脇 千鶴/松尾 政寿/唯野 未歩子/加藤 武/東 恵美子
1999/日本

日暮里歩、80歳。ある朝彼は20歳の青年として目を覚ます。しかし体は80歳。思うような動きはできない。家の周りの風景も変っている。彼はその現実を夢の世界だと思い込むことにする。
そんな日暮里の元に18歳の新任ホームヘルパー古代なりすがやってくる。なりすは日暮里が学生の頃のマドンナにそっくりで、日暮里はマドンナと思い込んでますます夢の世界に入り込んでしまう・・・。

大阪物語』の池脇千鶴と『ワンダフルライフ』で 自分自身を演じた伊勢谷の共演。原作は大島弓子。

やはりなんといっても池脇千鶴が良かったです。ぼくは。
なんか幼い感じのする子なのにとても色々な表情を観ることができた。「女優」って言葉が似合う人だと思います。
伊勢谷のジイさんっぷりもなかなか。たどたどしい喋り方や、動作はそれらしく、見た目も古風な感じ。この2人はベストなキャスティングだ。

現実に生きるなりすと夢に生きる日暮里。2人ともなにかしらの苦悩を持ちながらその世界に生きている。その2つの世界が合わさる時、不思議な空気が映画を包み込む。観ているぼくらも、なりすと一緒に夢の世界に入っていくようだ。

原作とはいくらか違う所があるみたい。そのひとつが花。原作ではバラが出てくるみたいだけど映画では向日葵が使われている。しかも部屋いっぱいに。それがすごく印象に残った。映画の中では、向日葵の方が合うかな。
ちなみに銀座テアトルシネマではロビーのあちこちで向日葵を目にすることができます。造花でしたが。

しかしなぜなりすは"結婚"を決意したのだろうか。日暮里に対する同情なのだろうか。ぼくはなりすが自分を愛してくれる人つまり日暮里に惹かれたのだと思った。
なりすはそれまで本当に愛されたことはなかった。だから自分を本当に好きだと言ってくれる日暮里を愛しく感じるのだ。でも、その先にあるかもしれない幸せを得る事は自信がなくて、恐くて不安。
でも映画の終わりになって、彼女は現実を必死に生きよう、悔いのないように生きようという決意に満ちた表情でした。結果を恐れず、前を向いた姿がとても可愛いくて、すごく励まされた。
ぼくも前を向いて生きようっと。悔いのない人生を・・・

2000/9/17 銀座テアトルシネマ

2000年09月23日

ミュージック・オブ・ハート

監督:ウェス・クレイヴン
脚本:パメラ・グレイ
出演:メリル・ストリープ/アンジェラ・バセット/グロリア・エステファン/エイダン・クイン
原案ドキュメンタリー:『ハーレムのヴァイオリン教室』
1999/アメリカ

夫と別れて、2人の子供と50挺のヴァイオリンを持って実家に帰ったロベルタ。音楽を愛する平凡な主婦だったロベルタは友人の勧めで小学校のヴァイオリンクラスの臨時教員となる。
希望を胸いっぱいに膨らませてクラスに向かった彼女を待っていたのは、アメリカ内でも物騒な地区の小学校。子供達は素直に言うことを聞くわけもない。その日から、ロベルタの教師としての長い長い道のりが始まった・・・。

名女優メリル・ストリープが、音楽を愛するロベルタを演じたやさしさ溢れる映画。実際にあった話を基にしており、実際のロベルタは今もヴァイオリンを教えているそう。

メリル・ストリープは説明をするまでもない女優だ。”女”を演じさせたら右に出る者はいないって感じ。
しかしそんな彼女も子供達の子供故の魅力にはかなわない。子供達の笑顔は本当に良い表情をしているなぁ。それに、子供達と接している時のメリルの顔が一番生き生きとしていたように感じた。
話の主役はロベルタだが映画の主役は子供達の笑顔とヴァイオリンだった。

なにをかくそう僕はヴァイオリンの音に弱い。ちょっと上手な人の演奏を聞くだけでジーンときてしまう。この映画はそこら中ヴァイオリンだらけで、ヴァイオリンフェチの僕にはもうたまらない映画だ。

そんな感動しっぱなしの中、ぼくが特に感動したのは、ロベルタが初めて教えた子供達が学校の講堂で発表会をした時だ。ラストのカーネギーホールでの演奏会には世界に名だたるヴァイオリニストが数多く出演しているらしいが、学校の講堂での発表会の方が前後の相乗効果も手伝ってか、ぼくはとても感動した。
要は音楽を愛することなのだ。場所の問題ではないってことです。
演奏後の子供達の照れた表情もとても微笑ましい。
普通メリルばかりに目が、というかカメラがいってしまいがちだが、そういう所もしっかり入っていて好感の持てる映画だ。

大人にも子供にも観てもらいたい映画です。そして教師の方、ついでに文部省の役人にも観てもらいたい。(文部省特選とかいいつつ一部の人しか観てないだろうから)
そしてこの映画で何かを感じて欲しい。感じるはず。

2000/9/23 ワーナーマイカルシネマズ海老名

2000年10月01日

キッド

監督:ジョン・タートルトーブ
脚本:オードリー・ウェルズ
出演:ブルース・ウィリス/スペンサー・ブレスリン/エミリー・モーティマー/リリー・トムリン
2000/アメリカ

ラス・デューリッツは40歳を目前にして、仕事に明け暮れる忙しい日々を過ごしていた。イメージ・コンサルタントとして成功を収めているラスの前に、突然8歳の自分(=ラスティ)が現われる。子供の頃は嫌なことばかりのラスにとって忘れたい思い出が甦る。一方ラスティは、家族も犬もいない、そしてパイロットでもない40歳のラスの姿に落胆することばかり。
ラスはなぜ自分の前にラスティが現われたのか、答えを探し始める。

ブルース・ウィリス主演の大人に贈る映画。もうちょっと細かく言うと、「子供の頃に見ていた
夢を忘れてしまった大人に贈るディズニー映画」です。

脚本はまぁまぁおもしろい映画なんだけど、演出というか音楽がディズニーらしくてその辺のバランスが変かなぁ。ファンタジーな作品ではあるからストーリーはとりあえずって感じだ。でも音楽はやりすぎ。

ポイントはやはりラスを演じるウィリスとラスティを演じるスペンサー・ブレスリンだ。この2人、100点とはいかないが非常におもしろい2ショットだった。特にブレスリンはとても堂々とした演技と見た目の愛敬さが相まって、おもしろい存在感を発揮していた。ウィリスも負けじと少なかった髪の毛を増やして
子供のような大人をしっかりと演じていた。
まぁ引っかかった点はどーみても似ていないのに「似てる」なんてセリフがある所かなぁ。仕種だけならまぁたしかにそうなんだけど・・・さすがに突っ込みたい衝動に駆られたが、エイミー役のエミリー・モーティマーが可愛かったので許す。

8歳のラスティが現われて、ラスは最初怒鳴ってばかりで、ラスティの幻(といってもみんなに見えているから幻ではない)を消すことばかりに必死だったが、状況を受け入れていくと、次第にやさしい表情になっていく。ラスティに尋ねられた質問に一つ一つ答えるラスの目は、やさしくてとても良い表情をしていた。そして後半、ウィリスは非常に繊細な演技でとても良かった。正直、彼を見直した。

誰しもが子供の時に見た夢を実現できているわけではない。どちらかといえば実現できなかった人の方が多いだろう。しかしできなかったとはいえ失望せず、みんながんばっている。
でも今一度立ち止まって、後ろを振り向いてみよう。そして過去の事を思い直してみる。いくつもの後悔や悩みがあるだろうが、過去の自分に対して今の自分を胸を張って見せられるようになりたい。そして夢を忘れずに前を向いていきたい。
そんなぼくはもうすぐ22歳。まだまだこれからだ。

2000/10/1 藤沢オデオン館

オータム・イン・ニューヨーク

監督:ジョアン・チェン
脚本:アリソン・バーネット
撮影:クー・チャンウェイ
出演:リチャード・ギア/ウィノナ・ライダー
2000/アメリカ

NYでレストランを経営する48才のウィルは次々と恋人を変えて、独身生活を過ごしていた。
秋のある日。彼のレストランで1人の若い女性が誕生日を祝っていた。彼女の名はシャーロット。美術学校で帽子のデザインを学んでいる22才。そんな彼女にウィルはたちまち一目惚れをしてしまう。
やがて2人は付き合うように。そしてウィルはいつものように別れを切り出すが、彼女が後一年あるかないかの命であることを知って・・・

秋色に染まっていくNYの街並みがとてもキレイ。撮り方なんだろうけど、こういうのを見せられちゃうと・・・行ってみたいなNYって思ってしまう自分は単純。
そんなNYを背景にリチャード・ギアとウィノナ・ライダーがデート。それがとても自然な表情で良い雰囲気だった。海外の作品って、こういうのを自然にやってのけてしまうからすごい。

レストランを経営する48のプレイボーイとか、若くて美しいアクセサリーアーティストなんて所は現代的ではあるけれど、ストーリーは実に古典的な恋愛物語。今更感はあるがたまにはこういうのがあってもいいだろう。

ギアは幾つになってもこういった役が似合う。変化を求められる中で、こういった俳優はある意味貴重だ。この脚本もギアを想定して書かれたらしい。
ただその割には、ギア演じるウィルの人物背景がイマイチ伝わらなかった。見せてはいるんだろうけど中途半端な感じだ。ちょっともったいないかな。
逆に良く見えたのはシャーロットを演じるウィノナだった。キレイさの中に、時折見せる幼い感じと知的な表情にぼくは魅了されてしまいました。

シャーロットは病気ではあるけれど、その表情はとても輝いている。ニューヨーカーなのに都会っ子っぽくもない。単に純粋と言ってしまうのは容易だが表情の奥にある悩みや苦しみが彼女の存在をユニーク(独特)で、神秘的なものにした。
ウィルが惹かれたのもおそらくはそんな所ではないだろうか。シャーロット(というかウィノナ)が美しいというのもあっただろうけど。

男は神秘的でやさしくてキレイな女性に弱いんです・・・たぶん。
自分だけかなぁ・・・

2000/10/1 藤沢キネマ88

2000年10月09日

17歳のカルテ

監督・脚本:ジェームズ・マンゴールド
原作:スザンナ・ケイスン
出演:ウィノナ・ライダー/アンジェリーナ・ジョリー/クレア・デュパル/ウーピー・ゴールドバーグ
1999/アメリカ

時代は60年代。17歳のスザンナはアスピリン1瓶とウオッカ1本で自殺を図った。未遂に終わったものの彼女の心は深く傷ついていた。彼女は自分を理解してくれない周囲と、自分を理解できない自分に苛立っていたのだ。
そんな彼女は父の友人である医師の勧めで精神病院に送られることに。そこで彼女を待っていたのは・・・

原作に惚れ込んだウィノナ・ライダーが製作総指揮、主演を務めた。ウィノナ自身も20歳の時に発作的不安に陥り入院したことがあるそうで、話の主人公、スザンナの気持ちを充分すぎるほど理解できていたのだろう。

ただ28歳のウィノナが17歳のスザンナを演じきれたかというと疑問だ。小柄で華奢なので違和感はそれほどないが、ウィノナそのものが整いすぎている気がする。17歳という成長途中で危うい感じがなかった。
オータム・イン・ニューヨーク』での「22歳」は演じられても、「17歳」となるとちょっと厳しい。

逆にリサ役のアンジェリーナ・ジョリーの方は目立っていた。話の主人公はスザンナだが、話を引っ張っていたのはリサだった。彼女はこのリサ役でアカデミー賞とゴールデングローブ賞の助演女優賞を獲得したそうで、それも納得の存在感を発揮していた。

スザンナもリサも現代でいえば正常で、病院に入れられることはないだろう。スザンナは自分の存在意義、自分探しの状態なのだ。これは思春期に誰にでも起こり得ることだ。彼女は周りと違うことをしたり、SEXをすることで存在を確かめていた。ただ、生きている実感としては希薄なもので、限りなく「死」に近い「生」であった。
一方リサは本心で生きている、ある意味自由な存在だ。しかしリサは病院での生活が長すぎて、社会に出るとたちまち弱さを露呈してしまう。自分の領域内でしか生きられない。あまりにも虚しい「生」だ。

「死」を見た瞬間、スザンナは脅えていたのに対し、リサは平然としていた。リサは「死」に近すぎて鈍感になってしまっている。「死」を脅えたスザンナは敏感。敏感な人ほど「生きている」のだ。
しかし、2人の差はほんの僅かのもの。実は人間は、この2人のようなスレスレの所で生きているような気がする。

やがて全てを受け入れたスザンナの目はまさしく大きな目で、「希望」に満ちた目。それはウィノナ・ライダーそのものの目の輝きなのかもしれない。

2000/10/9 恵比寿ガーデンシネマ

2000年10月16日

マルコヴィッチの穴

監督:スパイク・ジョーンズ
脚本:チャーリー・カウフマン
出演:ジョン・キューザック/キャメロン・ディアス/キャスリーン・キーナー/オースン・ビーン
1999/アメリカ

クレイグは才能があるにも関わらずチャンスに恵まれない人形使い。彼はとりあえずの収入のため、7と1/2階にある小さな会社のファイル整理の仕事を得ることに成功。さらに説明会で美人OLに一目惚れをしてしまう。
しかし彼女に振り向いてもらえない彼はイラついて、ファイルをキャビネットの隙間に。そこでクレイグは小さなドアを発見。
ドアの向こうはなんと俳優ジョン・マルコヴィチの頭の中だった・・・。

数多くのミュージックビデオやナイキのCMで監督を務めたスパイク・ジョーンズ初の長編作品。

久々に、面白くて楽しい映画を観た気がする。なんでもっと早く観なかったのか、と思えるくらい面白かった。こちらの予想を越えた展開と映像。というより予想なんてムダだった。ぼくはいつの間にか、次はどんな映像が、ストーリーがあるのだろう、という気持ちになっていた。

スパイク・ジョーンズのミュージックビデオは結構観ていて、好きな作品もある。発想とか映像の視点が面白いからだ。
その姿勢は映画になっても変ることなく、監督は「らしさ」を充分に発揮していた。
でもぼくはスパイクにまだミュージックビデオを撮って欲しいと思う。個人的に好きなので。

こんなに面白いのにちゃんとしたストーリーがあって、観る人の気持ちをしっかりと掴んでいる。
クレイグはいつも表舞台に立つことを夢見る人形使い。それ故にマルコヴィッチになれることは、彼にとって最初で最後のチャンスだったのだ。でも彼はさらなる欲望を満たそうとしてしまった。
悲しい人間の性(さが)だなぁ。

なんてちょっと真面目な事を書いてしまったがそんなことは実はどーでもいい。もっと観るべきポイントはたくさんあるんです。でも紹介してしまうと面白くなくなるので書くのは止めます。でもちょっとだけ書くと、キャメロン・ディアスのあんな姿とか、チャーリー・シーンがあんなことになってたりします。まぁ観てのお楽しみ。

漠然として観てても楽しめる。これは必見の映画です。

2000/10/16 ワーナーマイカルシネマズ新百合ヶ丘

2000年10月22日

ひかりのまち

監督:マイケル・ウィンターボトム
脚本:ローレンス・コリアト
出演:シャリー・ヘンダーソン/ジナ・マッキー/モリー・パーカー
1999/イギリス

ロンドンの11月。カフェで働くナディアは伝言ダイアルで恋人を募集中。とりあえずカメラマンのティムといい感じに。姉のデビーは9才の子を持つシングルマザーだが、夜遊びに余念のない日々を送っている。さらに妹のモリーは出産間近。そして両親は弟ダレンの家出以来、ケンカばかりで愛の無い生活を送っている。そんな家族のある週末を描く。

イギリスの名監督ウィンターボトムが、都市ロンドンの姿を繊細に描いた作品。

ぼくのイギリス映画の印象は2種類ある。一つは田舎のゆったりした時の中で起こる出来事を描いた作品。もう一つは都会の暗く厳しい、ドラッグと暴力の溢れた姿。端的に言えばこんな感じ。
そしてこの『ひかりのまち』はというと、どちらにも属さない映画でした。

この作品でカメラが写すロンドンは、慌ただしく過ぎ行く時間の中で身を寄せ合う恋人達であったり、語り合う友人達の姿といったやさしい風景。暗いシーンがないわけではないが、全体を通して見ればひかりに満ちている。これはやはりウィンターボトムならではの視点、ということだろう。

そんな光あふれるロンドンを背景に描かれる家族の姿は、どことなく空しそうな、悲しそうな、そして不安そうな表情を見せる。彼らはどこか満たされていないような気がしてならない。
彼らは自分自身の存在が大きな街の中では小さく感じられてしまうのだ。それでも彼らは彼らなりに暮らしている。彼らにも希望の光はきっとあるのだ。

16ミリで彼らと密な状態で撮影。ドキュメンタリーのようなタッチがリアリティを生んでいて彼らに感情移入しやすかった。
ラストで息子の声を留守番電話で聞く父親の姿にちょっと感動してしまったのは自分でも意外だった。
ほんのわずかな小さな幸せで、人は暮らしていけるのかもしれません。

2000/10/22 シネセゾン渋谷

素肌の涙

監督:ティム・ロス
原作・脚本:アレキサンダー・ステュワート
出演:レイ・ウィンストン/ララ・ベルモント/フレディ・カンリフ/ティルダ・スウィントン
1998/イギリス

15歳のトムと18歳のジェシーの姉弟は両親と共に、ロンドンからデヴォン郊外に引越したばかり。家の周りに何も無い地にトムは退屈な日々を過ごしていた。
父は仕事で忙しく、母は妊娠。何も問題なく幸せに見える一家に、少しづつ隠された秘密が表面化して・・・

『海の上のピアニスト』に主演した個性派俳優ティム・ロスの監督デビュー作は、なんと近親相姦をテーマに選び、思春期の姉弟をやさしく、そして厳しく描いた作品となった。

デヴォンという土地の印象がとても強く残る。何も無いのです。あるのはこの家族が住む家と、海辺の小屋。そしてわずかな木々。空と海は暗く沈んだ灰色で、谷間はそびえ立つ岩が灰色に輝く。これは無の美しさとでも言うのだろうか。
あまりにもインパクトのある「絵」でした。

ジェシー役の新人ララ・ベルモンドがとても勇気のある演技。これには賞賛の拍手を送りたい。
大胆かつ繊細な表情と演技。家族全員のシーンの中で微妙なアイコンタクトを送り、何かを訴える様なその瞳がデヴォンの地のごとく美しくそして寂しげだった。

そしてこちらも新人トム役のフレディ・カンリフのあの表情。
一見頼りなさげの表情のその奥に秘めた正義感。それ故の苦悩。とても難しい役だったと思うが、堂々とやってのけた彼にも拍手を送りたい。

この新人2人を引き出したのはやはり周りの共演者、特にレイ・ウィンストン。 彼はゲイリー・オールドマン監督作『ニル・バイ・マウス』 同様この作品でも悪者となった。 レイには悪いけどぼくの中ではかなり悪者度が高くなってしまった。できたら今度は、 良い人役の彼を観たい。
そしてもちろん俳優でもある監督ティム・ロスの指導や引き出し方も上手かったのだろう。

少女から女性へと変化を遂げるジェシーの行動、言葉はとても衝撃的というか、観ていて痛々しい感じでした。
あぁ女って大変。男ってバカですねぇ。

2000/10/22 シアター・イメージフォーラム

2000年10月29日

ジャニスのOL日記

監督・脚本:クレア・キルナー
出演:エイリーン・ウォルシュ/リス・エヴァンス/パッツィ・ケンジット
1999/イギリス

さえない女の子ジャニス。彼女の不運は出産時から始まっていた。父親は出産の立ち会い中に力みすぎてショック死。それが原因で、母親は引きこもりになってしまった。ジャニスは母親を外に連れ出すために外の世界の魅力を語るうちに虚言癖になってしまう。
成長したジャニスは、母の治療費を稼ぐためロンドンへ。友人のつてで一流自動車会社に契約社員として働くことになるのだが・・・

TVや舞台で主な活動をしていたクレア・キルナー監督と主演のエイリーン・ウォルシュによる初の長編映画。監督自身が契約社員として働いていたそうで、その経験からこの脚本が生まれたようだ。しかもこの映画のスタッフはほとんどが女性という、正にワーキング・ガール・ムービーなのである。
とはいうものの、内容的には女性による女性のための映画というわけではない気がした。でも主人公ジャニスのサクセスストーリのあたりを見ればやはり女性向けか。

ちなみに上映時は原題『ジャニス・ベアード45WPM』で、観に行った時に日本でのタイトル名が『ジャニスのOL日記』と決まったようなので、その表記にならいました。
まぁOLターゲットってことです。
ついでに、この「45WPM」というのはタイプライターで1分間に45の単語を打つ事ができるという意味で社員のレベルとしては最低のレベルらしい。それはずばりジャニスの能力を表しているのです。でも想像力は人並み以上・・・っていうか虚言癖。

いきなりオープニングがおもしろかった。キャスト、スタッフの紹介の仕方がとてもおもしろい。タイプライター(?)みたいな感じで、絶妙なスペルミス。後ろの外人大ウケ。

この映画、今時珍しく81分という時間でまとめられている。上手くまとめたと言ってしまうのは簡単だがちょっと難がある気もする。テンポも悪くないし、回想シーンの挿入もこれといって違和感ない許せる範囲だ。なぜ81分を上手くまとめたと言えないかというと、この映画のジョークが
もうひと押し足らない気がするのだ。今のままでもおもしろいのだけど、もっとおもしろくなりそうな気がする。それによって時間が延びてもいいのではないだろうか。短くなっておもしろさが弱まってしまうのは残念。

とは言うものの楽しめる作品です。魅力あふれるジャニス役のエイリーン・ウォルシュあっての面白さかも。決して美人ではない彼女の憎めない表情がぴったりこの役にハマっていた。
それにこの映画に出てくる女性はみんな個性的なキャラで、女性スタッフのこだわりみたいなものを感じさせられた。

一方男性陣はというと・・・みんなマヌケ、オバカさん。って感じ。会社の上司やジャニスに近づくショーン(リス・エヴァンス)もあんまり賢くない。前半はショーンは良い感じだったけど結局は詰めが甘かった。やっぱ女性から観ると、男ってバカなんだろうなぁ。
男がどんなに偉そうにしてても、最後はやっぱり女性なのです。何時の時代もどこの国でも女性はたくましく生きているのだ。

2000/10/29 東京国際映画祭 Bunkamuraオーチャードホール

2000・限りある日々

監督・脚本:アルト・パラガミアン
出演:ジョン・タトゥーロ/キャサリン・ボロウィッツ/オレグ・キセリョーフ
1999/カナダ・アルメニア

古生物学者のベンジャミンは、妻アマンダとの離婚を済ませると病院へ。以前から気になっていた頭痛を診てもらう事に。診断の結果は脳の不治の病。余命5週間というものだった・・・
ベンジャミンは明るく振る舞うものの周りの友人は心配顔。次第に幻覚症状の進む中、ベンジャミンがとった行動とは。

人は生きている以上その先には「死」がある。その「死」に直面した時、人はどう受け入れ、そして残りの人生をどう生きるか。その一つの答えをアルメニア人の両親を持つカナダ人監督、アルト・パラガンがコメディタッチで描いた。

ベンジャミンは適度に地位も名誉もあり、成功している人間だ。別れた妻とも良き友人としての関係を保ち、仲間にも恵まれている。一般人の代表のような、そんな彼が心残りとしていることが両親のこと。交通事故で自分だけが生き残ってしまったことに、彼は後ろめたさのようなものを感じていた。そして余命1ヶ月という時。彼は両親の遺骨を祖国に返そうと奔走する。それが彼にとってでき得る最大の親孝行なのである。

ところがこれがあっさり失敗。ちょっとあっさりしすぎ。笑える話ではあるけれど、これはちょっとひどくない?う~ん。

話は嫌いではない。「死」という暗いイメージのテーマをコメディタッチで描くという手段も良いと思う。その点は主演のジョン・タトゥーロが良い表情していたし。でもやはりブラックなイメージが残る。それがコメディの要素が薄めてしまったように感じられた。

映像的にはけっこうおもしろい見せ方をしていてよかった。CGをバリバリに使うとかそんな感じではないけど、効果的に使っていたように思う。
中でも、ベンジャミンが観る幻覚で、雨に濡れるビル郡に映る過去の思い出をCGで合成していたんだけど、CG合成にはあんまり見えなかった。むしろその中をさまようベンジャミンの姿がとても悲しく感じられる。好感の持てる作りでした。

「死」を受け入れることで、限りある「生」を悔いのないように生きる。こればっかりはその人しだい。さてあなたは「死」をそして「生」をどう受け入れますか。

2000/10/29 東京国際映画祭 渋谷ジョイシネマ

2000年11月03日

プリンセシーズ

監督・脚本:シルヴィ・ヴェレイド
出演:エマ・ドゥ・コーヌ/ジャン=ユーグ・アングラード/カロル・ロシュ/ジョアン・レゼン
2000/フランス

ソフィはある日、父親に殺人容疑がかけられて警察へ。そこにはヴィルジニーという少女もいた。そこで彼女達は異母姉妹であることを知らされる。反発心を感じながらも、2人は父親を探す旅に出るのだが・・・

フランスの人気者エマ・ドゥコーヌ主演作。激しい感情を内に秘めた2人の少女にフランスの新進気鋭、シルヴィ・ヴェレイド監督が迫る。

サスペンス的な要素があるのだけど、基本的には2人の少女の成長を描いた作品。
幼児期に父親から受けた暴力で病んだ心と、内に抑え込んだ激しい感情をどう受けとめ、どう生きるかがテーマ。

同じ父を持つ2人の少女も、最初は対照的な表情を見せる。ソフィはいつも冷静さを保つような印象だ。でも実は淋しい。誰かを求め、そしてここではないどこかを探し求めている。でも冷静さが邪魔をして最初の一歩を踏み出せない。そんな時に父親探しの旅は彼女にとって背中を押されたような感じだったのだろう。最初は不安気な表情も次第に逞しくなり、自分らしさをなんとなく見つけたような、そんな自信を感じさせる表情になった。
一方ヴィルジニーはソフィとは反対に強気な印象を残す。しかし徐々にその態度も弱まり、結局はソフィ同様に寂しさを抱えた少女だったことを露わにする。

2人は出会って最初、反発しあうものの旅に出て助け合う内に互いを認め合うことができるようになる。同じ境遇の2人は、相手を見る事によってそこに自分の姿をも見たのだろう。
そして彼女達は求めていた誰かつまり家族を、帰る場所を得る事ができた。恋人ではなく。まずは家族の存在があって人は前に進むことができる。彼女達の人生はこれからが始まりなのである。

テーマの選定も描き方もそこそこ。音楽にも少女達の心情を表すようにするなどの工夫は、センスの良さが光る。意図的にわかりづらい構成をしたのはちょっと嫌だけど。
でもフランス映画は難しい。言葉はまったくわからないし。
今回映画祭では英語と日本語の字幕が表示され、英語が下に、日本語が右に表示された。これが見づらくてセリフのわからなかった所があったのは残念だ。
でもこれは監督せいではないけどね。

2000/11/3 東京国際映画祭 Bunkamuraオーチャードホール

2000年11月05日

カオス

監督:中田 秀夫
原作:歌野 晶午
脚本:斎藤 久志
出演:萩原 聖人/中谷 美紀/光石 研/國村 隼
1999/日本

便利屋の黒田は佐緒理という女性から狂言誘拐を頼まれる。黒田の思い通りに計画は進み、佐織理の夫は警察に連絡。
しかし佐織理が何者かに殺されてしまい、黒田がその始末をすることに。ところが・・・

「リング」で一躍脚光を浴びた中田秀夫が描く犯罪サスペンス。というかラブサスペンスかな。
原作の「さらわれたい女」はサスペンス性が強いらしいけど中田監督はこれを恋愛映画にしたいと思ったようで、そっちの方向に。結果サスペンス性は弱まった。
ぼくは原作を読んでおらず、先入観を持たずにこの映画を観る事ができましたが、原作とはだいぶ違った作風になっているらしい。

で肝心の中身ですが、導入部から中盤はかなり楽しめる。時間の流れを上手く切り取って、並べ替えて見せたつくりは映像だからできる技。映画だからできる技。
シーン毎に次を期待しながらで、引き込まれてしまった。

ところが中盤以降、すべての点が線となったあたりからテンポが悪くなってしまった。終いには萩原聖人と中谷美紀頼りのような印象になってしまった。2人のからみを撮りたかっただけのような・・・

だけど萩原聖人は良かった。どこか頼りなげな雰囲気ながら、常に冷静な判断と行動力で狂言誘拐に仕組まれた罠に迫る姿は良い。
一方中谷美紀は今回も狂気に満ちた表情を見せる。でもなんかいまいち。『ケイゾク』の印象が強すぎたためだろうか。強いイメージを持ったキャラクターを変えるのは大変かもしれない。
主演の2人以外で目立った人がいなかったのがちょっと残念。國村さんが素直な刑事役だなんてもったいないような気が・・・

仕組まれた罠の先にあるものは希望かそれとも悲劇か。
そして最後に残るのは一体誰か・・・答えは劇場で。

2000/11/5 テアトル新宿

2000年11月11日

スペース・カウボーイ

監督:クリント・イーストウッド
脚本:ケン・カウフマン/ハワード・クラウスナー
出演:クリント・イーストウッド/トミー・リー・ジョーンズ/ドナルド・サザーランド/ジェームズ・ガーナー
2000/アメリカ

ある時ロシアの通信衛星が故障。故障したシステムが旧式のため、NASAは引退した飛行士4人を召集することに。その4人とは40年前、宇宙行きを目前に阻まれたことがある「チーム・ダイダロス」のメンバーなのだった。
4人は厳しい訓練をなんとか乗り越え、夢の宇宙に旅立つ。そこで彼らが見たものとは・・・

「なんて感動的な映画なのだろう」というのが観終わって最初にメモした言葉。
70のじいさん達が夢をかなえるべく、無理難題を持ち前の皮肉たっぷりのジョークでかわす姿、表情はかわいいというかカッコイイ。

4人の中でリーダーはフランク(クリント・イーストウッド)なのだけど、見せ場のストーリーはホーク(トミー・リー・ジョーンズ)のためある。他の3人はどちらかといえば引き立て役のような感じだ。
こーいう所を観るとぼくはカッコイイと思うのですが・・・変かな。
普通はフランクだろうけどさ。

この映画のセリフやカメラの画は実に適切に配されている。この作りは丁寧に観て欲しい。ひとつひとつしっかりと。途中でトイレになんて行っていけない。その瞬間にこの映画の面白さは半減してしまうかもしれないのだから。
2時間10分というのは長いように思うかもしれませんが大丈夫。観客にちゃんと余裕を持つ事ができるように、クリント・イーストウッドは"間"を作ってます。
それ故どのシーンもしっかりとしたリアリティがあって説得力がある。

イーストウッドは観客の事を考えていると同時にかなり観客を試していると思う。
彼は本当の「映画」を知っているからだろう。この映画を最近の映画に比べたら退屈に感じてしまうかもしれない。
でもこの映画は他のハリウッド映画とは違うことをわかって欲しい。そしてじっくりとゆっくりと観て欲しい。細かいところを観ろ、なんて難しいことは言いません。シーンを観て、セリフをしっかりと聞いていればいいのです。
そうすればラストに描かれている、あるシーンの意味がわかると思います。

あなたは『映画』を観ていますか?

2000/11/11 厚木シネマミロード

2000年11月19日

いつまでも二人で

監督:マイケル・ウィンターボトム
脚本:ジョン・フォート
出演:クリストファー・エクルストン/デヴラ・カーワン/イヴァン・アタル
1999/イギリス・アメリカ

イギリス、北アイルランドの町ベルファスト。29歳のロージーはヴィンセントと結婚して5年目。ヴィンセントは警官を辞め、ロージーの父のガラス工場を継いでくれるし、頼りになる。不器用だけど愛情を感じることができる。まあまあ幸せの2人だけど、子供ができないのが悩みで最近、倦怠気味。そんな時、ロージーの初恋の人ブノワが現われて・・・

『ウェルカム・トゥ・サラエボ』『ひかりのまち』のマイケル・ウィンターボトム監督作のラブコメディ。ぼく自身、彼の作品は2作目なのだけど、作品毎に違った印象を与えてくれる"貴重"な監督さんだ。自分で脚本を書かずまず脚本ありきという姿勢も結構好き。

今回はラブコメディということだけど、笑わせ役は専らヴィンセントで、やはり中心となるのはラブストーリーだ。
ここで描かれる夫婦はまるで万国共通の悩みを持った、ごく普通の夫婦。不妊に悩み、仕事場でのストレスも苦痛の域に達している妻と、趣味は車とゴルフで言葉で伝えるのが不器用な夫。そんな夫婦の前に妻の初恋相手、しかもフランス人が現われるのだから、妻はドキドキ、夫はイライラだ。そして、"女"はどちらを選ぶのか・・・
うーん上手いねぇ。

そしてこのストーリーを映像化させてより上手に伝えるのがウィンターボトム監督。細かい丁寧な作りは観ていて安心。ロージーの気持ちが、ヴィンセントの気持ちがスクリーンの向こうからちゃんと伝わってくる。

ロージー役のデヴラ・カーワンがなかなかCUTEでGOOD。ヴィンセント役のクリストファー・エクルストンも背が高くてカッコイイ。とても自然な感じが夫婦っぽくて現実感があった。
で、ブノワ役のイヴァン・アタルは・・・どうなんだろう。というのもヴィンセントと対比させるという意味では良いキャスティングだ。でも彼にロージーが、強いては観客が惹かれるかは難しい。あのちょっとずんぐりむっくりした感じは・・・どうなんだろう。

ブノワの出現は、ちょっとした倦怠期の2人にとってお互いの気持ちを考える良い機会。男は自分のふがいなさを知り、女は抑制していた気持ちを解く。でもやはりそこは固く結ばれた夫婦。行き着く先は同じ所なのだ。

こういうのはカップルで観るべきだろうな。音楽も素敵な映画だし。
一緒にどうですか?

2000/11/19 銀座テアトルシネマ

2000年11月23日

スリ

監督・脚本:黒木和雄
出演:原田 芳雄/風吹 ジュン/真野 きりな/柏原 収史/石橋 蓮司
2000/日本

通勤客で混み合う車内に、ハコ師のスリ、海藤が周囲に注意を払っていた。かつては名人と称された海藤も、今やアルコール依存症で酒におぼれる日々を過ごし、指先は震えが止まらない。もはや全盛期のような技の冴えを失っていた。
そんな彼の元に弟子になりたいという若者、一樹が現われる。海藤は酒を断ち、かつての技を取り戻そうとする。だが・・・

久々に日本映画らしい作品。しっかりとした筋書きを持って描かれている映画は観ていてとても気持ち良い。
本筋は老いた男の復活と再生への執念、そこに男と女の想いが絡み合っていく。

余計な説明を省き「映像」で訴えるという映画本来の姿がここにはあった。当たり前のように思うが、昨今の映画はセリフでの説明が多すぎて観ているのがつらい時がある。映像で語られるべきことまでセリフで説明してしまい、観客がよくわからないまま進んでしまうことすらある。でもこれは映画。映像で見せるのが一番伝わると思う。観客の目を少しは信じてほしい。

原田芳雄の渋い演技の中に時折見せるユーモアがとても嬉しい。でも最初はモタついたテンポの印象だった。そこへ柏原が出てきた辺りから良いテンポで進み始めた。
さらに真野きりな演じるレイを加えた3人(+犬1匹)のやり取りは観ていて楽しかった。
それまで漂っていた暗い雰囲気、つまりは海藤の失意・失望がここを境に変り始めて、海藤の表情とともに輝き始めた。

女が男を求めた時、男は生きがいを求め、又は取り戻そうとしていた。海藤も刑事も一樹もそれぞれの生きがいを求めてさまよっている。
レイや鈴子(風吹ジュン)にできることは彼らを理解し、見守ることだけである。

海藤の見据える道の先には、果たして何があるのか。
そこに辿り着けるのは海藤自身だけだ。そこは海藤の道なのだから・・・

2000/11/23 渋谷シネ・アミューズ・ウエスト

ekiden(駅伝)

監督:浜本 正機
脚本:遊川 和彦
出演:伊藤 高史/中村 俊介/田中 麗奈
2000/日本

深紅のタスキかけて走る、陵明大学4年生岬壮介は、駅伝になると誰よりも早く走ることができる不思議なランナー。そして壮介からタスキを受けて奇麗なフォームで走る、アンカー早川義彦は日本陸上界期待の星。2人は大会4連覇を果たし卒業を迎える。
早川は有名実業団に入りマラソンに転向。一方壮介は幼い時から憧れていた横須賀造船に入社。しかしかつての名門駅伝部は見る影もなく、廃部となっていた。壮介は駅伝部復活のため人集めを始める。

いきなりでなんですが、ぼくは田中麗奈はそんなにタイプではないです。
でも、女優としての彼女は好き。『がんばっていきまっしょい』『はつ恋』と主演作は観ています。出演作『GTO』は観なかったけど・・
で今作は主演ではなく、あくまで脇役に徹した彼女。でも存在感をしっかり発揮してします。

と前置きはこれくらいにして、本題。
良い映画だなっという感じが映画館を出た後も残る映画。作りというか展開というか、そういったところが上手くできていて、嫌な印象を全く感じなかった。

駅伝やマラソンがストーリーの基本なので走るシーンがいっぱいあって、見せ方、演り方がとても難しいところだと思うのだけど、役者さん達はきっちりと走っていて、嘘ではない"本物"になっていた。特に主演の2人はトレーニングの成果か、かっこいい「走り」。それだけでちょっと感動した。

伊藤高史はこれが映画初出演初主演ということで相当緊張していたらしいけど、素朴な感じが壮介のキャラクターに合っていて、想像より良かった。一見セリフも少ないし寝てるか食べてるか走っているかという印象になってしまけど、それだけで表現することは大変なことだと思う。
映画の中で根津甚八が伊藤演じる壮介に対して「君は・・・そのままでいい」というセリフがあった時、壮介だけでなく伊藤自身へのメッセージのように聞こえた。そんななんでもないところに一人で嬉しく思ってしまった。

タスキを受け渡していく駅伝。そのタスキに込められた様々な人の想いと願い。ランナー達はその想いを受け取って走っている。マラソンだって、誰かの想いを胸にみんな走っている。だから走ることができるのだ。
そういう気持ちを壮介に感じて、岬壮介の走る姿にぼくは溢れる涙を止めることができませんでした。:ちょっとできすぎなシーンだとは思いましたが、涙はもう止められなかった。
これは脚本にやられたって感じだ。おそれいりました。

2000/11/23 新宿東映パラス2

2000年11月26日

十五才 学校IV

監督・脚本:山田 洋次
出演:金井 勇太/麻美 れい/赤井 英和/秋野 陽子/小林 稔侍/丹波 哲郎
2000/日本

中学3年生の川島大介は学校に対して疑問を感じ、登校拒否を始めて半年。ある日彼は、両親に内緒で屋久島の縄文杉を目指し、ヒッチハイクの旅に出たのだった・・・

山田洋次監督の「学校」シリーズ4作目は現代の悩める中学生を主人公に、監督得意のロードムービーで彼らへのメッセージを込めた作品となった。

なにはなくとも大介役の金井勇太君でしょう。雰囲気が吉岡秀隆に似ていて、「あぁ山田監督好みの少年だな」と思わせる。
最初は大介同様、不安いっぱいの表情だったけど、旅を重ね、様々な人々に出会い人生を感じるに従って、彼の表情が鋭くなって成長していくのがわかる。観ていてなんだか嬉しくなってしまった。

この映画はぜひ子を持つ親、もしくはこれから親になる人、つまりは老男若女を問わずみんなに観て欲しい。そして大人は大介少年の言葉に耳を傾けるべきではないだろうか。少年の言葉をわがままとして片づけてしまうのは簡単なことだが、そこに何か大切なことがあるように思います。

大介少年の出会う人々の中で一番印象的なのがひきこもりの青年、登と大介とのやり取り。彼らは初めて会ったのにすんなりと相手の気持ちを汲み取り、自分と近いものを感じ取る。ぼくは観ていて彼らの関係がとてもうらやましかった。
やがて別れの時が来、登が家から素足で駆け出てきて、ジグソーパズルのパネルと彼の詩を大介に贈った時、ぼくは泣いてしまった。こうして書いている時でも思い出して、泣きそうになるくらいです。その時の登の表情、いつまでもいつまでも手を振る姿、その姿を見る母親の表情がとても印象的でした。

ここで登の綴った詩は、きっと山田洋次監督の現代の若者に贈るメッセージ。
『そうだ急ぐことはないんだ。自分のペースで歩けばいい。』
そんな気持ちにさせてくれる詩を、ぼくはいつまでも心に残して置きたくなりました。

旅を終えた少年にはまだまだたくさんの旅が待っている。でも旅の後の大介ならきっと乗り越えることができるような気がします。自分のペースでね。

2000/11/26 フジサワ中央1